地球が壊れる映画を2本
正月2日。
テレビを見てると、正月というこの時期は日本をうつくしいと思いこまされ感動するか、下品な笑いに付き合わなくちゃならないことになっているのかしら…、って思う。
それで結局、ネットフリックスとかアマプラだとか、U−Nextで映画をみちゃうことになる。
それもホラーやディザスター系。
世の中がめでたい気分に酔いしれているときに、不幸この上ないドラマを見るってなんてステキなことなんだろう…、って(笑)。
地球が壊れる映画をふたつ、見てしまう。
ひとつは「グリーンランド -地球最後の2日間-」。
巨大彗星のせいで地球が壊れてしまう最後の2日間を主人公のジェラルド・バトラー一家の目線で描いたという題名以上でも以下でもない内容で、拍子抜け。
批評家が「ジェラルド・バトラーは地球を守るため、そして観客にありえないほど楽しい時間を見せてくれるためにやってきた。」と評したというのだけれど、彼は自分の家族を助けようとあたふたするだけで、断じて地球を守る行為はしていない。
持ち前の眉間のシワの深さゆえ、深刻なことをしているように見えるけど大したことはしないで結局、世界は壊れる。
ちなみにディザスタームービーの最大の見せ場は地球の壊れっぷりを描くシーンであるはずなのに、そんなシーンもほとんどなくて、ディザスターメロドラマという新しいジャンルの映画じゃないかと思ってしまうほどでした。
見どころは夜空を飾る彗星のうつくしい軌跡とジェラルド・バトラーの眉間のシワ…、としておきましょう。拍子抜け。
もう一本は「ドントルックアップ」っていう映画。
これも彗星が地球に衝突してこの世が終わってしまう映画。
ただ映画の方向性はまるで違ってて、前述のグリーンランドがメロドラマだとすれば、こちらはコメディー。
しかもかなり風刺のきいたブラックコメディー仕立てで、セリフ一つ一つが気が利いていてボクは結構好きだった。
まず役者の顔ぶれがすごい。
主人公の天文学者にレオナルドデカプリオとジェニファーローレンス。
おろかな大統領役をメリルストリープが好演し、彼女に輪をかけておろかしいメディア関係者をケイトブランシェットが演じてる。
天文学者は彗星が地球に衝突して大惨事になると言っても誰にも真に受けてもらえず、その危機が確実とわかった政治家は、スポンサーの意向で政策が右往左往する。
「ドントルックアップ」ってタイトルは、上を向くと彗星を見てしまうから見ないようにしようって意味。
目の前にある問題から目を背けて今がずっと続けばいいや…、と思って手をこまねくことって今の日本の政治家の得意技。
ボクにもそういうふうに振る舞いたい気持ちはあるもんって思って笑った。
レオナルドデカプリオがもっさりとしたおじさん役をしてるのだけど、端正な顔立ちが災いしてか美少年っぽさが残ってしまう。だから老け顔を作ろうとすればするほど痛々しくなっちゃう…、そんなとこまで含めて意地悪と茶目っ気に溢れた秀作。
それにしてもこの映画も地球が壊れるシーンがほとんど描かれない。予算の都合か、それとも視聴者を絶望させぬよう悲劇的なシーンを控えるウィズコロナ時代の映画の宿命なのか…、どうなんだろう。わからない。