岐阜、茶碗蒸し、ポポラート

岐阜の朝。
ポポラートっていう喫茶店にやってくる。
畑と住宅が入り混じる地区、生活道路に面してあって山小屋造りの高い屋根した大きな建物。
「コーヒーレスト」って店名の前に書いてある。
昭和40年代、喫茶店全盛の頃。
ただ喫茶店と名乗るのでは他のお店との差別化ができないからといろんなタイトルが次々生まれた。
コーヒーハウスやコーヒーレスト。レストハウスとか「レスト」ってつくのは結構あった。このレストが休憩の意味のレストであったり、レストランの略だったりと、創意をこらしてつけた。
今となってはそれらすべてに昭和の香りがただよいなつかしい。

その懐かしさに惹かれて、シニア顧客でいつものんびり。のどかな状態。…、なのだけど、今日は若い女性の姿をチラリホラリ。若い人たちが喫茶店のモーニングばなれしてるんだ…、って業界の人たちは危機感持っているけれど、こうして顧客の新陳代謝が起こっているのはよろこばしいこと。

さてモーニング。
モーニング用のメニューが特別あるわけじゃなく、その時間帯に飲み物を注文するともれなくセットが付いてくるのが、この地方のデフォルトシステム。
ホットコーヒーをまずたのみます。
ハンドドリップで落としたコーヒーがカップに入ってやってきて、それをおいかけ、モーニングのセットのメインがササッとやってくる。
決して作り置きというわけじゃなく、メニューはこれだけ。だからお店にお客様が入ってきたら飲み物の注文をとる前に準備ができるワケです。スピーディーなサービスが朝にはウレシイというワケでしょう。

お皿の上に料理さまざま。厚焼きトーストの上にスクランブルエッグを乗っけて伸ばし、ケチャッププチュっとほどこしたモノ。千切りキャベツのドレッシングあえ。茶碗蒸しにバナナがついてひと揃え。

茶碗蒸しがつくのが岐阜モーニングのスタンダード。
ここも含めて喫茶店のテーブルの上に置かれた茶碗蒸しをみて、いつもなんで茶碗蒸しなんだろう…、ってワケ考える。
作り置きができ、原価がそれほどかからない。
熱々、なめらか。朝のお腹にちょうどよい。
作り手と食べ手の双方にとって都合の良い料理だからというのが一番なのだろうけど、それだけなら別に茶碗蒸しでなくても他に適した料理はいくつもあったはず。

卵が原料のこれがあれば、卵料理を作らなくていい。
出汁をたっぷり含んで仕上がるこれがあれば、汁をわざわざ作る必要がなかったりもする。しかも中の具材を定期的に変えることで季節感を演出できたりするというのが、なお便利でそれで重宝されているに違いない。
へんてこりんな創意工夫をしなければ、味は安定しやすく嫌いな人も少ない。ここの茶碗蒸しもいつも同じでほどよくおいしい。

口どけの良いフカフカのパン。
耳までやわらかな今時はやりの食パンで、ちょっと甘めなところに有塩バターをたっぷり塗ってる。その塩味とパンの甘みが互いをひきたて、そこにケチャップの酸味の風味。卵と一緒にすべてがとろけて口を満たして消えていく。
朝の口を甘やかすような味わいにウットリします。

酸味の少ないドリップコーヒー。ミルクをポタリ。一瞬すべてが下に沈んでゆっくりそれが花を咲かせるように広がり、コーヒーカップの中を満たしてコーヒー牛乳色にする。やわらかな朝。ゴキゲンに。

 

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コメント

  1. Runo

    トーストに茶碗蒸し、ですか?!茶碗蒸し大好きなので大変興味をそそられますが、でもできることなら相棒はパンではなくおにぎり希望(笑)
    朝食に茶碗蒸しという献立は考えたことがありませんでしたが、今度作ってみようかと思います。夏は冷やせば朝から食が進みそうですね。大鉢で作っても楽しく美味しそうです。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      Runoさん
      これでトーストがあんこを乗せた小倉トーストだったら完璧な岐阜モーニング。あんこの甘さとバターの風味、カサカサとしたトーストに茶碗蒸し。
      抜群の組み合わせです。

  2. いにしえ

    サカキさん、こんにちは。
    岐阜の人は、茶碗蒸しが付かないとご馳走とは感じず、逆に茶碗蒸しさえ付けばご馳走感アップすると聞いたことがあります。
    確かにそうかも、と思う岐阜出身者です。他のご家族は知りませんが、実家では茶碗蒸しは頻出であり、茶碗蒸しの日はヤッホーという感じで家族総出で取り組む偏愛度です。
    東京では蒸し茶碗を売っているのを余り見掛けませんが、お家では作らないのかしら。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      いにしえさん
      喫茶店に限らず、茶碗蒸しが出てくるとうれしく感じますよね。しかもその茶碗蒸しがたっぷり大ぶりのお茶碗に入っていて、具材豊富だったときはうれしさひとしお。
      東京では確かに茶碗蒸しを出す店が他の地方に比べて少ないように感じます。設備のこともあるのでしょうネ…、貴重な厨房スペースを蒸し器でひとつ潰してしまうのがもったいないからかもしれない。おっしゃるとおり食器屋さんに行っても蒸し茶碗みかけませんし、謎であります。

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