屏風は広げすぎると倒れちゃう…。

今日は肉だなぁ‥、と思って家を出る。テクテク歩いて新宿二丁目のいきなりステーキにやってきてみる。
サーロインを300g、ミディアムレアで焼いてもらった。
いきなりステーキが好きというわけではない。
換気の悪い安っぽい店。座り心地の悪い椅子。どちらかと言えば来たくない店のひとつではあるのだけれど、分厚い牛肉でお腹いっぱいになりたいと思うと頭に思い浮かぶのがこのお店。
かつて熱狂を作った店で行列もそこここにあった。
けれどその行列も考えてみれば注文を取るのに時間がかかるシステムだったり、人気以上に小さな店であったればこそ。「出来た行列」じゃなくて「作られた行列」だったという部分も大きく、そこらじゅうにお店ができたらあっという間にメッキが剥げた。こんなに沢山作らずに、1店1店をたましい込めて作るべき場所に作っていれば未だに人気の行列店であっただろうなぁ…、って思ったりする。

「飲食店は屏風と同じ。広げすぎると倒れちゃう」とボクのおばぁさんがよく言っていた。
屏風を開きすぎると屏風の端と端が遠くなる。
一方の端には経営者。
反対側には現場で働く人がいて、両者の距離が遠くなると会社は上手く回らなくなる。
あるいは経営者の反対側にお客様がいると考えるなら、経営者のひとりよがりにお客様がそっぽを向くような状態が生まれてしまうと考えることもできるでしょう。
精一杯に開いても屏風自体が分厚ければ、自立することもできる。屏風の厚さは利益の厚さ。薄利多売のチェーンストアが開ききってしまうと自立できずに倒れる。大変だなぁ…、ってしみじみ思う。

鉄板で好みの焼き加減をたのしめるからと、レアを勧めてくるのだけれどそれほど蓄熱してない鉄板。だからすぐに冷たくなっちゃう。
そもそも熱を通してしまうとバサバサになり品質劣化してしまう肉。それで限りなく生で食べさせようとする。
調味料が多彩に揃っているのも足りない肉の味をでっち上げるため。かつてサービスと思われていたありとあらゆることが今では負けた理由のように見えちゃう。
結局塩と胡椒と醤油の組み合わせが無敵であって、ボクはそこにタバスコの酸味とマスタードの風味をくわえて味ととのえる。
なくてはならない店ではないけど、あってもいい店のひとつであろうと思う。これからどうなって行くんだろうネ…、むつかしい。

 

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肉の〆にコーヒー。椿屋珈琲店に来る。
この店も急速に多店化したチェーンのひとつ。ただいきなりステーキとはまるで違った展開スタイル。
お店にたっぷりお金をかけて、コーヒーという原価の低い商品を考えうる限り高く売ることに注力している。飲食業というよりも「装置産業」のようにさえ見え、その観点からみればいきなりは「食品商社」のような産業。肉に付加価値をつけるのでなく肉を加工する手間賃をお客様から頂戴しているだけに思える。
どちらがよくて、どちらが悪いということじゃない。
飲食店にはいろんな商売の仕方があって、それが時代にあっているのか、規模や立地にあっているのかを慎重に選びながらする商売。いろいろ勉強いたします。

 

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コメント

  1. 匿名

    商売は難しいですね、浮き沈みがありますから。GOP率も悪いのでしょう。
    ただ思うのは拡大再生産するのは良いが、足踏みした時を考慮しないといけませんね。

    近頃は厚いステーキはUS牛で焼肉など薄い肉は和牛か国産牛が好みです。
    豪州のは肉の味わいが薄く感じるのです。修業時代からグレインフェッドばかり食べてましたから。

  2. batten

    すいません、名前忘れました。
    匿名は私です。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      battenさん
      飲食店は本当に利益が出ない商売になってしまいました。いきなりさんにしても売上の数%しか利益を残せない。にも関わらず店舗を出すには多額の出費を必要とするのですから闇雲に店を増やす人たちの気持ちがよくわかりません。店を増やせばなんとかなる…、という発想で我慢するのでしょうね。その結果は目に見えているのに。

      グラスフェッドの肉の風味が好きな人もいますよね。ボクはやっぱりグレインフェッドの濃厚な脂の味わいが好き。上等なUSビーフは中途半端な和牛よりおいしいと感じます。

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