入谷の香味屋、日本橋の千疋屋で上等に耽る

入谷の「香味屋」で贅沢な昼。
大正末期、輸入雑貨店としてスタートし船上料理長だった二代目さんが洋食店として再開業。「かみや」と読みます。昔、新宿にもお店があった。そのときにはよく行っていたけどこの本店は3度目かなぁ…、ひさしぶり。
凛とした空間。テーブルクロスに銀器が並び、心地よい緊張感に背筋がのびる。
い天井、サービススタッフは黒いジャケット、蝶ネクタイ。昔のホテルのメインダイニングはこういう雰囲気だったよなぁ…、って良き時代をなつかしむ。
腹ペコ5人でテーブル囲む。料理をあれこれたのんで、みんなでシェアしますっていうとナイフフォークにスプーンがズラリと並んでく。特にスプーンの種類が多いところが、フランス料理じゃなくて洋食ならでは。まずは冷たいコンソメでお腹を開く。

牛骨由来のゼラチン質がかたまって、スープの表面にはちりめん模様。トゥルンと舌の上をひんやりさせるも舌の温度でスープに戻る。
豊かな香りに自然な甘み、どっしりとしたうま味が舌の奥から湧き上がり、明るい酸味を残しておさまる。ひんやり冷たく、なのにお腹をあっためる。おいしいなぁ…、ウットリします。
エビのコキーユ、カニコロッケ。どちらもエビやカニのうま味、風味が溶け出したベシャメルソースを味わう料理。
平たいラグビーボール型のメンチカツ。パン粉は細かくしかも薄付き。細かなメッシュのひき肉が、肉汁たっぷり蓄えたまま口の中へとやってくる。

ビーフカツレツをお願いしたら、揚げ加減はいかがしましょう…、と聞いてくる。
おいしいように…、とお願いしたらミディアムレアでいかがでしょうかと。
その味わいや食感は極めて上等なステーキのそれ。
添えられたデミグラスソースはどっしり。軽い酸味で後口キリッとひきしめる。

ビーフシチューにタンシチュー。
とろけるほどに煮込まれていてやわらかく、とはいえただやわらかいのでなく肉の繊維はしっかり感じる。
ビーフシチューはゼラチン質が口の中でねっとりとろけ、タンはパラッと繊維がほぐれて口の中をみずみずしくする。
付け合せのポテトグラタンはホクホク感を残しながらもなめらかで、甘くてやわらかなキャロットグラッセ、硬めに仕上げたブロッコリとひとつひとつが小さな料理になっている。

ハヤシライスにカニピラフ。卵の色も香りも濃厚な見目麗しいオムライス。取り分けにしてお皿を飾ればお子さまランチのようになる。
とりわけタマゴサンドがおいしいの!ふかふかのパン。バターをたっぷり飲み込んだタマゴはとても上等なスクランブルエッグのごとし。舌にのせるとポワンとパンが舌を撫で、噛むとタマゴがパンの間から溢れ出したちまちとろけてなめらかになる。
おいしいなぁ…、そしてしみじみなつかしく、どれを食べても一緒に食べた人のことを思い出す。
変わらずそのまま、なのに来るたびあたらしい。本物だけが持つ魅力ってそういうことってしみじみ思う。オキニイリ。

 

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食後に甘いものをと、日本橋まで移動して「千疋屋総本店」のフルーツパーラーにやってくる。
果物屋さんの経営するフルーツパーラー。
みんなでパフェやらサンデーやらを選ぶもボクが必ずここで食べるのは「アメリカンショートケーキ」。
スポンジケーキでアイスクリームを挟んだものをミルクで満たしたお皿に盛り付け生クリームとベリーソースを飾って仕上げる。
ストロベリーがボクは好き。
スプーンでミルクと一緒にすくって食べるのだけど、ひんやりとしたスポンジケーキがミルクを吸ったところはシャリシャリしていてまるでジェラートみたいな味わい。
なのに温度が上がるとケーキに戻る。生クリームはふっくらとしてなめらかでぽってりとろける。本当に好きでしょうがない。

とはいえパフェやプリンアラモードのおいしいことにも悶絶します。メロンのパフェに完熟マンゴー、千疋屋が昔からずっと作り続けてるフルーツパフェと姿は違えど、どれも見事にうつくしく、味わい上等。
メロンは口に含むとジュースとなって心潤し、完熟マンゴーは強烈な香りと味を残してとろける。フルーツパフェにバナナのアイスクリーム使われているのだけれど、それはまさしく冷たいバナナそのものでピスタチオを思い出させるナッティーな香りに驚く。
プリンアラモードのプリンのおいしいことに感動しながら食べたフルーツサンドがおそろしいほどおいしくて腰を抜かした、オゴチソウ。

 

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コメント

  1. すうさん

    神田のエースが閉店したようです。
    残念・・・

    • サカキシンイチロウ

      すうさんさん
      そうなんです。ボクも先日知りました。
      お店の方々がご高齢だったからいつかは…、と思っていましたが残念ですね。近々、思いを書いてみようと思っています。

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