奇数が大文字、偶数が小文字のパニーニ屋さん

ひさしぶりにとびきりのパニーニを食べに行こうと家を出て、南に向かってテクリテクリと歩く。
30分もはかからないかなぁ…、千駄ヶ谷のバードアンドルビーに到着。
「BiRd & rUbY」って表記するのが独特で、深い意味があるんだろうなぁ…、ってボクは思った。
そしたらタナカくんが「奇数が大文字、偶数が小文字ってだけじゃない」ってあっさり謎解き。
天才だネって褒めたらとてもうれしそうな顔をしたのを思い出す。
飛ぶ鳥落とす勢いのパンとエスプレッソとの系列で、ボクはここが格別に好き。
小さな店です。エスプレッソマシンの下にパニーニのショーケース。プレス用のグリドルと作業台が置かれた厨房。その前にベンチと小さなテーブルがあるだけのまるで屋台のような店。威張ってないのがボクは好き。

注文したのは、生ハムとルッコラのパニーニとマキアート。
朝からショーケースの中はにぎやかで10種類ほどのサンドイッチがおさまっている。セミハードブレッドもありフォカッチャもあり…。ほとんど食べてみたけれどここで一番おいしくて、来るたびたのむのはプロシュートルッコラ。
なにしろタナカくんが「嫌になるほどおいしいネ」って愛したオキニイリのパニーニです。お店のロゴのスタンプが押された紙に包まれてお皿に乗せられやってくる。朝の光がストンとひと筋差し込んで、ポワンとそこだけ明るく

挟んで焼いて仕上げたパンはてっぺんと底が真っ平ら。
波型グリルの跡がついてちょっと凸凹。
こんがり焼けてて、焦げた小麦の甘い香りが鼻をくすぐる。
2枚に開いたパンの間から緑のルッコラが顔を覗かし、そのルッコラを生ハムのベールが包む。
艶っぽくって色っぽい。
パンの大きさ、分厚さに比べて具材の量は少ない。具材以外に使われているのはオリーブオイルと塩少々。なのに食べると生ハムとルッコラの味が力強く口に広がる。
パンに生ハム、ルッコラの味が一瞬バラバラに口の中に散らかるところ、オリーブオイルがそれらを一つにまとめてとろかす。ケチャップを使うとサンドイッチがアメリカ料理になるように、オリーブオイルひとつでサンドイッチがイタリア料理になっていくのがオモシロイ。

噛みしめれば噛みしめるほど味がでてくる。パンはほどよく固くて噛みごたえがあり、小麦の風味も塩の味わいもしっかりしてる。パンだけちぎって食べてもおいしい。けれどパニーニとして味わうと、パンもおいしい。生ハムのネットリとした食感や脂の旨みが引き立つし、ルッコラってこんなに香りが強くて線維がしっかりした野菜だったんだ…、ってそれぞれの持ち味の良さを再認識する。
ひと噛み、そしてまたひと噛み。
噛み、味わってマキアートを飲む。ぽってりとしたエスプレッソにふっくらミルクの泡がのっかり、口の中でそれらが混じって甘くてなめらかな飲みごこち。飲んだ直後にお水をちょっと口に含むと、苦味や酸味が際立って口がすっきりリセットされる。
今日のパニーニも嫌になるほどおいしかったよ…、オキニイリ。

 

関連ランキング:カフェ | 千駄ケ谷駅北参道駅国立競技場駅

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。