銀座ウエストの平凡を非凡に変えるマジック
朝をのんびり、銀座ウエスト。
どんな時間にきても朝の明るさ、気持ちよさで満たされているようなお店ではある。けれどやっぱり朝のキラキラした雰囲気は格別で、いつも空いててお店を独り占めしているみたいな気持ちになれるとこも好き。
いつもはサンドイッチを選んでたのむ。丁寧に作られた見目麗しいサンドイッチは、銀座の街のゴキゲンな部分だけを取り出してお皿の上に盛り付けた…、そんな感じがオキニイリ。
けれど今日は趣向を変えてトーストを選ぶ。トーストにリーフサラダにゆで卵、ジャムがついてひと揃えという。
この組み合わせは喫茶店の定番モーニングとまるで同じ。銀座ウエストがそこにどんな魔法をかけるんだろうと、アイスコーヒーをお供にワクワクしながら注文して待つ。
まず真っ白なお皿とガムシロ、ミルクの入った銀色ピッチャーをしたがえアイスコーヒー。あぁ、銀座ウエストに今ボクはいるんだと思わずニッコリ。
トーストのお供にお好きなものを2種類お取りくださいとバスケットに入ったジャム4種類、それからはちみつ。いちごジャムとはちみつをもらったところでサラダが到着。
ガラスのサラダボウルをのせたお皿にエッグスタンド、ゆで卵。さぁ、殻を剥こうと持ち上げたら殻はすでに剥かれていました。それに気づかぬほどに傷ひとつなく、こんなにきれいに剥いてくれるとはってウットリします。
甘い朝にしてやろうとガムシロップを注ぎミルクをポトン。
乳脂肪分の多いミルクが散り散りになりつつふわりとグラスの中に模様を描く。
さてトーストです。
よく焼いてくださいとお願いしたこともあったからでしょう。
こんがりとしたきれいな焼け色。
バターがたっぷり塗り込められていてツヤツヤしっとり。食べると唇がバターで一瞬ひんやりし、噛むとジュワッとバターのうま味がにじみだす。とはいえトーストが焼き上がった直後のカサカサ乾いて焦げた余韻は十分感じる。
この食パンだからこそサンドイッチがおいしく仕上がる。なるほどなぁ…、と思ってウットリ。おごちそう。
ジャム、はちみつようにナイフがふたつついてくる。どちらもピカピカ。しかもひとつはラギヨールのバターナイフというのがステキ。ジャムをのせるとバターの塩味がくっきりとし、はちみつと一緒になるとうま味が活き活き際立ってくる。
サラダにトースト、ゆで卵。月並みなものの月並みな組み合わせをおどろきに満ちたゴチソウに変えるマジック。堪能しました。うれしくってアイスコーヒーを2回おかわりしてたのしんだ。
今日のお店に流れていたのはドビュッシーの「ラモーを讃えて」。ドビュッシー独特のコロコロ転がるようなピアノの音が最初は哀しく、けれどゆっくり朝の気持ちをあたためて心地よくする。しばらくのんびりいたしましょう。
この世で、シンプルなものほど難しいものはないと感じます。ご飯を炊くとか、キャベツを千切りにするとか。茹で卵に関しては気を抜くと、殻と白身が一体になってしまい、時にスプーンがなければ食べられない残念な食べ物になります。
このサカキさんの写真ではツルピカ美人。完璧な茹で卵にブラボー!と声を出してしまいました。
明日の朝は、気を抜かずに美しい茹で卵を作ろうと決めました。
ツキミダンゴさん
ゆで卵を作ることって、簡単なように見えて思ったように仕上げることがとてもむつかしい。
何しろ殻を割って中を見るまで状態がわからず、割ってしまえばやり直しが二度と聞かないわけですから、今朝のゆで卵のようにすばらしい状態のものをみるとウットリしてしまいます。
おっしゃるようにシンプルなものほどむつかしい。それが料理の世界のおもしろいところ。明日はおいしい土鍋ごはんを気合を入れて作ろうと思いました。
こんばんは。
横から失礼致します┏○))ペコリ
ご存知かと思いつつ…茹でる前のたまごにプチンと極小の穴をあけておくと、殻は美しく剥けます♪
長らく押しピンの先を火で消毒していましたが、昨今は100円で専用の装置が買えるのですね。
ゆで卵好きとしては有難い限りです。
無粋なコメント、失礼致しました。
ららさん
プラスティックの土台に小さな針のついた、卵の殻に小さな穴をあける器具があったりもしますよね。
殻に穴を開けて濃いめの塩水で茹でてやるとほのかな塩味が卵に入ったりするのもたのしいですよね。
こんにちは。私いつも読みながら感心していることがあります。それは紹介されているお店に流れていた音楽について、サカキさん、いつも誰作曲のどういう曲ってコメントされていて、それも様々なジャンルのもので、スゴイなぁって、どうしてそんなにわかるんだろう?って思ってます。その音楽の描写でお店の雰囲気もより伝わって来ます。
Rieさん
ポップスやロックは好き嫌いがはっきりしていて何がなんだかわからない曲のほうが多いですが、クラシックは得意です。
声楽を先生について本格的に学んでいたこともあり、高校までは作曲家を目指したりもしていました。バロックからロマン派に至るまでが特に好きで、おそらく好きな曲がかかっているお店を無意識のうちに選んでいるからよく分かるのかもしれません。
そんなにしっかりとお勉強されていたんですね!
だからサカキさんの文章はリズム感があるのかしら。Rieさんのコメントのおかげで、思わぬサカキさん情報を頂きました(笑)
もうご存知かもしれませんが、雑司ヶ谷のビブリオクラシックというクラシック喫茶、おすすめです。
元技術者のマスターの人柄が素敵なのです。
志乃さん
ビブリオクラシックさん。
存じ上げませんでした。Facebookのページを拝見しましたらレコードに囲まれた座り心地のよい椅子で、何時間でもゆっくりできそうなステキな空間。
機会をみつけて伺ってみたくなりました。ありがとうございます。
サカキさんは銀座店がお好きなようですが、青山店はいらっしゃらないんでしょうか?私は(近いこともあって)青山店の方によく行きます。ホントは昔の青山店の2階の雰囲気、小林信彦氏が「さりげなく眦を決した」と表現した感じが好きだったんだけど。でもまあ、お正月に行くとリーフパイをお年賀にくれたりして、何かちょっと他とは違う洋菓子店の雰囲気が面白いですね。
わにさん
青山店限定のパンケーキやスフレが恋しくはあります。
ただバスを乗り継いでいかないといけないというちょっと不便な場所なんですよね…、直線距離は銀座より近いのになんで気軽にいけないんだろう…、って悔しい思いをしております。
四谷三丁目からなら、品川駅高輪口行きに乗れば、乗換無しで行けますけど。
わにさん
おう、そうでした。今調べて、こんな路線があったんだ・、と今更ながら不勉強を恥じました。
近々行ってみましょう。
現代美術館でなにかやっていればそれをみるついでというのもたのしいですね。