思い出と食事するのにふさわしい食卓

最近、タナカくんと一緒にゆっくり食事をしているような気持ちになかなかなれなかった。
仕事、生活に両面においてなかなか思うようにならないことが次々あって、しかも持病の気象病もここ数日間、芳しくなかった。今朝はちょっと気持ちが軽い。頭も軽くてブルックリンパーラーがボクを呼ぶ。

思い出にひたりながらのんびり、心置きなく食事をたのしむに適したお店にはいくつかの条件がある。
いろんなときにいろんな目的でやってきて、いろんな思い出があることは当然のこと。人間味たっぷりの気の利くスタッフが働いてくれているなじみの店であればうれしい。
それから大きな箱であることかなぁ…、サービスの達人の目と気遣いが行き届きすぎている店は溢れ出してくる思い出の置き場所困ることがある。けれどお店は大きくなるとサービスの盲点のような場所ができる。一番多いのが料理が厨房から出てきてサービススタッフに手渡されるデシャップという場所。

目の前にはすぐ対処しなくてはならない作業が次々やってくる。
客席をながめると自分たちのサービスを待つ人たちがいて、気が焦る。
灯台下暗しのようになってしまいがちなテーブルが大抵空いているもので、今日もありがたいことに1卓ポツンと。「細やかなお気遣いはかまいませんので、のんびりさせてくださいな」と言って座った。
ここに来たら迷わずステックフリットです。
サイドサラダをノードレッシングで、アイスティーをたっぷりもらってしみじみ食べる。

先日、タナカくんのおかあさんから電話をもらった。
人ってこの世に生まれてきたことで、すでにシアワセなんだなぁ…、ということをパラリンピックの中継をみていてしみじみ思いました。
しかも息子はサカキさんていう人に出会って、メダルまでもらってあの世にいった。一番きれいな色のメダルだったと思っていますよ…、って。

もうどう答えていいのやらわからないほどに嬉しくて切なくて、そしてなにより悔しくて。どうやったらあのシアワセだった頃のことを、おかあさんに伝えることができるだろう…、と、今日はタナカくんとたっぷり喋った。
引っ越しのときに運び入れてまだ開封もしてない段ボール箱をいくつかあけることからはじめなくちゃネ…、思い出すことをありのままに手紙にかいて次の月命日までに送りましょうと、思いもしました。
脂控えめで噛みしめ感がおいしいステーキ。ザクザクカリカリ砕ける感じがおいしいフレンチフライにピクルス。全部食べようと頑張ったけどフレンチフライを3分の1程も残して、ピーチメルバで〆にした。

 

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コメント

  1. らら

    亡くなった後に、こんなにも偲んでくれる人がいる。
    それだけでタナカさんは今もシアワセだと思います。
    シアワセだったおふたり、ではなくて、今もこれからもシアワセなおふたり、なのだと思います。

    • サカキシンイチロウ

      ららさん
      いつも一緒にいてくれているような気がするんです。
      そういう気持ち。いつまでも大切にしたいなぁ…、って思います。

  2. よおぜふ

    母親は自分の幸せは兎に角も、子供の幸せを持って自身の幸せと感じるのだろうなぁと。
    タナカさんの今まで全ては分からなくても、あぁあの方に大事にして貰えたのだなぁ、、と心が満たされておられることと思います。

    • サカキシンイチロウ

      よおぜふさん
      母からは直接、命を受け取りましたものね。
      タナカくんが生きていたときからもっと大切にしてあげることができてればなぁ…、って本当に悔しい思いを感じます。

  3. れいちゃん

    一口噛み締める度に、溢れる思い出。

    思い出して涙ぐむではなく、切ないけど楽しかったたくさんの思い出。感謝の気持ちと、抱えきれないほどの愛。
    私もそう思って貰えるだろうか?と
    ふと、考えました。

    サカキさんのブログに会えて、良かった(^ω^)

    • サカキシンイチロウ

      れいちゃんさん
      頭が思い出すことと、気持ちやこころ、体全体で思い出すことがあるんですよね。
      本当にありがたいって思います。

  4. mohamora

    実は…サカキさんとタナカさんのお二人を新宿でお見かけした事度々でした。
    デパ地下の鮮魚コーナーでとか…1番印象に残っているのは、伊勢丹のおせちの予約の時です。
    何年か前、入口の所から椅子に座って待つ年があり、偶然私の前にお二人が座られておられたのです。
    前々からのこちらのブログのファンなのですが、肩をトントンし〝はじめまして!〟なんて出来ませんでした。
    係の方に呼ばれて、おせちコーナーに近くおふたりが歩いて行かれた後ろ姿思い出します。
    思い出して愛おしむって、亡くなった方にとっての供養になると思わずにはいられなくて…長文で失礼しました。私も時々お二人の姿を思い出しています。

  5. サカキシンイチロウ

    mohamoraさん
    当時、伊勢丹のおせちの予約は命がけでしたから(笑)。
    早起きが苦手なタナカくんを叩き起こして、パンフレットを握りしめて。毎年、並び方が進化していておっしゃるこの歳が一番よく誘導システムができていたように記憶します。
    ご挨拶をしてお節の予約をすませてから虎屋菓寮をご一緒できればどんなにたのしい思い出話になりましたことか。思い出話、ありがとうございます。

  6. チキタン

    サカキさん
    田中くんのお母様もサカキさんと話すことで救われているのでしょうね
    故人を偲ぶ
    大事な作業ですよね
    最近お天気も乱れがち
    お身体、大事にされて下さいね

    • サカキシンイチロウ

      チキタンさん
      整理しても整理しきれないくらいたくさんの思い出が次から次へと。そういえば、整理整頓は苦手な人だったですもんね…、と言って二人で笑います。
      今年の気圧の変化の小刻みにして頻繁なこと。夏バテとのあわせ技で少々困っております。

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