岐阜の晩餐、雅味近どう

夜、岐阜で夕食。オキニイリの雅味近どう。
年が変わって3週間。料理の世界もファッションと同じですっかり次の季節に向かって準備をはじめてる。
まずやってきたお皿の上には升と豆。
節分仕様の一皿でした。
升の中にはイワシの煮物に煮たとこぶし。甘く仕上げた玉子焼きに芥子の実まぶした鴨の寄せ物。穴子の押し寿司でひと揃え。
春菊の胡麻よごしが小さな器にぎっしりと。右手の皿には出汁をたっぷり含ませた菜の花、トマトに豆腐が並ぶ。それらを食べるとお皿には鬼。他の人たちの皿にはお福の顔が描かれてなるほど節分の豆まきもした粋なあしらい。そういやボクは早生まれにて、今年めでたき歳男。

お椀が続く。まだ誰も蓋を触ってあけておりません…、と無垢の印の小さな水滴。蓋をあけると白味噌仕立ての汁でした。
今年は白味噌の汁の当たり年…、って先日虎屋で食べた雑煮を思い出す。実はエビの真丈でつくった豆腐に揚げた海老芋、人参、大根と雑煮の餅をエビの豆腐に置き換えたような一品。しみじみおいしい。
それから刺身がやってくる。中トロにホタテの柱。ふぐの刺身で芽ネギを巻いたテッサ仕立てとこれまた粋。熟成されたふぐの刺身がねっとり、奥歯にまとわりついて強い旨味と一緒に歯切れる。本格的にお腹がすいてくる感じ。

それからここのスペシャリテと言ってもいいだろうあんかけ団子。
今日は黒豆を混ぜた団子にカニのほぐし身。
出汁がしっかりきいたあんはポッテリ、ねっとり。
口の中にやってくるまで固体に近く、箸でも持ち上がるほどなのに口に入るとあっという間に出汁に戻っていくのがたのしい。
カニの風味もオゴチソウ。

天然のブリの焼き物がくる。
脂がのった分厚いブリの切り身でござる。背に近いところはミッチリとした肉的食感。腹の部分はジュワッと脂が揮発する。塩の風味に旨味に酸味。特に酸味が鮮やかで食べてお腹がすくオモシロさ。醤油で洗った大根おろし。千切りにした大根を塩になじませ搾ったものとお供も見事。堪能す。

それからあんこう。素揚げにしたのコッテリとした甘辛醤油で煮込んだモノ。箸で肉を剥がそうにもしっかり貼り付き粘り気もある。だから手づかみ。前歯を当ててしごくようにして剥がして食べると、ムチュンとゼラチンが口の中でとろけて消える。力強さにウットリします。
〆は海苔のあんかけご飯。ご主人がほぼひとりで料理を作る店ですからして、〆に手間をかけることがむつかしい。だからの工夫のこのあんかけ。極めておいしい。今日は正月仕様でいくらがたっぷり混じり、ねっとり感が際立つおいしさ。ミルクのムースにいちごが寄り添う水菓子で今日の晩餐の幕を引きます。ゴキゲンな夜のオゴチソウ。

 

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コメント

  1. ボルテイモアのおかず

    アメリカ人の友人がBBCテレビで日本の宗教と自然の繋がり等のプログラムを見て、例として「神道では蟻が身内の生まれ変わりだとして拝むって本当?」と聞かれました。「そこまでは普通はしないけど自然を拝んだり、日常の中にも溶け込んでるかも」と、この雅味近どうさんのお写真を送りました。節分の風習、お椀の椿の模様と人参型、お刺身の一品が雪から芽吹いている他、自然を取り入れて象徴にしている等のコメントをつけて。
    そうしましたら、とても感銘を受けた様子で「これらのお料理で、言っている事が良く解った。日本人の精神て素晴らしいですね」という返事でした。
    近どうさんのお料理と、サカキさんのブログに感謝です!

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      ボルティモアのおかずさん
      日本に生まれて日本で育ち、日本で生活していると当たり前のことが、他の国から見ると当たり前でないことがたくさんあるんでしょうね。
      かけがえのない当たり前を粗末にしないで、大切にしたいって思いました。ありがとうございます。

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