岐阜で60年、西松亭

岐阜で夜。西松亭という料亭に来る。
60年を超える歴史の店ということだから、岐阜の町が糸偏景気で湧いた頃からある店なのでしょう。
庭を取り囲むように座敷の個室が並んで、それぞれ座敷にぬれ縁。金の屏風に豪奢な生花。
最近、改装したのでしょうか…、新しい畳やヒノキの香りが漂って自然と背筋がススっと伸びる上等な店。食卓の上には朱塗りの四角いお膳。
まずお椀が到着。「焼き牡蠣の汁」というまさに季節のおもてなし。
蓋をあけると薄切りの大根。上にすり下ろした生姜が乗せられ、下には焼き牡蠣。牡蠣の香りと焦げた風味が繊細なのに野趣あふれる粋な一品。薄切りの大根がようやっと浮かんでいられる程度のとろみで汁はズッと熱々で、体が芯からあったまる。

ただお椀の蓋に霧吹きで水を施す、上等な日本料理の約束がなされてなかった。ちょっと寂しい。
柚子と昆布で〆た鯛。脂ののったマグロに〆鯖と刺身が続く。あしらいすべてを松の葉でおきかえた盛り付けが潔いのか、新しいのか…。
ここではじめて吹き寄せ前菜と、料理の順番もいささか斬新。あしらいの葉っぱをとってしまうとどうにもこうにも特別感に欠ける姿になってしまう。日本料理って気配と予感を味わう料理でもあるんだなぁ…、って思う。
そして焼き物。さわらの柚庵焼き。皮が焦され仕上がって噛むとサクッと軽く壊れて油がにじむ。しっとりとした身質を引き立てる。添えられた銀杏の粒は大きく、季節の装い。

蒸し物がくる。
穴子と焼き茄子の鼈甲餡。
やわらかく炊いた穴子に刻んだ山椒。
山葵たっぷり。
ぽってりとした鼈甲餡がたっぷりかかって蓋をする。
刺身のときにも感じたけれど、わさびがおいしい。
香り高くて甘味や旨味さえかんじさせるやさしい味わい。
にもかかわらず最後にツーンっと鼻から抜ける辛みと香りがおいしくて、鼈甲餡の甘味、風味のよきアクセント。
穴子の下には焼き茄子です。
しかも仕上がり具合の異なる焼き茄子。上半分はシャキシャキとした繊維の食感を残した仕上がり、下半分はとろんととろけるなめらかなもの。とろける穴子の引き立て役と、一緒にとろける相棒がひとつお椀の中にあるというおもしろさ。
季節のひと鉢、柿と梨、ぶどうの白和。カリカリの柿、シャリシャリの梨と、どちらも得意な食材でなくけれどぽってりとした濃厚な豆腐のピュレと一緒に食べると、これがなかなか乙な味。

西洋料理のコースであればメインディッシュにあたる強肴が和牛と松茸のすき焼き仕立て。
料理が運ばれてきてハッとする。生卵の黄身がぽんっとすき焼きの上に置かれてる。生の卵は苦手でどうしようかなと思うも卵がとても頑丈。そっと避けるように食べると壊さず食べられた。歯茎を必要とせぬほど脂がきめ細やかな牛肉で、お腹が満ちる。
そして〆。松茸ご飯に赤出汁をたべ、その松茸ご飯がおいしいのにおかわりができないほどにお腹いっぱいというのがちょっとくやしく思う。ヨーグルトアイスクリームにフルーツでお腹に蓋する。ほどよき夜のオゴチソウ。

 

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