吉野鯗の蒸し寿司、一山のたぬきとじ、上方の冬

上方の冬のゴチソウ「蒸し寿司」をいただきましょう…、と「吉野鯗」。
淀屋橋、本町界隈といえばかつて日本経済の中心地。
ビジネスのメッカというより「商売の中心」だった場所に店を構える上方寿司の老舗のひとつ。
一階はお持ち帰り用の売り場で二階が食堂。キリッとした端正なお店の造りで、カウンターの壁には床の間様のしつらえがありそこに草木がいけられている。ちょっとした心配りで空間があったかくなる。日本的。
海外からのお客様も多いようで、工芸品のような箱寿司を「kawaii」を連発しながらたのしんでいる。たしかに江戸前の握り寿司よりフォトジェニックで外国の人にはいいんじゃないか…、って思ったりする。ボクは初志貫徹で蒸し寿司たのむ。

四国の田舎では蒸し寿司じゃなくて「ぬく寿司」って呼んでいた。
冬になると店先にせいろを置いて蒸気をもくもくあげさせて、食欲そそらす寿司屋が何軒かあり、お腹も体も「ぬくもりたい」なぁと思う気持ちを誘ってた。
関東に来るとまずない光景で、最初の冬はとてもさみしい思いをしたのを思い出す。
丹念に作られているのでしょう。

少々待ってやってくるのが2つの器。陶器の碗には蒸し寿司が、塗の椀には汁が入ったどちらも小ぶりの上等食器。陶器の碗の蓋をあけるとふわりと木の芽の香りが漂い、目に鮮やかな錦糸卵の姿にウットリ。むされたガリの香りがお腹の中をわしづかみするオゴチソウ。

ふっかりとした錦糸卵はほのかな甘み。塩味、香りは控えめで下にひかえる主役の酢飯に期待がふくらむ。
酢飯の中に海苔や穴子、しいたけを細かく刻んで混ぜた寿司。蒸されてお酢の酸味がやさしくやわらかで、混ぜた具材の味や風味がひきたつおいしさ。蒸気を通していながらお米の粒が決してべたつかず、ハラリと口の中でちらかる感じが見事。
お供の汁は白味噌仕立て。しっかり甘く、けれど出汁が負けずどっしりとした濃厚味にまたウットリ。ふうふうハフハフ、口の中をやけどせぬようゆっくり味わい、満たされる。壁には今年の干支のイノシシの面。日本のもてなし、堪能す。

 

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上品な量の上等な蒸し寿司でお腹が一躍活性化。移動までに時間はまだある。ちょっと歩いて蕎麦で〆。
高麗橋の近くにある「そば処一山」。
近所には裕福な会社の高層ビルや高級マンションが立ち並び、そこにポツンと三階建の一軒家。上におそらく家族で住んでいるのでしょう…、やさしい光景にホッとする。
蕎麦もあるうどん屋でなく、うどんもおく蕎麦屋でもなくあくまで蕎麦だけ…、というのがなんとも潔い。
メニューもちょっと独特で、ざるをメインに敦盛だとか田舎そばとか。隣の人が食べてた親子丼もおいしげで、でもボクの目当ては「たぬきとじ」。関東にあって「たぬき」といえば天かすが具材のそばかうどん。けれど上方でたぬきは「お揚げののったそば」…、つまり関東でいうところのきつねそばということになる。その玉子とじ。

とじた玉子の色がキレイにみえるようにというコトでしょうか…、黒いずっしり重たい丼に入ってやってくるたぬきとじ。出汁の香りが力強くてお腹がなります。
お揚げは小さめの分厚いものが二枚。大阪のほとんどの店のキツネが表面がとろとろになるまで煮込んだ甘辛味のモノであるのに比べて、ここのはザクッと揚がったお揚げの食感残したさっぱり味。汁そのものの旨味、風味でそばをどうぞ味わって…、という趣向なのでしょう。出汁の味わいを邪魔せずおいしい。旨味たっぷりの汁を吸い込みふんわりとろとろになった卵がまたおいしくて、ザックリとした硬め歯ごたえの蕎麦との相性、なんともステキ。スルスルスルンとただただおいしく味わって、お腹、体もあったまる。

 

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