映画を二本。壊れる街に近未来の悪夢

「グラウンドブレイク」という映画を観ました。
1988年に発生したアルメニア地震を題材とした、アルメニア共和国の作品で、2016年の公開。
アルメニアと言えば旧ソビエト連邦の一部で、トルコとグルジアと隣接する国。
隣のトルコも地震が多いけれど、このアルメニアも地震頻発地域の一つで件の地震では2万5000人の死者を出してしまったという。
その地震が発生してから3日間の出来事を描いた作品。

100分ほどの映画の間、ずっと涙が止まらなかった。

ハリウッドのディザスターものにはない強烈なリアリティがあったのです。
震源地のスピタクという街が物語の舞台です。
知らぬ国の知らぬ街。
世界中のどこにでもありそうな地方都市が壊れていく。
ニューヨークやロサンゼルス、パリやロンドンと言った見知った街の超高層ビルが壊れていく景色というのは、あまりに現実離れしていて心穏やかにみられるけれど、古い石造りの3階、4階建ての建物が次々壊れる。
壊れていく建物の壁にはほとんど鉄骨がなく、壊れはじめると砂で作ったお城があっけなく崩れていくかのように壊れる。

あのビルは丈夫だから避難しろと、仲間に指示を出しながら避難誘導に一生懸命で逃げ遅れてしまった人の前でその建物が崩壊する。
自分だけが生き残る、その人の罪悪感というか喪失感というのか。
物語の前半は「生き残ってしまった人」の気持ちが中心に描かれる。
とは言え、生き残ってしまった人たちにとって唯一できることは、生き続けることに一生懸命になるということ。

ヒーローがいるわけでなく、ヒロインがいるでもなく、ただただ普通の人たちが必死になっている姿に、そうだ、がんばらなくちゃいけないんだとしみじみ思って涙が出ます。いい映画。

 

そしてもう一本。
「アノン」という近未来サスペンスとでもいいますか。
すべての人の見たことがデータベースに蓄積されて、必要に応じてその記憶を閲覧することができてしまう社会が舞台。
プライバシーをなくすかわりに犯罪の発生リスクが下がる平和な社会。
そこにハッカーが登場します。
他人に見られては困る記憶を消してしまうことを請け負うハッカーで、それが大きな犯罪のきっかけとなる。

文章にすると複雑で、けれどこれが映像になるとなるほどそういう社会がやってくるかもしれないな…、と思わせるほど説得力があったオモシロイ。
なにより様式美に溢れた映像はクールで洗練されていて、21世紀の「Gattaca」がついにやってきたのか…、って思ったほど。
調べてみればガタカと同じ監督作品。
オープニングから40分ほどは目が話せないほど面白く、ところが後半から転がるようにつまらなくなる。なんでそういうオチにしたのととても残念に感じるところもガタカのようで、それでも愛すべき作品ではある。時間があればぜひどうぞ。

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