今年も鮎の季節とあいなりました…、雅味近どう
岐阜に着いてひさしぶりの「雅味近どう」。
前回きたときは冬の終わり。空は暗くて寒かったけど、同じ時間に到着しても今日は明るくあたたかい。季節はしっかり前へ前へとすすんでる。
座敷にあがってお茶を飲みつつおしゃべりしてたら「今日はこちらをご用意しました」と小さな水槽。中には鮎が泳いでいました。なるほどそういう季節です。
みんなで写真をパシャパシャとって、これから食べられちゃうんだよね…、といいつつ、それを食べるのはボクらなんだよねって無邪気に笑う。
ボクらは命を食べている。
そして前菜。竹籠の中に収まりやってくる。料理が見え隠れするのが粋で目にも涼やか。ちまきにだし巻き玉子、揚げた里芋、タコに枝豆豆腐、スッポンの出汁で炊いたおからがずらりと並ぶ。
ちまきの中には鯛の寿司。昆布で〆た鯛の身に甘みを抑えた酸っぱめのシャリ。笹の葉っぱの香りがなんともさわやか。
サクサクに揚がった里芋に田楽味噌、枝豆豆腐にはパプリカの酢漬け、タコにはたっぷりの芥子と素材同士の組み合わせで意外な味わいが生まれるたのしさ。
今日の椀種はホタテの真丈。じゅんさいが彩り、食感添えてどっしりとした出汁のうま味にウットリします。
ごぼうのまんじゅうの銀あんかけに続いて刺身。今日の主役は甘エビで、これがおいしい。ねっとりとろけて甘い。頭の中までチューチュー吸って、マグロ、真いかに紅芯大根。食感多彩でまたウットリ。

今日のメインの鮎が登場。
陶器の筒の中に笹。
炭を下に隠してそこから煙と香りが噴き出している。
串にさされて焼かれた鮎が体をよじらせささってる。口から串が突き出す姿はあまりに残酷。
なのにそれをおいしく感じるボクはもっと残酷なのね…、と思うもおいしい香りに思わず顔がほころぶ。
なんてこったい(笑)。
お皿に串から外した鮎を置くと川を登るが如き勢いのよい景色ができる。よく焼けているから頭からカプリと丸ごとかぶりつく。
頭はバリバリ。お腹の苦みと緑の香りが鼻から抜けて、そしてうま味が口に広がる。おいしいなぁ…、ザクザクサクサク、塩の加減もほどよくて今年もめでたくありつけましたと感謝する。
付け合せの生のとうもろこしのおいしいこと。サクサク壊れて口の中を甘くする。ちりめん山椒にさつまいもの蜜煮と味わい多彩でたのしいおゴチソウ。
茄子の形の器が来ます。はじめてみました…、っていうと買ったばかりの器なんですと。蓋をあけると中には低温調理のローストビーフ、トロトロに煮込んだ茄子に揚げたししとう。醤油のタレをまとってこれがおいしいの。なにより茄子のなめらかなることウットリレベル。
〆の食事は湯葉ご飯。湯葉を銀餡とにこんでとろりとご飯の上にかけたもの。たまり醤油をかけまわし、味や風味を整えてポッテリ感を心置きなく味わい尽くす。お供の漬物がまたいいの。キュウリの漬物がさわやかで、出汁をとったあとの昆布を煮た佃煮の始末なおいしさに感心します。
抹茶のくず餅の上に焦がしたくるみを添えた甘味も上等。おゴチソウ。









