冷奴360円也に驚愕する朝、初藤の朝

東京駅から日帰り出張の朝。ちょっと早めに家を出て、東京駅の周りをちょっと散歩する。
八重洲口側の地下街のクリスマスシーズン用のイルミネーションがなかなかキレイ。地下街という閉塞的な空間で、しかも古い地下街だから天井が低い。通路もまっすぐ。そこにビッシリLEDを貼り付けているから手に届きそうな上に、ものすごく遠くまで光の空が続いていそうな錯覚を得る。
そもそも地下街という場所はどこにも自然なモノはなく、人工的に出来上がっている偽の空間。かつて吉原に自然なモノが何ひとつなく、季節を予感させる例えば花見の時期の桜ですらその時期だけに植えられたもの。季節が終われば抜かれてどこかに持っていかれる。なるほど地下街というのは吉原的な空間だった…、と思ったりする。朝なのに(笑)。

朝ご飯を「初藤」でとる。
夜は居酒屋。朝と昼は気軽な定食でにぎわう店で、だからか朝から酒を飲む人もかなりいる。
朝食メニューにマグロのブツや肉豆腐なんて居酒屋の定番メニューをメインにした定食があったりするから、飲む気の人にも便利なのでしょう。今朝も隣のおじさんが「肉豆腐の抜きにぬる燗ネ…」なんて注文。
蕎麦屋の抜きは麺を抜いて作ったタネで、ここの抜きはご飯を抜いたモノらしく、なんだか粋でカッコいい。
ちょっと向こうの二人がけのボックス席。ひとりがゆったり座れるソファがテーブル挟んで向かい合ってる席なんだけど、その片側に肩寄せ合って座る白人男女のカップル。一口食べては見つめ合い、ときにキスしてニッコリとする。
カップルというよりアベック的なふるまいに、ありゃ、フランス人に違いない…、って勝手に思う。東京駅の朝は自由で、いい感じ。

ここで最近、気に入っていていつも大抵たのむのが目玉焼きがメインの定食。ただ、それだけだとご飯のおかずが少なく感じて、もう一品。なにかおかずを単品で注文しようと、それで肉豆腐のボタンを押した。…、つもりだったけどしばらく待って、やってきたのは冷奴。あらっ!と思って手元の半券を確かめてみると、なんと冷奴を買っていました。笑っちゃう。
しかもこの冷奴が見事に普通の冷奴。もめんの豆腐を半分。上にたっぷり糸がきにした鰹節。それから生姜。これで肉豆腐と同じ360円という値段にちょっとビックリします。
単品メニューのほとんどが同じ値段で統一されてる。原価計算をした上でなく、えいや!と均一プライスにする…、居酒屋的にまた笑う。ただ水気をしっかりとっていて、豆の風味がしっかりしてくる上等豆腐でこれはこれ。七味だけかけ食べると豆の旨味が口に広がっていく。

目玉焼きは玉子2個。ベーコンも2枚でベーコンエッグになっているのが得した感じ。
玉子はひっくり返して焼いてください…、ってお願いをしていい焼き加減。千切りキャベツにマヨネーズ。小さな袋に入った中濃ソースが一緒についてくるのだけれど、醤油をかける。ソースの香りや甘みと無縁で、その分、焼けた玉子の香りや油の風味が引き立つ感じ。後口の印象がすっきりするのもオキニイリ。

黄身はしっとりとした仕上がりです。
トロンと流れ出してくるようではない…、わりとしっかり固まっていて蓋して蒸らして仕上げたのでしょう。白身はちょっとプリプリしてる。白身がもっとガリッとやけて、縁がサクサク壊れる感じ。黄身はぽってり、とろけてくれるといいのになぁ…、って思ったりする。その状態をどう伝えたらいいんだろうって思いながらの朝ご飯。

小鉢は煮込んだ切り干し大根。しっとりしていて、出汁がジュワリと口の中を満たして潤う。浅漬け白菜。味付け海苔でひと揃え。少なめご飯にしてもらいます。今朝の味噌汁はとろとろに煮込んだ白菜がたっぷり入って、その白菜の甘みと味噌がよき相性。

ご飯の上にあれこれ料理をのっけてみます。醤油まみれにした目玉焼き。芯の部分がほんのちょっとだけとろける黄身がご飯と一緒になると不思議とネットリ。パラパラご飯と一緒になってなめらかになる。面白い。
目玉焼きがまだ残ったところに味付け海苔をのっけて包む。プルプルした白身と海苔のカサカサが、口の中で一緒に壊れて混じり合う。食感にぎやかで、ほんの少々口に含んだだけなのに、口いっぱいにモノがあふれている感じ。
焼いたベーコンを海苔の代わりに使ってご飯をくるむ。上にぽってりマヨネーズ。豚の脂がひんやりと唇撫でて旨味を広げる。そのベーコンの風味を軽い酸味のマヨネーズが引き立てコクになっていく。お腹も満ちる…、そろそろ北に向かって移動でござります。

 

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