九段のむさしの、朝の蕎麦

朝、九段下。ひさしぶりの立ち食いそば屋で朝ご飯。
「むさしの」という小さなお店。
一応10時開店というコトなんだけど、9時前後からたいていやってる。今日も早い時間から営業。ありがたし。
扉をあけるとおいしい匂い。ズルいことをせず正直に仕込んだ出汁の香りに包まれる。
奥に厨房。まず食券を買うのだけれど、この券売機が変わってて商品ボタンじゃなくて値段のボタンが並んでるだけ。お店のご主人に注文すると、ご主人即座に暗算して値段を告げる。その分だけの食券を買って手渡すという仕組み。
忙しいときにはあまり複雑な注文するとご主人、ちょっとパニクっちゃう。今日はボクだけ…、だから普通はあまりせぬであろう組み合わせ。いんげん豆の天ぷらにとろろ昆布にコロッケついか。海苔巻き一個でひとそろえ。

ちょっとご主人、手が止まる。
目を閉じしばらく考えて出した答えが650円。
ありがたきかな、良き値段。

チャッチャと麺を湯にくぐらせて丼に入れ、そこに熱々の汁を注いで具材をのっける。
茹でたいんげん豆をかき揚げ状にした天ぷら。タップリのっけたとろろ昆布が汁を吸いこみゆっくり色がかわってく。ネギをタップリ。七味や一味が用意されてはいるけれど、商品受け渡し場所の横に刻んだ赤唐辛子がおかれてる。それをパラリとちらして彩り。
コロッケは乗せずにのり巻きと一緒にお皿にのっけてくれる。ココのこののり巻き。甘辛く煮たかんぴょうがたっぷりはいってキチッと巻かれた酢飯の巻物。つまり干瓢巻きの太いバージョンという感じのモノ。海苔がおいしく頑丈で、ムチュンとちぎれる感じがおいしいオキニイリ。

汁は昆布の甘みがどっしりとした甘めの味わい。
それも自然な甘みで、お江戸の蕎麦につきものの鰹節系の酸味が少なくやさしい味わい。
醤油の風味がキッパリしていて、味わい濃厚。
蕎麦はムッチリ。蕎麦独特の香りも豊かで、唇なでつつスルンと口の中にやってきてヌルンととろける。
食べてるうちにとろろ昆布が汁と混じって昆布の旨みが一層強くなってくる。
とろけた昆布が蕎麦にからんでスベスベがヌメヌメになっていくのがなんとも旨い。

赤唐辛子も粉にすると突き抜ける。けれど輪切りのままだとじんわり、後から渋い辛味がおいかけてくるようにふるまう。しかも出汁の旨みを舌が甘みに勘違いするたのしさもある。インゲンをまとめた衣が徐々にとろけて出汁にどっしりしたコクがでる。とろけた衣が麺にまとわりついて、口の中が騒々しくなるのもオゴチソウ。

蕎麦のおかずにコロッケをパクリ。乾いたパン粉がカサカサ、口の隅々くすぐる。一口食べたら蕎麦の上にのせ、しばらくそのまま。蕎麦の温度でほんのちょっとだけ衣の温度が上がってそれでコロッケらしい香りが鼻をくすぐる。ゆっくり衣がふやけてとろけ、具材の芋もトロトロになる。
いんげん豆はキュッキュと歯茎をくすぐる感じ。のり巻きの軽い酸味が汁の甘みをひきしめる。
それにしてもおいしい汁です。しっかりとした旨みにやさしい甘み、そしてほどよき酸味があって、どれもが自然な味わいだから飲み続けてもまるであきない。お腹が満ちるに従って、当然ながら汁はどんどん減っていきお名残惜しやと思いながらもゴクゴク味わい器は空っぽ。たのしく体をあっためる。

 

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