岐阜の福鮨し。家族揃ってのおもてなし
昼、「福鮨し」という家族経営の寿司屋にやってくる。
ゆったり6人座れるカウンターにテーブル2つ、座敷に2卓。
大きすぎず、小さすぎずの居心地よい店。
カウンターの中ではご主人のおじぃちゃまとお孫さんがたのしげに働いている明るいムードも気持ちいい。
コロナ前に何度か来たことがありました。当時は10種類ほどの惣菜が置かれてそれを取り放題というサービスが人気だった。コロナをきっかけにそのサービスはなくっていて、代わりに前菜料理の盛り合わせがまずやってくる。
茄子やちくわ、さつま揚げにこんにゃくの甘辛煮付け。じゃがいもの醤油炒め煮、かぼちゃのサラダ。タコときゅうりの酢の物。そうそう、こういう料理が並んでいたよね…、ってなんだかとてもなつかしく、食べ放題ではないけど十分満足できる。悪くない。
パン粉衣をまとった揚げ物がやってきました。
なんだろう…、と食べてみるとマグロカツ。
おいしい魚の香りにザクっと壊れて散らかるパン粉。
マグロ独特の軽い酸味が後口ひきしめ、口やお腹があったかになる。
あらかじめネタを切りつけて仕込まぬ店です。
注文が入ってはじめて皮をひいたり切り身にしたり。
だから時間は少々かかる。その分おいしいものが食べられるに違いない…、って思いながら調理の手元をみるのもたのしい。
待っただけのことのある寿司がやってくるのがなによりうれしい。生の車海老に茹でエビ、数の子、いくらの軍艦。鯛が2貫にマグロの赤身、サーモン、数の子、鮑で10貫お皿の景色のうつくしいこと…、うっとりします。
しかもたのしく食べてもらおうという工夫が随所に用意されてる。
鯛の上にはキャビアが飾られ、レモンを絞って塩をほどこし食べてね、という。キャビアの塩気、香りに風味が鯛の持ち味をふくらます。しかも塩はブルターニュの塩。なんだか新しいフランス料理を食べてるような気持ちがしてくる。
もう一切れの鯛は炙って、刻んだワサビをたっぷりのせる。活〆なんでしょう…、丈夫で頑丈、ぶりぶりしていて口の中で暴れる感じ。
そもそも魚は分厚く大きく、口いっぱいを満たす感じがなかなか豪快。あわびは塩蒸し、甘辛く煮付けた肝の味をたよりに食べるというのも粋で良い。お腹もしっかり満ちました。