Around the Table KIYOKI

博多駅の西側。車で10分ほどのところにある「平尾」という街にやってくる。
平坦な博多の中では珍しく坂のある街。ちょっと高級な住宅街。
街道沿いに一年ほど前に出来たばかりのビルの一階。かつて洋服屋さんだったという箱を徹底的に改装して、3月10日に出来たばかりの「KIYOKI」というレストランが目的地。

中に入ってビックリしました。
お店の中には大きなテーブル。2メートル✕5メートルほどありますか。
壁際には典型的なフランス式の厨房があり、その厨房の向かい側。大テーブルの一片、一部に大きなまな板。そこが作業台でもあり、盛りつけ台でもあるという完全オープンキッチン。シェフの仕事をみながら食事をたのしめるというステキな趣向。

「一品料理とステーキ」とだけ書かれたメニューボードが厨房の脇の壁に張り出されていて、テーブルの上には今日の食材と簡単な調理方法のヒントが書かれた紙が置かれる、不思議なしつらえ。

前菜料理が6皿で2200円。
紙に書かれた食材は全部で18種類あって、全部食べると6600円。
それでワインを飲んですませるのも粋かもしれない。
料理はシンプル。
小さなお皿に一皿分。
素材に素直に、最小限の手間で仕上げた料理ばかりで好みを伝えておませをした。

まずバイ貝の醤油煮がくる。
新鮮な貝でスルンと肝までキレイにとれる。
フルーツトマトをオリーブオイルとハーブと塩で仕上げたサラダ。
今が旬のつぼみ菜をブイヨンで茹でバターで風味をつけたもの。つぼみ菜って九州で生まれた野菜って聞いてビックリ。
シェフとの会話を楽しめるのもこういうお店のステキなところ。
そのうちひと組、また一組とお客様がやってきて同じテーブルを囲んで食事が進んでく。
親密であったかな空気もゴチソウ。オモシロイ。蕪のグリルはツヤツヤとしてとてもジューシー。蕪そのものの旨味と焦げた軽い渋みが印象的。

シェフが一人で料理を作る。
ソムリエを兼ねたサービススタッフと二人三脚。
テーブルを囲むそれぞれお客様で、料理が重ならないよう工夫をしながら献立たてつつ料理を作る。それでいてリズムがよくてほどよき速度で次々料理がサーブされるというのがこれまたアリガタイ。

ちょっとびっくりしたのが「日向夏のマリネ」という料理を食べたとき。
ただ日向夏を剥いて切り分け、土佐醤油とオリーブオイル、胡椒であえただけなのにまるで白身の魚のカルパッチョを食べてるような感じがするのネ。
サクサクとした白い皮。プルプルの実と胡椒の香りが、勘違いさせる何かを発揮したのでありましょう。
スナップエンドウの甘みも旨い。

そろそろお肉を提供しましょう…、というのでワインを赤に変更。イタリアの微発泡のワインでツンとアタック強く、渋み豊かで濃厚な味。
それに合わせて、イノシシの肉を焼いたモノ。ほとんど脂。しかもその脂が甘くてなんとおいしい。奥歯をガツン!と叩くが如き肉も脂もたくましく、ワインのお供にとても優秀。

阿蘇の赤牛の腕の赤肉を焼いてもらった。
脂を落として200g。ほどよく熟成がきいていて、色うつくしく、焼いた鉄板の上に押し付け表面を焼く。
表面がカチッとかたまり焦げたところでお皿にのっけて蓋してしばらく休ませる。
焼けてユラユラ、肉の間をただよっていた肉汁が十分休んで落ち着いたところで切り分けお皿に乗せる。擦ったわさびと共に味わう。
お皿の上の断面がプクッと膨らみ、タップリおいしい肉汁を蓄えている姿がおいしい。ツヤツヤしていて、ナイフを当てると力を入れずともススッと切れる。舌にのせるとシットリ潤い、噛むとジュワリと肉汁が出る。繊維なめらかでたちまち歯切れてねっとりとろける。
こういうお店が近所にほしい。でも本当に近所に出来てしまったら入り浸って大変だろうなぁ…。だったらそうだ、こういうキッチンのある部屋に引っ越せばいい。稼がなくっちゃって思う夜(笑)。

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