四十九日の空と朝食

朝早く起きて歩く。
テクリテクリとただひたすらに西に向かって歩いていく。
新宿御苑を左に感じ、まだ人がほとんど歩かぬ新宿三丁目を通り過ぎ山手線の高架をくぐって新宿駅の西側にくる。
要塞のように西と東を遮っていた新宿駅。
間もなく構内改良工事が完了。
西と東が自由に行き来できるようになるんだという。
時は確実に前に向かって進んでいきます。
西新宿の高層ビル街。
LOVEを見たくてやってきて、変わらずそこにあってくれることにホッとする。

それにしても西新宿は緑が多い。
特に今のこの季節。春が終わって梅雨をじんわり待ち受ける木々のたくましさとでもいいますか。生命力を感じる緑が、体の中に忍び込んでくる。
あぁ、生きなくちゃ…ってしみじみ思って背筋をのばす。朝から日差しが強くて眩しい。真上をみるとクラクラするような超高層ビルに挟まれた空。雲がひらりと西の空へと流れて消える。「このバカタレがっ…」と小さくつぶやき涙を流す。四十九日の今日の朝。

朝ご飯を食べましょうかと野村ビルの地下に降ります。ポールバセットにやってくる。
しばらく休業していてやっと再開。
エスプレッソマシンが置かれたカウンターに、しっかりとしたシールドが設置されて対策万全。
「とりあえず」感が漂うひらひらビニールカーテンと違って、お店の人の仕事や表情が変わらず見えるところがステキ。
壁もなくシームレスにつながるサルバトーレのメインホールの上の天窓。日除けの天蓋が閉められていてそれでかちょっと景色が寂しげ。ひんやりとした地下独特の涼しい空気にホッとしながらしんみりとする。

クロワッサンのサンドイッチにカプチーノをお供にしました。
バターたっぷり。
表面ザクザクたのしく壊れ、生地そのものはしっとりとしたクロワッサンに塩気の強いハムにチーズにレタスがはさまる。
調味料は使わず素材の持ち味だけで味わう趣向。
千切るとパラリとクロワッサンの生地が崩れてお皿にちらかる。そのパラパラが口の中でどんどんとろけてなめらかになり消えていくのが儚くおいしい。
クロワッサンの焦げた香りと自然な甘味。端のガリっと焦げたところを食べるとまるでキャラメルみたいな風味がするのが面白い。エスプレッソのお供にぴったり。

ここのエスプレッソは好きな味。酸味がおだやか。苦味、渋味に深みがあって自然な甘さがあっておいしい。スティームミルクをくわえて飲むと、ぽってりとした喉越しにビロードみたいな飲み心地。ウットリしながら朝の時間をのんびり過ごす。
すると天窓の覆いが開く。
外の光が降り注ぎメインホールが朝の光に包まれて椅子やテーブル、壁や床までが輝きはじめる。ボクの気持ちもあったかになる…、しばらくぼんやりいたしましょう。

 

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コメント

  1. 蜂蜜

    四十九日・・
    何か胸にジ〜ンと来る文面です。木々が青々として朝のヒンヤリとした新鮮な空気、気持ちが前向きになります。
    それにしても榊さんのサンドイッチ好きが良く分かります。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      蜂蜜さん
      サンドイッチって簡単に作ることもできるし、入念に作るとゴチソウ料理にもなってくれる。誰にでも作れるけれど、作った人の個性が出る料理でもあって、だから好きなんだろうと思います。

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