営業時間短縮中の伊勢丹でとんかつ

昼ご飯を伊勢丹ででも…、と思ってきてみる。
館の入り口に告知の紙。今週の月曜日から来週の金曜日まで新型ウィルス拡散防止のために営業時間を短縮するという。そもそもたのみの綱の中国からの観光客がいなくなって閑古鳥がないていたから経費削減のいいきっかけです。しかもよくみると平日だけという。
本当にウィルス拡大防止のためなら人出の多い週末こそ何か対策をとらなきゃいけない。でも週末はしっかり通常営業をする。理由を聞けばおそらく「お客様の便宜のため」と答えるのでしょうけれどあまりにとりあえず的に過ぎる対応。政府対応自体がどれもとりあえず的でしかないものだから、しょうがないかと思ったりする。なやましい。
それにしてもレストラン街はおそろしいほどガラガラです。
とんかつでも…、と「匠庵」にきてみるとボクがオンリーゲスト。そのあと1時間ほどの間に2組。大変だなぁ…、ってしみじみ思う。

伊勢丹の上顧客、奥様方を狙ったとんかつの店です。とんかつ専門店というよりも、とんかつがメインの日本料理店をひたすら目指しているようなところがあって、それがいいんだ…、という人にとっては居心地のよい店。
注文するとテーブルの上が途端ににぎやかになっていく。まず山盛りの千切りキャベツが入った器。それからご飯のお供が4種類、器に入ってズラリとならび、大根おろしに粗塩、マスタードに七味に取り皿、ソース皿。どれもがおかわり自由という大盤振る舞い。
千切りキャベツもご飯のお供もボク専用のはずなんだけどそれをいちいち取り皿に取り分け食べなきゃいけないような、命令形的ムードがあって、それが面倒臭いと思う人にはありがた迷惑なサービスなのかも…。背筋を伸ばして行儀良く!

揚げ物はしっかりしてます。
衣はサクサク。油切れがよく素材も上等、悪くない。
シーフード関係の揚げ物に力を入れたメニュー構成。それもとんかつ店のシーフードの定番、エビフライだけじゃなく、創意凝らした海鮮類の揚げ物あれこれ。
今日はヒレカツにホタテ串、イワシにアジと魚が主役の盛り合わせ。居酒屋のちょい呑みメニューのように見えるところがちとオモシロイ。
ふっくらと仕上がった魚はおいしい。お魚はぜひ、塩を召し上がってみてください…、と勧められて試してみたらこれがおいしい。粗塩のやわらかな塩の風味もよいのでしょう、魚の持ち味、香りと風味に焦げたパン粉の香りが混じって、じっと噛んでいたくなるほど。ソースは甘めで蓋付きの器にたっぷり用意されてる練り辛子は、ビリッと辛くて香りも鮮やか。ソースとの相性もよくて、たっぷり乗せるように使って油のくどさをやわらげる。

ご飯はしっかりとした炊き上がりで、状態もよくお供に選んだ豚汁も具沢山で味わい深い。ヒレカツはさっくり歯切れて肉はふっくら、やわらかい。ホタテの串揚げはししとうとひとまとめにされ形整い、風味も鮮やか。
ご飯のお供は赤蕪の漬物、醤油漬けの大和芋。昆布の佃煮、青菜の浅漬けとこれまたどれもおいしくご飯をすすませる。
ただどうにも量が多くて残る。決して少食ではないボクのお腹にも多すぎて、勿体なくもたくさん残る。
かつて千切りキャベツのおかわりはお店の人が運んでくれたものでした。人手を節約したいのか…、それとも食卓を贅沢にしたいからなのか結果、フードロスを作ってしまう。残してしまった食べ手が味わう罪悪感を、彼らは一体どう思うんだろうってちょっと思った。どうだろう。

 

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コメント

  1. 漁まからおよそ1000km北上しました

    サカキさん、

    「残してしまった食べ手が味わう罪悪感を、彼らは一体どう思うんだろう」

    ↑得てして名言です。
    こういうことも変わると、外食産業はさらに良くなりますね。

    「プロの仕事を味わいたい、
    まだ見ぬ興奮と感動がやってきますように」

    私はいつもそんなことを思って外食します。

    • サカキシンイチロウ

      漁まからおよそ1000km北上しましたさん
      最近、食べられることの幸せをしみじみ感じることが多くなりました。歳を重ねるごとに、昔は食べられていた分量が食べられなくなったり、おいしいと感じるものが変わってきたり。
      今まで自分が当然だと思っていたことは、すべての人にとっての当然でなく、食べる人、ひとりひとりの気持ちを考えながら飲食店というものは存在しないといけないんだと。
      やっと大人になれました。

      • 漁まからおよそ1000km北上しました

        良い夜になりました。
        サカキさんの返信が、
        おいしいスパークリングをより感動的にしてくれました。

        ありがとうございます。

  2. サカキシンイチロウ

    漁まからおよそ1000km北上しましたさん
    よい夜を!

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