手打ちそば大庵の蕎麦

大庵で昼。新宿で一番好きな蕎麦の店。
一ヶ月に一度くらいのペースかなぁ…、そんなに頻繁に来ているわけではないのだけれど、お店の人にはおなじみさんと思ってもらっているみたい。
たくさん食べる。それにちょっと変わった注文をすることがあり、それがおそらく印象的に見せてるのでしょう。
今日は案内係のスタッフが「夏に生の岩牡蠣を召し上がっていただいて、なのに牡蠣の時期というのに生牡蠣の用意がないのが申し訳なくて‥」と、メニューを説明しながら一言。
「いろいろむつかしいことがあるのでしょうネ」と答えてニッコリ。こういう世間話がたのしい。ランチサービスでついてくるのが季節の小鉢。今日はひじきの煮物で中に、刻んだれんこん、こんにゃく、鶏のひき肉が入って食感ニギヤカ。そば茶をコクリと飲んでお腹の準備する。

まずは「江戸名残りのぶっかけ蕎麦」。
半そば量で前菜代わりになるオリジナル。
太い生粉打ち蕎麦を茹でてばかりのにもろみのタレをかけただけ。
もろみの旨味と醤油の風味。
散らしたネギのシャキシャキ感がネットリとした生粉打ちそばの食感ひきたて味わい深い。
食べる途中で軽くそば湯をかけるともろみがだし醤油みたいな役目を果たす。江戸の昔はこうして蕎麦をたのしんでたのか…、って思って食べると味わい格別。オキニイリ。
それから熱い天麩羅蕎麦。深い赤色の塗のお椀にドシッと豪華にやってくる。天麩羅はエビにキス、れんこんに茄子、それからししとう。衣が汁を吸い込んでぽってり膨らみおいしそう。

角のたったキレイな蕎麦です。最初のひとすすりはスルスル、唇の間を滑り込みながらその角張った麺の食感をたのしめる。噛むとバサッと歯切れて散らかる。細いクセして一本いっぽんの輪郭を舌が感じるほど、存在感が強くてウットリ。濃いめの汁が蕎麦にからんで、口の中を潤す感じもオゴチソウ。
熱々の汁の中で蕎麦にゆっくり熱が入ってやわらかになる。「伸びる」というのとは違うのですネ…、膨らみ粘り、口の中でとろける感じが冷たい蕎麦とは違ったおいしさ。心置きなくのんびり食べる。
それにしても天麩羅のエビの見事なコト。太くて丸々していてがっしり身質もたくましい。しっぽもカリッと食べられる。ザクザク歯切れてとろけるれんこん。茄子には衣をほとんどつけず素揚げのように仕上げてそれが汁をたっぷり吸い込みぽってり、おいしいことにまたウットリ。

それにしても繁盛店です。開店と同時にお客様が次々やってきて店はずっと満席状態。
特に落ち着いた年齢の男性客が多くて、しかも彼らがとても居心地良さげにしていることに感心します。
新宿の街は若い人たちが溢れている街のようにみんな思ってる。
だから新しい店や商業施設を作るとき、若い人たち向けのお店ばかりをつくりたがるけれど、実は大人も多く集まってくる場所。地味で目立たぬ存在だけど、若い人たちはタピオカミルクティーで満足できる。大人はしっかりお金を使う。そろそろ本当のコトに気づいてもいいのになぁ…、って思ったりする。なんだか不思議。

熱い蕎麦にもそば湯とそば猪口がついてくる。そばをたぐって食べても十分おいしいように汁は濃い目に仕上がっていてそのまま飲むといささか強い。舌を転がしゆっくり味わうと風味豊かをたのしめるけど、ゴクゴク飲むにはいささか重い。それでそば湯でわって飲む。蕎麦の風味と汁が混じってほどよい味になってくれ、なにより豊かな出汁の香り、旨味をたのしめる。天麩羅の衣の油もよきコクになる。オゴチソウです、オキニイリ。

 

関連ランキング:そば(蕎麦) | 新宿駅新宿三丁目駅新宿西口駅

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。