新橋の今朝、ステーキの夜

夜、おいしいおよばれ。
おいしい肉を食べましょうよ…、と新橋にある「今朝」に来る。
JRの新橋駅と汐留の超高層ビル街の間に位置する。
今となっては新橋の街から中央通りという広い通りで隔てられてる、町外れ感の漂う場所。
ところがかつては東京という街の陸路の玄関だった時代があった。
横浜から走る蒸気機関車の駅がちょうど店の裏側、汐留だったという立地。
社長曰く。
昔は店の裏側の窓から駅が丸見え。列車の出発準備をみたお客様が大声で「これから急いで行くからそれまで待ってて」って言えば列車が待ってくれてた…、ってなんてのどかでステキな話。
明治13年の創業です。つまり1880年。今年で138年という歴史のお店。続くということはすばらしいコト。現在の社長でなんと5代目という。
創業当初は牛鍋や軍鶏に鴨と家禽類の鍋もあったというのだけれど、今では牛肉専門ですき焼き、しゃぶしゃぶ、オイル焼き。ステーキもあるというので今日はステーキにする。今では建物は立派なコンクリートつくりのビルに建て変わりけれど店の造りは日本料理のそれそのもの。靴を脱ぎ、畳の廊下に畳の座敷。掘りごたつ式のテーブルにつき料理を味わう…、という趣向。

まずは前菜三点盛り。自家製の鶏の生ハム。出汁でトロっと炊き上げた大根と一緒に味わう趣向の料理。小柱の木の芽和えに蟹豆腐。どれも上品な味付けです。
続いて肉の前菜を二種。薄切りにした牛肉であさつきを巻いて味わう料理は、脂がのった肉がとろけてザクザク、ネギが歯切れて痛快。ネギの空洞が含んだ空気が肉の食感を軽くするのがオモシロイ。もう一種類は牛肉の刺し身でこれもネットリとろける。間もなくやってくるであろうステーキのおいしさ予感させるのも良し。鶏胸肉に飛龍頭の焚き合わせは上品な味。日本料理のお店だなぁ…、としみじみ思う。

そしてステーキ。
ヒレを選んで焼いてもらった。
焼き加減はと聞かれたので「おいしいように」とお願いをする。
鉄板の上に厚みをもったヒレ一枚。
ピーマン、にんじん、舞茸が添えられ上にはクレソン。レモンが一枚とクラシックな面持ちステキ。
鉄板にのせられている。
でもジュージューしているわけじゃない。
肉はすでにおいしいように焼かれているから、それ以上に焼かれることは好ましくはない。だから鉄板は保温の役目。わさびたっぷり添えられて、ソースがことさらあるでもないのが潔い。
ナイフを当てて切るとスパッときれいに切れる。力をいれずともナイフ自体の重みで切れてく…、って感じが見事。その断面は芯がロゼ色。いわゆる、ミディアムという状態。肉の繊維の一本一本がほぐれるようでくっついている。肉の繊維が霜柱のごとく仕上がる。おいしい証拠。

焼かれる途中で肉の脂が流れ出す。脂がたっぷり乗っているのが和牛のおいしい状態で、けれどそれをしっかり焼き切ることで必要な脂だけが残ってさっぱり仕上がる。
口に含むとひんやり脂がとろけだす。肉はスパッと歯切れてクチャっと潰れる。肉の旨味と焼かれる前にほどこされたかなり多めの塩で味が見事に整う。ほぼ顎を使わずとも潰れてお腹におさまっていく。日本の牛の日本の肉の日本のステーキ。ご飯にピッタリ。
特に筋や脂の部分はご飯に乗せて食べるとなんとも旨い。わさびをたっぷりのっけてもわさびが肉の脂を旨味に変えるだけ。辛味なんか感じぬ不思議。出汁のきいた味噌汁も味わいゆたかでオゴチソウ。おいしい料理は会話をはずます。食後のフルーツを食べながらあれやこれやとたのしい話に花咲かす。

 

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