八竹の茶巾

四谷三丁目から家に帰る途中にある大阪鮨の老舗の八竹。
朝、通勤時にお店の前を通ると、かんぴょうや椎茸を炊くおいしい匂いが通りにまでも漂ってきて、お腹を鳴かすお店でもある。
中に入ると奥へ奥へと厨房が広がるお店で、職人さんがいつも5、6人ほども働いている。

手前の方にはテーブル4つ。
そこで食事もできるのだけど、ほとんどがお土産ものとしてテイクアウトされていく。電話で予約する人たちも多くて、お彼岸どきなんて折り詰めが入った紙袋が引き取られるのを待ってズラリと並ぶ景色が壮観だったりする店でもある。
大抵、ボクもお土産にして家で食べるかオフィスで食べる。
けれど今日はお店で食べて帰ろうと、思ってそれで「盛り合わせ。
まずはお茶がやってきます。銀器の急須。木製の敷物の上にそっと置かれて、湯呑の中にはほどよきぬるさの煎茶がササッと注がれる。

厨房の中ではテキパキ、ボクの注文が出来上がっていく。
スパッと見事な手際で切り分けられた押し寿司3種。
穴子とエビと鯛と、大阪鮨の定番が一切れずつキレイに並んで、それと一緒に茶巾寿司。
ココはこの茶巾ずしが有名で、おみやげ用の折り詰めにも必ず一個は入るほど。
ハマグリの貝殻を模した漆の器に盛られてくるのも、うつくしくって背筋が伸びる。
日本料理は目でまず味わう料理であって、だからこういう器使いや心配りはありがたいなぁ…、ってしんみり思う。
お吸い物をつけましょうか…、と言われてつける。
蓋付きの椀。これまた漆の上等なモノに魚のすり身とごぼうとにんじん。それを湯葉でクルンと巻いた浮身に三つ葉。出汁がしっかりきいた吸い物も香り豊かで食欲誘う。

さすがお店で食べるとシャリがほんわかあったか。崩れぬようにキッチリ押されて仕上がってるも、口の中ではパラリとほぐれるほどよき押し具合。
どの押し寿司にも甘辛煮込みの椎茸が刻まれたっぷり入ってる。パラリとほぐれる焼いた穴子に、むっちりとしたエビに玉子焼き。酢締めの鯛のネットリ感もどれもほどよくシャリの旨味を引き立てる。

そしてメインの茶巾寿司。箸を入れると中からゴロゴロ、いろんな具材が転がりだしてやってくる。
穴子に魚の甘辛そぼろ。煮た椎茸も細かく刻み、シャリと一緒に混ぜあわせてる。土台の部分に酢蓮が二枚。酸味がキリッと際立って、シャキシャキカリカリ、歯ざわりたのしく味わい深い。
しかもそれらをくるんだ玉子焼きの空気をたっぷり含んだ食感。噛むとズブズブ、口の中で泡が壊れていくような儚い食感がたのしめる。甘みも強くて小腹満たしにピッタリな味。
汁をお供に一口、そしてまた一口とユックリリズムで味わい食べる。

テイクアウトで折り詰め5個ほど。注文をしに来た人に「お車ですか?」とまず確認。はい、そうですが…、と答える人に、警察の取り締まりがこの界隈が厳しくて路上駐車は危険です故、車の中でお待ち下さい。そこまでお届けいたしますから…、と。
そういう心遣いも老舗が老舗らしくあるためのサービスなんだと思ったりする。お茶を飲んだら家に帰って仕事をしましょ…、と思ってそっと立ち上がる。

 

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