新宿「おかか」で、あたらしい和食を感じる

おいしい勉強。「おかか」という店名のダイニング系レストランを訪ねてみます。
あまり期待はしませんでした。
歌舞伎町の入り口近く。
飲食店のビルの8階。他のテナントはどこもアイディアばかりの「一見さんウェルカム」的な店で、まともな店がありそうでないロケーション。
ただ店名の通り「鰹節をテーマ」にした日本料理のお店だというのがちょっと気になって予約しました。それもかなりの人気のようで10日ほど待ちという今日の夜。
店に入るとおかかの匂いがフワッと漂い、なんだかおいしげ。5000円の料理を予約しておりました。
まず木箱。中には削りたてのおかかがタップリ。お通し代わりでおかわり自由。気が利いている。ちょっと塩の風味が強めの、だから醤油をかけずにそのまま食べて酒の肴になるのがいい感じ。
それからすかさず茶碗蒸し。具材はない。出汁と玉子だけで出来てる素直な味で、出汁そのものの旨味、風味を思う存分たのしめる。

お酒のメニューも充実してる。
中でも感心したのが「お茶を使ったカクテル」で、最近、決して珍しくはない。
それもたいてい焼酎ベース。
ところがココではラム酒をベースに使って作る。
中でも抹茶ハイだというので頼んでみると、目の前で抹茶を茶筅で水にとくのです。
それを水割りにしたラム酒に注いでかき混ぜて飲む。
抹茶の香りが鮮やかで、そこにラム酒の濃厚でフルーティーな香りが混じる。
その相性がとてもよく、しかも削った鰹節と互いが互いをおいしくしあえるパートナー。感心しました…、オキニイリ。

お店の人は若々しくて、マニュアル的ではない接客に好感持てる。厨房の中の調理人はおそらくベテラン。料理の基本がしっかりしていて安心できる。

40種類ほどのおばんざいが揃ってて、そこから3種、今日のおまかせの盛り合わせが続いてきます。今日のおすすめは冬瓜のそぼろあんかけ、生湯葉、それから野菜の煮浸し。どれも出汁がおいしくて、どれも残った出汁まで飲んで器は空っぽ。
続いてサラダ。緑の野菜に豆腐がメイン。梅味の軽い味わいのドレッシングでどれすされてて、そこに煎った鰹節。風味豊かでサラダまでもがおかかの料理になっているのに感心します。青さの入った出汁巻玉子も出汁がおいしいからのおいしさ。

メインの鍋の準備がはじまる。
卓上コンロに真鍮の鍋。
ピカピカに磨かれた上等な鍋がテーブルの上を特別な場所のように仕立ててくれる。
卓上コンロも木の箱に収められてて非日常的な雰囲気作る。
カツオの出汁が注がれます。
ほどよき温度で、それを一口分だけ器に注いでくれて試し飲み。みりんや醤油、昆布の出汁で味が整えられてて若干甘い。
そこにタップリ、追いカツオ。
出汁にしずめてしばらくすると網で救って鍋の中をキレイに仕上げる。
それを一口。
カツオの風味がしっかりとした輪郭持って、最後の酸味もキリリと旨い。
沸騰させぬようにと弱めの火加減を心がけつつ鍋を仕上げる。
タレなどまるで必要なく、鍋の中の出汁の味わい、風味、旨味で味はしっかり整っていく。味変え用にと煎り酒を使ったポン酢に柚子胡椒。一滴二滴、ほんのちょっとのかけらで味が劇的に変わっていくのがオモシロイ。
鍋の具材は野菜とカニ、それから豚肉。豚肉はバラとロースがたっぷりと。

ただ売りにしているのは野菜の方。二段重ねの木箱のひとつに野菜、ひとつに肉が入ってくるのだけれど入念に説明するのは野菜の箱。レタスにクレソン、野芹にしめじ、えのき茸。ほうれん草におかひじき、白ネギ、それから九条ネギ。桂剥きにして細切りにしたニンジン、大根と色とりどり。
中でもニンジン、大根はまるでタリアテッレのような厚さで幅をしていて、出汁で煮込むと麺のようになっていく。
ザクザクとした歯切れ感と出汁をタップリすった味わいにうっとり。しかも野菜がおかわり自由。丸い大きな桶に野菜を入れてテーブルを回ってくる。欲しいものをお願いすると、欲しいものをほしいだけ。野菜でお腹が満ちていくのがしみじみウレシイ。

〆は蕎麦、そしておむすび。
あらかじめ茹でて冷水でしめたそばがやってきて、それを小さな竹ザルに入れてしばらく出汁に沈める。
鰹節の出汁で麺はあったまり、しかも味がまとわりつく。
器に鍋の出汁を注いで麺を移して〆の蕎麦。
おかかをタップリ、そこにちょこんと柚子胡椒。汁が本当においしいのです。鰹節の出汁そのものの味の中に野菜の甘味や風味が混じり、しかも豚の脂の甘くておいしいことにうっとり。
小さなおむすびの芯には煎ったおかかを潜ませ、周りにタップリおかかをかぶす。そのまま食べてもおいしいし、器に入れて出汁をかけてサラサラ食べると、蕎麦とは違った美味しさが口の中に広がっていく。なにより鍋の中の出汁が旨い。今まで食べたありとあらゆるものが実はこのスープを作るための準備だったんだ…、って思うほどにおいしく気づけば鍋の中が空寸前。

旨いなぁ…、って思います。この店がもし普通のしゃぶしゃぶの店だったら、この満足感を得ることができただろうか…、ってふと思う。どんな銘柄豚よりも、どんなに立派で素性正しい野菜よりも日本料理の基本の基本、出汁の旨味に命をかけた。こういうコンセプトもあるんだなぁ…、って感心します。
しかもその一点にたよりきってしまうのでなく、サイド商品もしっかりしてる。最後のデザートが8種類のメニューからひとつ選べるっていうのもたのしい工夫。
抹茶のパフェとほうじ茶プリンをえらんでたのむ。コースについてるデザートにパフェがあるっていうのがステキ。ほうじ茶プリンはまるでコーヒーみたいな香ばしさ。なめらかなのにどっしりとした食べ心地。
しかもお店をでるときにお土産です…、と鰹節を手渡す気配り。勉強しました。いいお店。

 

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