寿司清で寿司

土曜日の朝をたっぷり寝坊して、昼に新宿。
寿司にする。
地方を旅してひさしぶりに帰って来た東京で食べたい料理が2つある。
ひとつは蕎麦。
それは昨日、上野の藪で堪能し、それでもうひとつの寿司をつまみに新宿寿司清。
築地出身。
サラリーマンのポケットマネーで上等な江戸前鮨を食べてもらおうとはじまったチェーン。
実は近所の伊勢丹本館に「廬山」という高級百貨店ブランドを出店している。
ネタはそちらが上等で、しかも手の込んだ高級寿司を提供してる。
けれどこちらのお店の方が、ほどよく上等。店の姿も寿司屋っぽくって好きで選んでこうしてきます。

ほぼ開店と同時の時間でカウンターの一番端っこの定番席をもらって落ち着く。それから続々、お客様がやってきてほどなく満席。三連休の最初の土曜日。しかも伊勢丹でサマーセールということでこの一帯が熱を帯びてるみたいな感じ。ワクワクします。

まず貝をひと通り。赤貝の身と紐、それぞれ一貫づつ。昆布の香りのような風味と強い旨味。特に紐はねっとり奥歯にからんでとろける。
コリコリものを二貫まとめてと、アワビとつぶ貝。同じカリカリでもパリパリ砕けるようなアワビと、ガリっと壊れてねっとりとろけるつぶ貝ではカリカリ感が異なるところが面白い。
みる貝、石垣貝にホタテの柱。さっくり、ねっとり、ムッチリと多彩でたのしい貝の食感に思わずニッコリ。

仕込みが徐々に整って来て、ショーケースの中がにぎやかになる。
寿司屋のショーケースって、季節、季節に景色が変わる目の前にある海辺のような感じでステキ。
ネタケースをもたぬ凛々しい寿司屋には背筋が伸びる良さがある。
けれど目の前においしげな景色が広がるこういう寿司屋は気持ちの明るくくつろげる。
寿司屋は良し悪しでとらえるのでなく、いろんな寿司屋のそれぞれの良さをたのしめばいいんだと、しみじみ思う。

殻に入ったままのウニがおいしげで、つまみでもらう。
殻ごとお皿にのってきて、スプーンですくってフルンと味わう。
ひんやりとした小さなスプーンが舌に触って、唇撫でる。舌にのっけてしばらくすると、口いっぱいに優しい塩の味わいとウニの旨味が広がる。

小さな魚卵の一個一個の輪郭がわかるような、きっぱりとした新鮮なウニ。なのにそれがねっとりとろけて、消えていくのがまた面白い。わさびをちょっとのっけるだけで甘みが引き立ち、香りまでもが甘くなるのもオゴチソウ。

寿司の花形、光り物。
イワシにサバに醤油を軽くほどこして、目ネギを刻んでたっぷりあしらう。
脂がとろけて、強い旨味を吐き出しながら舌の上にどっしりのっかる。夏に向かって脂が痩せてくるとは言え、さすがにネットリ。
過ぎる旨味に疲れそうになる寸前で、ネギの食感、香りにホッと救われる。よき組み合わせ、感心します。

細かく包丁を入れた白イカは、歯切れが良くてなのに噛むとむっちり、とろけるおいしさ。イカの旨みは最初は繊細。ところが唾液とまじるにつれてどんどん甘みを増してくる。オモシロイなぁ…。
鯛をにぎってもらうと熟成の効いたもったりとした食感で、これだけはゴリゴリとした活け〆の瀬戸内の鯛の方が好き。恋しくなった。
脂がきれいに口でとろけるヒラマサは状態抜群。酸味やさしいシャリがしっかり受け止める。

焼いてもらった穴子の握り。自分の脂で表面、サクサクと揚がったように焼きあがっていてシャリとあわせて1つは塩で。1つは甘いツメダレをつけて味わう趣向。
表面のカリカリとした食感はほんの一瞬。次の瞬間、とろけてシャリとまじってネットリしてくる。香りの淡い穴子でだから穴子の風味をじゃませぬように、ツメも少々。塩の方にいつもはほどこす柚子皮も今日は控えて、穴子自体の香りをたのしむ。
今の時期の海のご馳走のひとつ…、ボタンエビ。殻付きのままネタケースの中に休んでいたのを殻剥き、握ってもらう。

エビは生より熱を加えた方がおいしくなる。
だからどちらかといえば生のエビはあまり食べない派ではある。
けれどボタンエビのネットリとした食感と、甘みは格別。
しかもこの大きさならではの口の隅々を満たす感覚がこれまた格別。
頭は焼いてパリパリ食べる。
塩の風味とエビの旨みが焼かれてギュギュッと凝縮されてなんとおいしい。たった一尾でエビを食べた!って満足できる。

マグロの赤身を2貫もらった。
同じ温度のショーケースにあり、不思議なコトにマグロの赤身は他の魚に比べてひんやり。冷たく感じる。ピトッと舌に貼り付く食感。ふくよかな強い旨みに軽い酸味に、これぞマグロの赤身という味。お江戸の寿司を食べてるなぁ…、って実感が湧く。

〆に巻物。トロを芯にした鉄火巻。それからかっぱを一本づつ。それを半分づつ分け食べる。
さっぱりとした赤身に比べて脂がネットリ、とろけるトロ。シャリと海苔でカチッと巻かれて噛み心地がよい。海苔の風味もさわやかで、奥歯がよろこぶ。
キュウリの香りがおいしいかっぱ。ザクザク歯切れて口の中がスッキリしてくる。
あぁ、おいしかったと思ってパクパク、巻物を口の中に放り込んでたらお店の人が、忘れてました…、と新子を見せる。これから旬がはじまるコハダ。小肌になる前の小さな個体を丁寧に、4つ並べてひとつの握りに仕上げてく。味はまだまだおだやかで、コハダらしきクセをもたないやさしい感じ。お腹も気持ちも満たされました…、おゴチソウ。

 

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コメント

  1. めるば

    新子はこれ位の枚数でいいのかもですね。
    枚数にこだわって?15枚付けとか、よく分からないことやってる寿司屋も見かけますが。
    そういえば、九州ってそんなに新子は食べないんでしょうか。以前、福岡は祇園の寿司屋に行ったら「新子なんて有難がって食べるの東京の人くらい」って言ってました(笑)

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      めるばさん
      あんな小さな魚をワザワザ腹を裂き酢締めにしてまで食べる…、その面倒を粋と感じるお江戸の文化でしょうね。
      ある意味、厄介な食べ物なのかもしれません(笑)。
      バブルの頃。
      この新子を山盛りになるほどシャリに盛り上げて、しかもそれを5貫、10貫と食べるようなコトがありました。札束を燃やしているようなこんな食べ方がいつまでも続くはずがないなぁ…、と思っていたらあっという間にバブルは終わった。
      ナニゴトも程よきことがすばらしきコトですね。

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