四ツ谷の嘉賓、四谷のロン

ひさしぶりの嘉賓のお昼。
近所にまもなく超高層のオフィスビルが開業する。四谷の駅前のいい具合にのんびりとした「がんばりすぎない新橋」みたいな良さをなくしてしまわなければいいのになぁ…、ってちょっと思った。
国際都市の世界に通用するビジネス環境を目指しながら施設の名前が「COMORE」って言う。
「木漏れ日」+「COMMON(共同、共通)=つながり」による造語で「CO・MO・RE(コモレ)」by 三菱地所!みんながつながれる場所を目指したネーミング。
コモレじゃなくて、コモーレって呼ばせるのならほんのちょっとだけカッコよかったかなぁ…、でもそろそろオヤジギャグみたいな造語ネーミングはやめたほうがいいんじゃないかと思ったりもする。いっそきっぱり「三菱四谷ビルヂング」。一周回ってカッコいい!

町の変化にきっぱり背を向け、変わらぬこの店。
メニューも変わらず、いつものオキニイリを注文します。
ここの名物、かき和えそばに牛肉の粥。
水餃子を半人前分。
このかき和えそばが不思議においしい。
具は少量の刻んだネギだけ。蒸した極細の中華麺をただただ牡蠣の旨味と香りを移した油で和えただけのもの。シンプルなのに複雑な味。特に麺の極細なのに歯切れがよくて、バッサリ口の中で散らかる騒々しさは痛快で、強い旨味で口が疲れそうになってしまったところにお粥。口がスッキリしたらすぐに次の一口と、もう止まらないオゴチソウ。

シンプルだから飽きずにずっと食べられるのでしょう。お供にたのんだ水餃子も粗挽きにした豚バラ肉と刻んだニラだけ。ポッテリとした厚めの生地でふっくらくるみ、タレもつけずにそのまま食べても十分味が整っている。生地が含んだ塩味と餡の持ち味…、特にニラのざっくり歯切れる感じと香りがおいしい。
それにしてもここのお粥のさっぱりとしたやさしいおいしさ。お米の粒がほどよく残って歯ざわり、喉越しは日本のお粥を食べているよう。ただスープは鶏ガラ。ごま油の香りや生姜の風味が、これは中華料理なんだと静かにささやく…、そんな味わい。
表面にまとわせた粉がトロンとなめらか牛肉やわらか。お腹もしっかりあったまり、ゆっくり杏仁豆腐を食べて終わりといたしましょう。

 

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ちょっと歩いて近所の「ロン」。
コンクリート打ちっぱなしの印象的な建物、そしてインテリア。高橋靗一さんというモダニズム建築の巨匠の手になるもので、椅子、テーブルにいたるまでオリジナル。
入り口脇に「当店は喫煙の店です」と貼り紙がはられていて、店の空気が煙って感じるほどにみんなおいしそうにタバコを吸ってる。時間が昭和で止まった感じ。
特に今日は入り口脇の特等席に10人近くの喫煙女子が集まってプカプカ煙を吐き出していた。
禁煙にすれば女性客が増えると思い込んでる、どこかの喫茶店チェーンに見せてあげたくなる勇ましさ。コーヒーとハムとチーズのミックスサンドイッチをたのんでぼんやり。煙が作る小さな渦をみつめながら料理を待ちます。

ここのサンドイッチは不思議なおいしさ。
パンが乾いて感じるのです。
日本のパンはみずみずさを競ってどんどんやわらかになる。
ところがここのパンは固くてバサバサ、
口の水分を吸い込み乾かすような食感。
それがおいしい。焼いていないからパンそのものの風味は残る。

薄塗りしたマヨネーズやバターのとろけを強烈に感じられて、挟んだハムやチーズと一体となりとろけていくのが心地よい。ハムもチーズもどこにでもありそうなものたちで、それがパンの力でこれほどおいしくなるなんて…、といつも感心。

あっ!と思ったのがコーヒーカップが変ったこと。
今までは分厚い陶器の小さなカップ。持ち手も小さく、熱々のコーヒーをなみなみ注いでくるから、お皿と一緒に持ち上げ啜り込まなきゃいけないというちょっと不親切な昔ながらの喫茶店的カップだった。今日のは薄くて大きくて、持ち手も大きく飲みやすい。でもあの分厚さと不親切こそが日常の隣にひょっこり顔出す非日常の象徴みたいで好きだった。ずっと熱々が続いたしね…。
もうああいうカップを焼いてくれるところがなくなっちゃったんだってお店の人が言っていた。
まぁ、しょうがない。ミニチュアサイズのピッチャーやコーヒーかすを入れた灰皿。ピカピカに磨き上げられたシュガーポットが昔のままでがんばっている。ありがたいなと思ってのんびりいたしましょ。

 

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