岐阜の安田屋
岐阜に移動で、今日は料亭で豪勢に…、と、おいしいモノと戯れる夜。
「安田屋」という由緒正しい料亭で、玄関からみる正面部分はこじんまりした民家風。
ところが中に入ると長い通路があって、通路の向こうに玄関がある。
女将がそこで膝を折り、ニッコリ微笑みお辞儀で挨拶。なんと格調高いしつらえ。西洋建築と違ったドラマティックな空間に、自然と背筋が伸びていく。
座敷の個室に落ち着いて、まずはお茶のおもてなし。
ぬるめのお湯でじっくり時間をかけて落としたお煎茶を、ほんの少々。
「いらっしゃいませ」の挨拶がわりの粋なもてなし。この一杯で気持ちがほっと落ち着いて、おいしいモノに期待が膨らむ。
まずひと皿目。
柿色の皿にちょこんとエビが一尾。クルンと背中をまるめて佇み、周りに土佐酢のゼリー寄せ。
奥にはしめじと季節の青菜のくるみ和え。
味はきっぱりメリハリがあり、ここの料理の傾向とでもいいますか…、酒をおいしく飲めそうなたのしい予感にビールを一杯。
それにしても周りは民家と畑があるだけ。なんでこんな場所にと思って地元の人に聞いてみる。そしたら近所に木曽川があり、昔は水運で賑わった場所。その頃の瀟洒な文化が今でもこうして残っているという話。なるほどそれは素晴らしい。
お椀がどうぞとやってくる。見事な蒔絵の蓋付きの椀。
蓋をあけるとまず目に飛び込むのが、立派なシイタケ。分厚く、しかもコロンと形も美しく、口に含むとプチュリと歯切れる。ネットリとした食感に秋の香りが口に広がる。
白身魚のしんじょの中にはあずきに銀杏、枝豆がパラパラ散らかり、ふっくらとしたすり身の食感引き立てる。ところどころに角切りにした山芋が潜んでそれがサクッと歯切れて、口を目覚ます。出汁の旨みもどっしりと、お腹がたのしくあったまる。
そしてお刺身。もみじの葉っぱを思わせる、凝った形のお皿に3点。甘エビ、大トロ、イカがキレイに並んでる。
ひとつひとつの刺身は見事な鮮度と味わい。
ただ味よりも、この盛りつけ方。角度がかわるとまるで違った料理に見えて、しかもどの角度からもうつくしく見えるところが立派と思う。
魚の料理があれやこれやと。岐阜といえば海無し県ではあるけれど、魚は日本料理のやはり華。
素材の特徴を活かして仕上げた料理さまざま。
例えばキンキをしっとり焼いて、そのネットリとした食感活かすようにと千切りにした茹でたじゃがいもをたっぷり飾る。そのシャキシャキとした食感の中に、トビコの魚卵がプチプチはぜて、なんともたのしい。
ふぐの唐揚げは季節先取り。まだまだおいしくなってちょうだい…、といいつつこの一皿の主役はおそらく銀杏だなぁ…、と。そういうこともたまにある(笑)。
魚料理の中で秀逸だったのが、あんかけで仕上げた甘鯛で、実は甘鯛はあまり好きな魚ではない。
理由はベタッと身がやわらかで正体不明を感じるから。
ところがそれを軽く炙ってあんをとろりとかけることで、身のやわらかが気にならないであんとスルンと一緒にお腹にやってくる。下にお供で添えられた出汁をタップリ含んだ大根。それがプチュリと歯ごたえよくて、魚の食感ひきたてる。
これら料理がほどよいリズムでやってくる。その傍らでずっと鍋が作られているというのがここの特徴的なるおもてなし。
出汁に八丁味噌をとかしながら、野菜や豚肉、牡蠣や豆腐を煮込んでく。味噌の香りがずっと食欲くすぐりながら、仕上がる具材を一杯、そしてまた一杯。
甘くて味噌の旨味や香りが食欲くすぐり、しかも具材をおいしくさせる。
牡蠣が赤味噌と合うのは当然。豚肉だってふっくら仕上がる。何より豆腐がおいしくなるのにビックリしつつ、具材の旨みが味噌出汁にうつって出汁までうまくなる。
これはおいしい。
しかもじんわり体が芯からあったまり、しかも一つのお鍋をみんなで分け合いながら食べるシアワセ。話もたのしく進んでいきます。
〆のご飯もまたおもしろく、この味噌鍋の中で玉子を煮込んでご飯の上にのっける。
玉子を崩して、味噌味の玉子かけご飯のようにしながら味わうというモノ。
みなさんやわらかめでいいですか?って、聞かれてボクだけちょっと固めでお願いをする。白身がきっちり固まれば黄身はトロトロでもいですから…、ってお願いしたらその通り。
味噌の風味で玉子臭さがまるでなく、ご飯に味噌が染み込みこれがなんとも旨い。
ぶどうのムースを食事の最期に食べてお腹に蓋をする。季節の味を堪能しました、オゴチソウ。
あー
岐阜に
すや
以外に
うまいもの
あるじゃないですかー(笑)
ありました、おいしいものが。
この店だけじゃなくて、結構、いいお店があるんですおよね。
案外、名古屋より岐阜の方が好きかもです。
お写真が〜!
どれもキレイで、美味しそうで。
お着物の仲居さんもとっても素敵です。
撮ってもらった人やモノたち、幸せですねぇ^_^
おもちさん。
こういうお店は写真の撮りがいがあります。
ぼやぼやしてると、料理の食べごろを逸するので時間勝負。忙しい夜でした(笑)。
蒔絵のお椀から菊模様のお皿、お料理だけでなく器もすべて素晴らしいですね。堪能させて戴きました。
それでもって、味噌煮の卵のせ御飯が一番美味しそう、ってナンだろう?可愛いデザートでとどめを刺されましたー。
え~ん、飛行機で飛んできた~い!
ボルティモアのおかずさん。
そうなんです。こういうところが日本料理のすばらしいところですよね。
ボクは牡蠣を食べにボストンまで飛んでいきたいです。
ぜひいらして下さ~い!ここチサペク湾でもおいしい牡蠣が採れるんですよ。返信どうも有難う御座います。