春の商品、試作会

毎月来ている「かにの華」。三か月に一度の頻度で季節にランチメニューの試作会をする。
もう2年ほど続けてて、参加資格は社員であるコト。商品開発スタッフが考えるのでない、現場のムードやお客様の気持ちが反映された提案が出て来たりしてべんきょうになる。
実際、そうした中から魅力的な定番料理が出て来たりする。変化が起きるのは「本部」じゃなくて「店舗」であって、現場が考える力をなくした途端に変化に対応する力をなくす。当たり前のコト。簡単だけどむつかしい。

今日のエントリーは11商品。
3月、4月のランチですからテーマは春。
軽快で華やかな見た目に、春の食材。桜の葉っぱの塩漬けや木の芽に筍。
鯛にハマグリ、アサリにしらすに桜えび。
…、と、こうして素材の名前を挙げるだけでもどこか華やか。春めく感じがオモシロイ。
冬には鍋がメインになります。
春はそれがせいろに変わる。同じ湯気モノでもセイロの湯気はやわらかで、暑苦しくない。ほどよい感じ。

料理がズラリとならんだところで、いつものように投票をする。試食をしないで見た目だけ。
だって、飲食店のお客様が注文する前に試食はしない。メニューに並んだ写真の中から選んでいくから、そのお客様と同じ状況で投票をする。ひとり4票。白い紙を食べてみたい料理において、集めた票の数の多い順から4商品がブラッシュアップされて実際のランチメニューとしてデビューする。誰が作ったかは内緒で投票。ベテランも新人さんも同じ土俵に立つというのがオモシロイとこ。

で、今日の上位4商品が次の商品。どれもそれぞれ個性的で、テーマにそった季節を感じさせる料理になっている。今日は投票したみんなに「なぜこの料理を選んだのか?」と理由を聞いてみることにする。
色合いが愛らしくって華やかだとか、やはり釜飯ってうれそうだから。寿司の盛り合わせがメインとしての存在感を持っているからとかいろんな理由が挙がってくる。人それぞれに同じ料理をみて感じることが違うというのがひとつの勉強。それに、作った人の製作意図と、食べようと思ってみたときの見え方が違うこともあるってコトがわかるのもまた勉強。

一番人気だった商品。
アサリとたけのこのせいろご飯にイクラをタップリ乗っけたものがメインの一品。
カニの刺身に豆腐田楽。
炊いた筍、だし巻き卵。天ぷら、それから桜えびの小さなうどん。
茶碗蒸しや杏仁豆腐がズラリと並んで、見た目華やか。
華やかだけじゃなくてキレイに整っている。
ボリューム感もほどよくあって、なによりせいろご飯のせいろを蒸気で蒸し上げる。湯気と一緒においしい香りが漂ってきて食欲さそうところがステキ。
しかもこれ。お盆の上にある調味料が刺身用の醤油だけ。それ以外が事前に味が整ってるか、あるいは塩で食べる趣向。食べるときに調味料が垂れ落ち洋服を汚すことがない、会食向きな工夫もステキ。

惜しくも上位4つの料理に選ばれることはなかったけど、発想がとてもたのしくオモシロイ料理が次点。
何がオモシロイかと言うとこれ…、お腹いっぱいになることを目的にしない献立。
例えば寿司に見える料理は、シャリの代わりに湯葉を使って作ったモノ。マグロやカニの旨味や風味が邪魔されることなくしっとり舌にのっかり潰れる。
大きな蓋付き陶器の中は茶碗蒸し。固形燃料をともして目の前で仕上がる工夫。炭水化物の料理は唯一、カニの太巻きを揚げだし仕立てにしたもので、量はそれほど無いけれどどっしりとした食べごたえ。
平日の昼のお客様のメインはシニアな女性で、だからこういう提案も悪くないんじゃないかと思った。商品づくりも時代につれてかわるべきもの。よき勉強と相成った。

 

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