個性派が生きづらい時代の生き残り…。
ひさしぶりに「とんかつのにいむら本店」にやってくる。
歌舞伎町のど真ん中にあり、昭和36年創業。ボクと一歳違いで今年還暦という歌舞伎町にあっては古参のお店。
新宿はかつて個性的なとんかつのメッカのような街だった。
刻んだ食パンを衣に揚げる「三太」にとんかつ茶漬けの「すずや」。脂を削ぎ落としたロース、しんころが名物の「三金」。とんかつ発祥の店のひとつと言われる「王ろじ」と、そこでないと食べることができないオンリーワンとんかつのお店が沢山あった。三太は廃業。三金は一時歴史が途絶えて今では四谷に場所を移してほそぼそ営業してる。
日本の食は世界に誇るべき多彩さをもっていると言われるけれどここ10年ほどは個性的な店にとって受難の時代。
「ボクだけの料理を探す」ことよりも「みんなが食べてる料理を共有する」ほうに人の気持ちが向かっていって、個性的なお店は結構潰れてく。
ちなみにこのにいむら本店もちょっと変わったとんかつの店。歌舞伎町らしからぬ大型店で落ち着いた立派な店構えも、そのちょっと変わったとんかつを売り続けることで手にしたもの…、って思うとこれからも個性的でい続けてほしいなぁって思う。
それにしても歌舞伎町の街のしずかで、多くのお店がシャッターを降ろしっぱなしにしていることにいささかびっくり。
でもこの店には結構人が集まっていてほどほどにぎやかなことにちょっとホッとする。たのんだのは「にいむらミックスA」という盛り合わせ。マルカツとチーズメンチにエビフライと、ここの名物3品がひとつお皿にぎっしり並び、千切りキャベツにトマトにレタスが彩り豊かに料理を飾る。
ここのとんかつのどこが変わっているのかと言うと、衣をサクッと揚げたカツをオーブンに入れて仕上げるところ。
熱風にさらされることで衣の油が飛ばされさっぱりと。
衣はサクサク、その内側の素材の水分は閉じ込められてふっくら仕上がる。
マルカツっていうのは筒状のヒレを開かず丸いままで揚げるから。
油の中でその状態にあげようとすると時間がかかる。オーブンの中で仕上げれば揚げ損じもなくきれいに揚がる。
メンチカツはみずみずしくてチーズと一緒にぽってりとろける。エビフライを縦に開いてその内側を見せるスタイルは、エビを無理やり伸ばしたり加水したりしていないから衣の中で縮んでませんよ…、って自慢しているようで健気でボクは好き。
エビの頭も尻尾もそれぞれたっぷりパン粉をまとわせサクッと揚げているのもオキニイリ。
ソースに加えて醤油は塩、ポン酢やドレッシングと調味料が多彩に揃う。ただここのソースは「千切りキャベツをおいしくさせる自家製ソース」と書かれてて、これがなかなか魅力的。これ一種類でお皿の中のありとあらゆるものをおいしく食べられるってありがたいなぁ…と思ってたっぷりかけて味わう。
酸味がすっきりしていて若干サラサラ系で、素材それぞれの風味、持ち味を邪魔せぬやさしく穏やかな味。これをたっぷり吸わせた千切りキャベツと一緒に食べるご飯はおいしいコト。しっかりと出汁のきいた赤だしにパリッとおいしい漬物に、ツーンと芥子もおいしくてこれでいいんだと思う店。
サカキさんこんばんは
いつも楽しみにしています。
カツもキャベツも美味しそう!
油っこくないのは素晴らしい。
今空腹なので尚更食べたくなります。
平成の遺産は、日本人の「みんな」感覚が極にいっちゃったことかなあと読みながら思いました。
みんなと同じは嫌いなので
最近疲れ気味。
だからこそ
お気に入りのお店にはあえて足を運ぼうと思いました。
いつもありがとうございます。
きょうちゃんさん
SNSの世界って本来「かけがえのない自分」を表現したり発信したりする場所だったはずなのに、いつのまに「わたしたち」を作り上げる場所になってしまった。
そう感じます。
ボクもきょうちゃんさんと同じようにみんなと同じを追いかけるのは好きじゃないので、ちょっとばかりへそ曲がりな日記を書き続けると思いますが、よろしくお願いいたします。
なるほどー
SNSの普及も一役買ってるというわけですね。
確かに、私はみんながやってるからってやらないもんとか、振り回されないようにと思っていても、
気にしだすとつい見てしまう。
そうなるといつのまにか自分が不在になってしまう。
ここ数日、まさにそんな感じでした…!
2021年は、かけがえのない自分を取り戻す年だなあと改めて思いました。ありがとうございます!
これからも楽しみにしています。
きょうちゃんさん
誰がどういおうが自分の好きなものは好きという勇気。
それと同時に、誰かが何かを好きと思う気持ちを認める寛容。
それがSNSの時代を優雅に生き抜くポイントだとボクは思っています。