店が守ること、まもるべき人

ちょっと考えさせられる出来事がありました。
カウンターだけの小さな天丼専門店。
老舗の味を手軽な値段で気軽に楽しむことができるというのがありがたくて、たまに来ている馴染みの店です。
座って注文。
お代を払って料理ができるのを待っていました。
するとひと席隣に老婆がひとり。
座るなり持っていたカバンをカウンターの上に置く。比較的大きなカバンで底が土で汚れていました。
座って落ち着き、出されたお茶を飲みはじめるもカバンを下に置こうとする気配がないので、見るに見かねて注意をします。すると彼女、カバンを抱きかかえるようにしてこう言います。

「このカバンを、あんた盗ろうとしているんじゃあるまいネ」…、とそんな言いがかりです。言葉の端々が不明瞭で、だから取り合わず無視していたらそれから次々、暴言めいたことを言う。聞き苦しく、これはせっかくの料理をおいしく食べるムードじゃないなと席をたつことにした。そろそろ料理が出来上がる頃だから払ったお代はそのままに…、と思って立ち上がるとお金を握りしめたお店の人がおいかけてきて、手渡しながら「あの人、何度もお客様に迷惑をかける人なんです」と…。ボクはお客様として守られていなかったんだとそのとき思った。なやましい。

やっぱり天丼が食べたくて、小田急百貨店の食堂街の天一にくる。
いつもは伊勢丹の食堂街の店にくるけどここははじめて。メニューはほとんど同じだけれど、店のムードはちょっと気軽。テーブルにはあらかじめ天ぷら定食用にでしょう…、丸いお盆と天つゆ用の器が置かれておりました。
たのんだのは天丼で、するとお店の人がその器を下げるのですね…、そのとき「天丼ですので、この器をお下げしますね」と口に出して言う。お茶を持ってくるときには「お茶をお持ちいたしました」。サラダに漬物とやってくると、サラダは先にお召し上がりくださいといちいちうるさい。そういうように教育されているのでしょう…、お店の中が接客用語で溢れてる。ファミレスじゃないんだからとちょっと笑った。

今の日本の悪いところのひとつが「ああしろ、こうしろ、ああです、こうです」と声にする。
駅のホームや建物の中。
乗り物の中はそんなに危険な場所なのか…、って思わされるほど。
なにかあったとき。自分たちには責任がないとエクスキューズを先にしてしまう臆病者と、想像力を捨ててしまった人たちが作り出したこんな社会は好きじゃない。

あぁ、愚痴だらけ。いささか反省。気を取り直して、食事をたのしむ。
相変わらず、ここのサラダはオキニイリ。生姜の風味と辛さがおいしいオリエンタルな味わいで野菜の甘みを引き立てる。天丼の中身はいつもの天一のそれ。才巻海老が二尾にしいたけ海老真丈。穴子にキスにアスパラガス。それからエビの小さなかき揚げ、ひと揃え。

友人がしいたけが苦手というのでそれを引き受け、代わりに穴子を半分譲る。しいたけのムチュンと歯切れる食感にエビもムチュンと壊れる真丈。表面だけはサクッと歯切れる、その食感のにぎやかなのもおごちそう。
エビは小さいけれどしっかりとした正直なエビ。鮮度も抜群で、尻尾もカリカリ、甘くて旨い。
キスのおいしい季節です。分厚くふっくら、独特の香りもおいしくウットリします。タレをたっぷりまとったご飯。油の香りもおいしくて、しじみの赤出汁の酸味や旨味が天ぷら油をスッキリさせる。全部をしっかり味わって、たくわんつかって丼の底に残ったタレまできれいに食べる。オキニイリ。

 

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コメント

  1. すうさん

    何度も迷惑をかけるのに出入り禁止に何故しないのか、不思議です。みんな来なくなって潰れちゃいますよね。。。
    最近は居心地のよいお店ばかりに行くようになりました。歳をとってきたのかもですね(‘◇’)ゞ

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      すうさんさん
      おっしゃる通りと思います。
      ボクも新しい店よりもいつものお店。安いことよりも、そこで心から安心できる店を選ぶようになりました。
      やっと大人になれたと思うようにしています。

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