朝、御茶ノ水の山の上

a yamanoue雨の朝です。
部屋の中にいると窓から明るい光。
天気予報では、東京は雨…、と言っているけど実感湧かず他人事。
傘も持たずに表に出たら、雨の降る音がやってくる。
かなり本格的な雨が降っててビックリします。

そういえば昨日の飛行機はほぼずっとガタガタ揺れてて、上空は西からずっと雨雲だった。
その雨が今、降っている…、かもしれないなぁ…、って思って部屋に急いで戻り、上着を羽織って傘を持つ。
ボーっとしてると憂鬱な今日。
だからとびきりの朝ご飯を食べて元気を出しましょう…、と、朝の打ち合わせの場所を変更。御茶ノ水にする。
その打ち合わせの前に朝食…、山の上ホテルのメインダイニングにいたしましょうとお茶の水の駅からテクテク…、坂道下りてまた上がりと、雨に濡れつつやってくる。

a yama dininga umebosiクラシックなホテルのメインダイニングです。
だから当然、メインダイニングはフランス料理のレストラン。
ホテルのクラシックさに負けず劣らずクラシック。ベルエポック風のインテリアがキラキラしてる。
テーブルの上のセッティングも、洋朝食に合わせてナイフとフォークが並ぶ。
ただココに食べに来るのは和朝食。
丁寧に作られた、東京でも一二を争う日本的なる朝食で、かつて、その朝食が天ぷらで有名な「山の上」という話食堂で食べられた。
朝の光がふんだんに入る、すがすがしくも明るいお店で、朝を迎える幸せといえばこの上もないものだった。
残念ながら今ではそこの朝食営業はやってはおらず、代わりにメインダイニングで和朝食をお出ししましょう…、という趣向。
いろいろ事情もございましょうゆえ、しょうがないかと我慢する。
洋朝食用のナイフフォークやジャムにバターが取り除かれて、代わりにお茶と梅干しがくる。
それで不思議とテーブルの上が日本の食卓の装いになる…、いとおかし。

梅干し一個を舌に乗っけて、お茶を少々、口に含むと酸味と甘みと明るい風味。食欲きりりと湧いてきて、洋朝食の最初のオレンジジュースのように感じてニッコリ。

にぎやかに料理が並ぶお膳がまもなくやってくる。箱膳の中にズラリとおかずが並び、その箱膳の周りを料理が埋め尽くす。

a teishokua mesiこの様々に、目がまずウットリ。
固めに茹でた菜の花で作ったおひたし。削り鰹が目にうるわしく、軽い渋みが目を覚まさせる。
きめ細やかな魚卵のツブツブが、さらりと口でほどけるタラコ。
太さの揃ったひじきの煮付けは、しっとりしててしかもコツコツ奥歯を叩くたくましさ。

ここの和朝食に必ずついてくるのがモズク。まずはそれをズルンと飲むと、お腹の入り口がぱかっと開くような気がする。やさしい酸味と甘みが食欲ひねり出してくれるところもいい感じ。大根、にんじん、さつま揚げの煮物は出汁がしっかりしみて、体が潤う感じがしてくるオゴチソウ。

ご飯の上に梅干し一個を乗っけてパチリ。
富士の山から日の出のような、めでたい景色によだれを垂らし、続いてちりめん山椒をバッサリ乗っけて、ハフっと食べる。クシュっと雑魚が潰れて旨味がジュワリ。時折山椒がパチリと爆ぜて痺れが楽しく広がっていく。このちりめん山椒。てんぷらてんぷら山の上の名物で、お土産用に売っていたりするオゴチソウ。これでお茶漬けさらさらも、いいだろうなぁ…、と思って味わう。

a sabaorosiお椀の中にはなめこ汁。酸味が美味しい赤味噌に、ドッシリとした出汁の旨味がおいしい汁で、お腹がポカッとあったまる。

お膳の上のどれもがおいしく丁寧な味。
けれど中でも一番が、サバの塩焼き。
皮がパリパリ、揚がったように仕上がって、小骨もきれいにとれている。だからそのままパクッと食べる。
カサッと焼けた皮が崩れて、ジュワリと脂が口に広がる。
一瞬、口の中の温度が下がったように感じるほどに、脂が見事に揮発して旨味と香りを口に残して、とろけて消える。
しっとりしてます。そしておいしい。強い旨味と焦げた脂の風味がひとつに混じり合い、しみじみ体に染み込むおいしさ。
大根おろしがサイドについてる。最近、当たり前になってしまったフードプロセッサーでひいて作ったザラザラおろしとちがってふっくら。空気をたっぷり含んだそれに、醤油を垂らす。明るい茶色がグラデーションをなして影を作っていくのが、また風流。

a tamagoa yokan甘味がひとつついてくるのが、いつものもてなし。
季節によって甘味の種類がが変わるところもウレシイところ。
朝ご飯って不思議と季節を超越してる。卵料理に焼いた魚に海苔に汁。
季節を表現するのはせいぜい野菜くらいで、それをココでは甘味で季節を表現する。
しかもその甘味が他のおかずと同じ場所に置かれているのがさりげなくって、またオモシロイ。

今日は粟をくわえて練った水羊羹。
フルリとなめらか。けれどときおり粟がプチプチ爆ぜて食感、にぎやかにする。やさしい甘みに体がほぐれる。そういえば玉子焼きもちょっと甘めで、これも大人のスイーツ感覚。朝の頭に甘くてあったかなこういう料理は、うれしい栄養。ありがたい。

ご飯のお代わりはいかがされます?…、と、お茶の継ぎ足しのついでに聞かれて、気持ちがフワリと浮かびはしたけど今朝は我慢で、腹7分。それもまたよし、大人の朝のオゴチソウ。

a yama noue coffeeay loungeホテルの中を移動して、ロビーラウンジでコーヒーを飲み待つ。
一人でぼんやりしていると、しばし東京にいることすらをも忘れさせてくれる空間。
リトリートとでもいいますか。
あるいは洒落てハイダウェー。
間も無く仕事が追いかけてくる。でもその緊張感すら、この空間と時間のほどよきアクセントって思えるステキにニッコリします。

ちなみに今。
新入社員の季節であります。
今朝の朝食レストランにも、このラウンジにも新人さんががんばっていて、まだまださすがに初々しい。
ちょっともたつくこともあり、笑顔も緊張のフリル付き。彼らがサービス業を嫌いにならず、ここで生きてく覚悟をたのしくつけられるよう、「がんばってくださいね」って笑顔で後押し。
「はい」と答える笑顔がとびきり。幸せな朝…、さぁ、仕事。

 

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コメント

  1. ボルテイモアのおかず

    山の上ホテルの朝食、美味しい!ですね。
    池波正太郎さんの「銀座日記」で出てきた覚えがあり、読み返してみました。お味噌汁も入れて十三種類のおかずとあり、20年以上前から(ヴァリエーションもありますけど)守ってこられたんだなあ、って。「家庭ならば、このうちの一品か二品がせいぜいなのを、そこはホテルの食堂だけに、骨身を惜しまずにあんばいをして、朝食の夢を見せてくれたのである。」サカキさんも、ちょっぴりハイダウェーの夢を見られたなら良かったです。
    (お父様が亡くなられる前からずっと大変で、心身共に疲れがたまっていらっしゃるでしょう。数年ゆっくり休みも取られていない御様子で、ストレスレヴェルも相当高いのでは?どうぞくれぐれもご自愛下さい)。
    素敵なテーブルセンターにコーヒーカップ、新入社員の方の笑顔に、ちょっぴり癒されたら良かったですネ。(私もミニ元気を戴きました!有難う御座います)。

  2. サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

    ボルティモアのおかずさん
    日本はすっかり春になりました。
    自分のコトをストレスに強いタイプと思っていましたが、やはり知らずといろいろなストレスをためているようですね。
    まとまった休みもほとんど取っていなかったようで、これからのしばらく。ゴールデンウィークはできるだけのんびりしようと思っています。
    ご主人様はお元気でらっしゃいますか?
    そうそう…、青山の集合住宅も本格的な再開発となるようです。東京の街は生まれ変わりの時期を迎えたみたいです。

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