思い出のパスタと千駄ヶ谷富士

思い出に残る料理ってある?って聞いたことがある。
しばらく考えて「パスタだったらオステリアナカムラのカニとポロネギのタリアテッレが一番かなぁ」って答えた。
2人で探してはじめて行って、最初に食べた料理がそれで、おいしいなぁ…、って感心した。当時はランチもやっていて2人でせっせと通っては必ず食べていたのもそれ。
今もずっとメニューにあって、いつも食べられると思うとそのときどきのパスタの方に目がいって結局、この一年で1回食べただけだと思う。
はじめて食べるパスタはどれもおいしく、けれどお店をあとに帰る道すがら「今日もカニとポロネギを食べなかったネ…、次は絶対食べよネ」って2人で言ってた。結局、約束果たせずじまい。
代わりに食べに行きたいけどまだまだだなぁ…、泣いて多分食べられないもん。

それで今朝はカニを使ってパスタを作った。セロリを刻んで塩とニンニク、赤唐辛子。イカ墨を練り込み仕込んだタリアテッレを茹でて使った。
なんだかそんな感じに出来て、けれど当然、そのままじゃない。
「これは違うよ…、やっぱりナカムラさんちに行って食べなきゃ」ってタナカくんに叱られたに違いない。香りや味はちょっと似ていて一口食べて泣いちゃった。やっぱり行くにはまだまだ時間がかかっちゃうよ…、ナカムラさん。

今日は山の日。
それにちなんで山登り。バスにのって千駄ヶ谷までゆく。
鳩森八幡神社というお社があって、そこに江戸時代に作られたという「富士塚」がある。
千駄ヶ谷富士とも呼ばれてところどころに溶岩石が置かれた石積みの登山道は富士山さながら。一合目から山頂まで名所が作られ、ここに登れば霊験あらたか、ご利益があるという。
今まで何度か登ったことがあるけれど、今日ははじめて息が切れます。運動不足か気合のなさか。山頂からながめる景色は格別で、大きく息を吸い込んでゆっくり下山をして神社に参拝。
この前来たのは多分去年の菖蒲の季節。しばらくご無沙汰しておりました。頭を下げて柏手をうち、再び頭を下げて涙を流す。
今年のセミは泣いている。

山に登ったらおいしいパニーニをお供にエスプレッソを飲もうと思ってた。
けれど残念。
毎週月曜日は休みのようで、今日は休業。代わりに隣のモンマスティーでミルクティー。
アイスミルクティーが売り物で、これがおいしい。
冷たくしても、紅茶の苦味や風味がしっかり感じられ、ほどよく甘くてミルクの旨味がどっしり濃厚。
なのにゴクゴク飲めてしかも後味スッキリ。
ずっとこの店のことを「マンモスティー」だと思ってて、パニーニ屋さんの隣のマンモスティーはおいしいよ…、ってタナカくんに言ったらあれはマンモスじゃなくてモンマスだよって叱られた。どっちにしてもマンモス級においしいじゃんって訳の分からぬ言い訳をした。

一緒にマフィン。ベーコンチーズを選んで食べた。
もっちりとして食感しっかりした生地に、焼いたベーコンがたっぷり混じってマフィンの生地のほのかな甘みとベーコン由来の塩辛さ、脂の風味が混じっておいしい。
焼けてふくらんだてっぺん部分は溶けたチーズが焦げて仕上がり、ガリガリザクザク。風味豊かでニッコリします。
お店の外のベンチに座る。長細い二人がけのベンチの右に座って左を空ける。いつもボクの左側にいた彼を感じてしばらくのんびり。まもなくお盆。帰る準備をしているのかなぁ…、気持ちがざわつく月曜日。

 

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コメント

  1. norma

    大切な人をなくすのは、本当に辛いことですよね。

    街のあちこちに思い出が残っていて、自分でも意図しない時に涙が出そうになる。
    お店のBGMが一緒に聴いていた曲だと、それだけで胸がキュンッとしめつけられそうになったり、街で手を繋いで歩いているカップルをみるだけで、切ない気持ちになったりします。

    時間とは偉大なもので、大切な人が、もういないという事を受け入れられるようになりました。3年ほど時間はかかりましたが、思い出に対する抗体ができたように思います。
    辛くなるのを避けるために思い出の品を捨てたりもしましたが、初デートでもらった花をドライフラワーにしたものは、まだ捨てられないでいます。

    サカキさんも、時間をかけてゆっくりタナカさんとの思い出と向き合っているのですね。
    それほど大事な人と出会えた事は、幸せな事だと思います。

    どうか無理をされませんように。
    これからもブログを楽しみにしています。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      normaさん
      ずっとさみしい、さみしいと思って悲しんでいましたが、ここ数日はあいたくて、あいたくて胸がしめつけられるような思いで、声をあげて泣いてしまうことがあります。
      時間がかかると覚悟して、泣くことを我慢せずのんびりと夏を過ごすことにいたしました。
      別れとは哀しいものと知ってはいても、これほどまでとは想像すらしておりませんでした。コメント、痛み入ります。ありがとうございます。

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