安芸路酔心に秋がきました小いわし丼に牡蠣フライ

昼、新宿に移動。野暮用のあと、ランチを食べる。
まだ東京は暑くて街にはショートパンツが溢れてる。けれど空は秋の空。鰯雲が日差しを遮り、太陽の位置も低く感じる。湿気も少なく、夏から秋に移ろいつつある季節のはざまをしみじみ思う。
そうだ…、そろそろ「小いわし丼」がはじまっているかも…、と、安芸路酔心にやってきてみる。
入り口脇にメニューボードが立てられていてそこに小イワシが入荷しているかどうかを書いた札が貼られる。ココを代表する人気のメニューで、けれど一年のうちおそらく半分以上は入荷なし。お店に入ってがっかりさせるのはもったいないという配慮。
今日はうれしや「入荷あります」の札を発見。勢い込んで店に飛び込む。
席につきまず第一声が「小いわし丼はまだありますか?」。ございますという返事を聞いてホッとしながらお腹を鳴らす。

約半年ぶりの小いわし丼。蓋付きの長方形のお重が届く。蓋を開けるとネギの香りがフワッと漂い、中にはぎっしり小さなイワシ。
一尾は小指ほどの大きさでしょうか…、頭と尾っぽをはずして指でしごいてさばく。醤油風味のタレにひたして漬けにしたのをご飯の上にキレイに並べて小ねぎをパラリ。キラキラ光る銀色の肌のうつくしきこと。食べるとプルンと歯切れる。そしてねっとり、ご飯と一緒にとろけてく。
ほんのり甘く、醤油の風味が青い魚の持ち味引き出し、ネギや千切りにした生姜や胡麻がシャキシャキパラパラ、口の中で散らかる感じがオゴチソウ。
タレが染み込むご飯も旨い。小いわしの旨味に軽い渋み、ときおり小さな骨が奥歯に触る感じもまた旨し。

あぁ、秋だなぁ…、ってしみじみ思う。

小いわし丼のお供に一品料理を追加で2つ。
牡蠣フライとタコの柔らか煮を選ぶ。ここでは年中用意されてる牡蠣フライも、今の時期から生牡蠣をつかったモノになる。牡蠣の季節のはじまりの頃。だから小ぶりで、ぎっしり細かなパン粉をまとってカラリと揚がって仕上がっている。
一個をパクリ。辛子を溶いたソースで食べる。カプッと噛むとパン粉衣がパリッと壊れ、中からプチュっと汁が飛び出す。その量、おびただしくってそこら中に飛び散るほど。風味、旨味も濃厚で大きさ以上に口の中では大きく感じる。オゴチソウ。

じっくり煮込まれたタコの頭や足。醤油の色が中まで染み込み表面ツヤツヤ。やわらかなのに吸盤がキレイなままで仕上がっているのにウットリします。
クチャっと潰れる。噛むと繊維がとろけてほぐれ、煮汁にタコの旨味が混じって口に広がる。蒸した山芋、いんげん豆。どちらもそれそのものには味を加えず、煮汁に浸して味わう趣向。それで十分味が整うところがステキ。
茶碗蒸しに、出汁をとったあとの昆布で作った佃煮、柴漬け、それから赤出汁とサイドの料理もとても丁寧。お腹に収めて満たされる。
おごちそうさまと表に出たら、メニューボードの下の貼り紙が「小いわし丼は売り切れました」となっていました。ありがたや。

 

関連ランキング:郷土料理(その他) | 新宿三丁目駅新宿駅新宿西口駅

コメント

  1. Rie

    さかきさん、こんにちは。
    いつも、あー美味しそう!と思いながら読ませて頂いているのですが、この小イワシ丼、すごく食べたい!広島出身ですが、子供の頃、繁華街の道端でひとり小イワシを売っているおばさんがいらして、母が街に出るとよく買って来ていました。いつもいらっしゃるとは限らず、「買いたかったのに、今日はおってんなかったんよ」ということもあり、子供ながら残念だったのを思い出します。この丼、夢に出てきそう!

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      Rieさん
      瀬戸内海に住んでいると当たり前のことが、遠く関東までやってくるとなんとありがたく、すばらしいことだったんだろう…、と思い知ることがあります。
      小いわしなんて東京では手に入れることがほぼできない食材。
      天ぷらにするとおいしいんですよね。
      新鮮なものはそのまま刺身で食べてもおいしく、海の命を頂いている…、って厳かな気持ちになったりもする。この丼。本当にありがたい存在です。

  2. Rie

    さかきさん、そうですね。ごく当たり前だったことが、遠くに行ってみると実は貴重なものだったのだということがしみじみとわかるのですね。私は今フランスに住んでいますので、小イワシどころか、日本で普通に食べられる普通の魚を食べるのは至難の技です。もちろん逆に、日本で簡単に手に入らない美味しいものを食べているということもあるのですけど。日本の美味しいものは、さかきさんのブログを見て、自分も食べている気になるしかない。(でもそれは大変むずかしい。)

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      Rieさん
      パリを訪れると何気なく買って食べたバゲットやチーズ、ジャンボンのおいしさに衝撃を受け、あぁ、いいなぁ…、料理なんかしなくても買った食品にワインだけで贅沢な晩餐になるなんて…、って羨ましく思ったりします。
      フランスのにんにくの味わい深さにも嫉妬したりもするのですけど、一週間ほどでお腹に里心が灯ります。
      人間の食欲とは贅沢なものですね。
      そろそろ茸が美味しい季節になるんでしょうか…、ジロールやオーボリをお皿にたっぷりのっけて冷やしたシャブリで秋をことほぎたくなりますね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。