小天地にて上海蟹のメスとオス

そろそろ上海蟹がおいしくなってくる季節。いつもこの時期、蟹を食べに行く店に先日電話をかけて、いい蟹そろそろ入ってますか?って聞いてみた。
そしたら今ならメス、オスどちらもいい感じ…、って答えをもらって即座に予約。「小天地」っていうお店。
中国料理の高級店として有名な中国飯店のカジュアルライン。六本木の中国飯店の近所にあって、気軽な雰囲気でおいしい料理が食べられる。値段もほんのちょっとだけ気軽でこの時期、重宝する店。
電話の通りにメスとオス。どちらも甲羅の真ん中がこんもり盛り上がってズッシリ重い。それぞれ一尾、蒸してもらってそれが仕上がる間にあれこれ。まず紹興酒漬けの酔っ払い蟹をチュチュっと食べる。

甲羅の上には黄色く染まった玉子がタップリ。
スプーンですくって食べると紹興酒の風味に混じってネットリとした濃厚なウニのような味わい。
口に広がり上顎にピトッと貼り付きずっと旨みを吐き出していく。
軽い渋みがおいしくて、一方足の肉はなめらか。
口をつけチュチュっとすするとドゥルンと口に肉が飛び出す。スベスベ、ムッチリ。生のホタテを吸い込んで味わうような食感たのしく、甘くて強い旨みにウットリ。

それからこの店で必ずたのむ押し豆腐。
やさしい味わいのスープに使って香菜たっぷり。コツコツ、奥歯で歯切れる食感たのしくこれはこれで十分おいしい。
それを酔っ払い蟹のタレに浸して食べると笑っちゃうほどおいしくなる。紹興酒の香りと醤油の風味の中に蟹の旨みが溶け込んで、それが豆腐と一緒にズルンと口の中へとやってくる。蟹の風味の豆腐のつけ麺。なと贅沢、ニッコリ笑う。

上海蟹を具にしたあんかけを乗っけた茶碗蒸しがあるという。たのんでみると器の中にはたっぷり、トロンとカニのあん。味噌がメインで、蒸してほぐした上海蟹の肉もタップリ混じってる。ところどころにオレンジ色の粒粒は蟹の玉子で、ホツホツ舌にのっかり噛むととろける。
カニの出汁を混ぜてかためた玉子はなめらか。プルンと舌の上でゆれつつ、あっという間に消えてなくなる。スープをタップリ含んで仕上がる茶碗蒸し。最初は固形であったのが、口の中でたちまちスープに戻っていくのがなんともたのしい。茶碗の中のすべてがカニの味噌や玉子のように感じる贅沢さ。

そして蟹が蒸し上がる。
父は上海蟹が大好きだった。
しかも器用に蒸した上海蟹をばらして食べる。
誰より速く、誰よりキレイにしかもおいしそうに食べるので、父と上海蟹を食べに来ると、食べるよりも父が食べてる姿を見るのが楽しかったりしたものでした。
ただ個人的には解体しながらチュバチュバするのが苦手。
面倒くさいというよりも、食べてる間はまるで会話もなくてただただ貪る音だけ響く。気持ちばかりがせいて、結局最後は父に手渡し、父が半分食べちゃうみたいなコトが多かった。

けれどココでは厨房の中であらかじめ解体した上、食べやすいよう玉子や白子はまとめて殻に盛って収める。ツメや胴体の肉はせせって器に入れて、足は殻だけキレイに剥けてる。
もっと上等な店に行くと、白手袋をした給仕係がテーブルサイドでせっせと作業をしてくれたりする。
あれはあれで特権的な気持ちになれるも、白手袋が徐々にオレンジ色に変わっていくのがもったいなくて、あの手袋をチューチューすすったらおいしいだろう…、なんて妄想に囚われたりするのが困りモノ(笑)。

メスの玉子のおいしいことに感動しました。ネットリしていて歯と歯の隙間や歯茎の周りまでに旨みが行き渡る。オスの白子はまだ若かった。濃度が若干薄めでけれど旨みは強く、上海蟹に独特の香り濃密。
今年もめでたくこのおいしさに辿り着くことができたということを感謝しつつ、またこの美味にありつくために頑張らなくちゃと働く元気が湧いてくる。

蟹を食べるとお腹が冷える。ポンポン壊さぬようにと生姜のお茶を飲みつつ食べる。
上海蟹以外の料理も2つほど。一つは才巻海老の湯葉巻き揚げ。ほどよきサイズの才巻海老が尻尾だけを残してキレイに湯葉でまかれる。その湯葉サクサク。中のエビは蒸されたように仕上がっていて、甘くて旨い。尻尾も残らずキレイに食べて、それから野菜。空芯菜の炒め物。
一緒にマコモダケをほそく切ったの混ぜてジャジャっと。味は塩味。油タップリ、赤唐辛子がビリリときいて口の中が潤うおいしさ。噛んでるうちに徐々にとろけてネットリ粘る食感に、命を食べてるって感じがするのがアリガタイ。

〆に炒飯。上海蟹の味噌のあんをタップリかけて仕上げたモノ。
同じあんをかけて仕上げた焼きそばだったり汁そばだったり、あるいはおこげがあったのだけど、とろけるあんとパラパラご飯の食感のコントラストをたのしみたくてあんかけ炒飯。
ポッテリとしたあんがご飯を包み込み、濃度の強いあんかけなのに口の中でまるでスープになってくような潤い感じる。乾いて仕上がるご飯粒がコロコロ転がり、それでとろみをスープのように口が勘違いするのでしょうか。おいしくウットリ。あと3ヶ月ほどたのしめるという。来月あたりからオスがおいしくなりますよ…、って言われてそれじゃぁ、また来なくちゃって思って店をあとにしました。堪能す。

 

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