生なパスタに、小柱がおいしい今だから…。

小腹がすいたらやってくるのが紀伊國屋書店の地下の食堂街。
狭い通路の両側にずらりと飲食店が並ぶおいしいフロアーで、うどんやカレー、とんかつ、パスタ、果ては焼きそば専門店と個性的で気軽なお店が揃っているのがたのしくもある。
5年ほど前までは昔からやってるお店がほとんどだった。けれど最近、テナントの入れ替わりがちょっと激しくなりはじめ、古参の店はカレーのモンスナックとスパゲティーのジンジンだけになっちゃった。
もっともスパゲティーのジンジンは10年ほど前に経営母体が日清製粉系の外食会社になっちゃって、昔の料理とは若干違ってしまったから、果たして昔ながらと言えるかどうかちと微妙。カウンターだけ。カレースタンドみたいな造りで、気軽な雰囲気のせいでしょうか…、スパゲティーの店なのにおじさん顧客が多いところがまた独特。コロナ対策でビニールカーテンがカウンターの上に下がってヒラヒラしてる。

昔からここで食べるのはしめじとアサリのスパゲティー一択です。
注文すると「しょうが一つ」と厨房に告げられる。
今でこそ、流行りに乗じてナポリタンやミートソースに注力している店だけど、かつては和風スパゲティーが売りだった。
たらこやしめじ、ツナ、明太子とどれも塩味、醤油味というのが特徴。
なかでもちょっと変わっていたのが「生姜醤油」で味を整え仕上げるもので、その代表がしめじとアサリのこれだった。
その名残りで今でもこれをたのむと「しょうが」とお店の人は言う。なんだかちょっとなつかしい。
楕円形の小洒落た深皿。こんもりと盛り付けられたスパゲティーの上には海苔がパラリとのせられ、醤油の焦げた匂いに混じって柚子の香りが漂ってくる。前からこれは生姜味じゃなく柚子味だよね…、って思ってずっと食べている。

アサリは水煮の剥き身がたっぷり。しめじ以外にマッシュルームにしいたけがドサッと入った具だくさん。シャキシャキ感を残して炒め上げられた玉ねぎ、それからパセリで仕上がる。具だくさんって感じがたのしい。
昔は茹でおきの乾麺だった。けれど今では生パスタ。注文してから茹であげるっていうのが売りではあるのだけれど、生のパスタはネチネチしていてちと苦手。フォークでからめて巻いてくと麺だけからまり、具材があとに残され最後は具だけになっちゃうところもちょっとなやましい。
感染リスクを怖がる風潮にあって、ここはお冷のグラスも調味料もカウンターの上にドサッと置かれてる。その無防備にむしろホッとしたりするのがオモシロイ。タバスコじゃばじゃばかけて味わう。虫養い。

 

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小柱が安くてたっぷり、思わず買った。
貝のおいしい季節のゴチソウ。
まず小柱を丁寧に洗って水気をとって、白だしをちょっとかけて冷やしておく。
焼いた鮭のほぐし身に日本酒をかけ煎りつける。
鮭の臭みがとれたところでまた冷ます。
キュウリを切ります。
時間をかけて極細に。
それから大葉もまた細切りに。
あとは蕎麦をゆがいて冷ますだけ。
ちょっと硬めに茹でました。たっぷりのお湯で麺がくるくる、回るように舞うようにずっと強火を保って茹でる。
茹で上がったらザブザブ洗う。
よくもみながら麺の表面のぬめりをしっかりとりながら、手のひらの中でゆっくり蕎麦が冷たくなってキリッとしまっていくのを感じる。冷たいツユを器にはって、そこにそっと蕎麦をのっける。具材を飾り胡麻をちらして、すだちをしぼり出来上がり。
永坂更科布屋太兵衛の夏の料理に「そばちらし」っていうのがあって、それをなぞった夏の一品。小柱のプルプルがある。コツコツ奥歯を叩いて壊れる儚さもある。シャキシャキとしたキュウリの食感、鮭の風味に大葉の香り。そばのザックリ歯切れる感じもさわやかで、お腹がシャキッと満たされる。

コメント

  1. のえまみ

    サカキさま

    夏の「そばちらし」に、ほほぉ~っと。素材の良さとともに、下ごしらえの丁寧さが美しき味を約束するのでしょうね。もちろんあなたの腕もあるでしょうし。
    これは早速真似をして作りましょう。

    ジンジン、大むかし学生の頃に友人がバイトをしていました。あのころの紀伊国屋の地下って、なんだかいつもカレーの香りが漂っていたような記憶があります。
    書籍とカレーって切っても切れないものかもしれませんね。神保町もそうですけれど。

    この季節は、気圧の変化で体調を崩しがちです。
    御身お大切になさってね。

    きょうもおいしい情報ごちそうさま!

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      のえまみさん
      おっしゃるように紀ノ国屋の地下はカレーの匂いが溢れかえってますよね。
      しかも昔からのモンスナックのカレーの匂いに混じって、数年前から地下道から上がっていくエスカレーターの登った先にカレーのお店ができて、複数のカレーの匂いが入り交じる、なかなかにスパイシーでお腹すかせるフロアになりました。
      本を買ったら目次を読みながらカレーを食べる。
      そんな習慣も本が売れなくなった時代にはどうなっていくのでしょうネ。

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