山の上にて、とびきりの朝

ありがたいことに台風もスルッとスルーで明るい朝。東京はナニモノかに守られている特別な場所のような気がして目覚める。
せっかくだから特別な朝。
打ち合わせも御茶ノ水近くであるというので、「山の上の朝ご飯」を奢ることにする。
天ぷらのおいしい日本料理のお店です。山の上ホテルの看板を背負った名店でもあって、そんな場所で朝ご飯が食べられる…、というのがステキ。一時期、メインダイニングだけが朝食営業になり和朝食もそこでと仕組みが変わってしまい、あぁ、このホテルもダメかもしれない…、って心配したけどめでたく元に戻ってくれた。昼の仕込みを丁寧にする調理人の姿をみながら朝をはじめる。なんと特別。ありがたい。

磨き上げられた白木が朝日で黄金に輝き、その黄金色が空間全体を満たす特別。
お粥かご飯かを選べばいいだけ。
ご飯を選ぶ。
じっくり待ちます。
注文してから仕上げる料理を待つ時間。
新聞をザザッと斜めに見出しを読んで、気になる記事を三つ、四つと読み込むうちに料理整いやってくる。

まずは料理が運ばれて、続いてご飯に汁、漬物が運ばれて今朝のひと揃え。ずっとここの朝ご飯はご飯のお供が長方形の仕切りの箱に収められメインをなしてた。いろんなものをちょっとづつという趣向が楽しくはあったのだけど、どことなくお弁当的とでも言いますか、華やかさにちと欠けた。

ひさしぶりに来てみれば姿一新。焼き魚と卵焼きが並んだメインの皿に、足高の器に刺身。蓋つきの煮物椀に小鉢の料理と、まるで朝の会席料理のごときにぎやかにして贅沢な様。ウットリします。
魚は鮭。皮までバリッと焼かれてて身はしっとり。
卵焼きはだし巻き卵じゃなくて砂糖で甘く仕上げた厚焼き。家で作る卵焼きを思いっきり上等にした…、って感じの仕上がりがむしろうれしい。
刺身はマグロ。赤みのキレイな見た目を裏切るしっかりとした脂ののりでとろける。そして上等な脂の香りと酸味と一緒に御飯をねだる。オゴチソウ。出汁がしっかり染み込んだニンジン、しいたけ、練り物は口を潤す。

ここのちりめん山椒は人気の商品。
お土産にと買っていく人もかなりいるほど。
ご飯にのっけてパクリ。パラリとちらかり噛むと山椒の香りが飛び出す。ビリリと辛く舌がたのしくしびれるおいしさ。しっとりとして味わい深いちりめんもご飯と一緒に潰れるおいしさ。
水菜のおひたしの上に糸がきのかつお節。パリパリ歯切れて口の中をみずみずしくする。山クラゲとニンジン、細切り油揚げを炒め煮にしたひとさらは、胡麻の油が食欲さそう。
出汁のきいた赤出汁、キャベツと大根、きゅうりの浅漬。どれもがやさしく、おいしくて一口ごとにしみじみ体に滋養がしみこむ。この東京で一番好きな和朝食がこれ…、ってしみじみ思う。オキニイリ。

 

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コメント

  1. ちい

    20年以上前、入社式がこのホテルでした。
    池波正太郎の世界かあと思ったのを覚えています。
    優雅で、大人の入り口に立った気がしました。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      ちいさん
      「大人の入り口」。たしかにそう思います。
      地下におりていくとしっとりとした雰囲気のバー。コーヒーショップの料理も、中華料理のお店も上等。ずっとかわらずあってほしいなぁ…、ってしみじみ思う場所ですネ。

  2. マーリン

    明治大学卒業生です。四半世紀前の卒業式の日、友人たちと「せっかくだから一生の思い出に残る贅沢をしよう」と、ここでご飯を食べたことを思い出します。マナーも何もしらない大学生5-6人が袴姿で入ってきて、お店は迷惑だったに違いありませんが、とても丁重なもてなしを受けたことを覚えています。
    あれが、ほんとうの「大人の店」だったんだなぁと折に触れ思い出します。いまもそうなのですね。うれしいです。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      マーリンさん
      心に残る贅沢。いい店を選ばれましたネ。
      ボクもこの店にはじめて入ったのが思案世紀ほど前…、ちょうどマーリンさんと同じころ。
      ギラギラした贅沢な店を生意気にもいくつも経験していた目には、地味でけれどこれが本当の贅沢なんだなあ…、としみじみ思い知らされるいい体験をしたものでした。
      これからもずっとこのままであってもらうためにも、忘れぬようにたまに来てみなくちゃ…、と思っています。

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