中村屋改めマンナのナポリターノ

新宿で昼。「マンナ」という店にやってくる。
「マンナ」と言ってもほとんどの人にとっては知らぬ店…、なんじゃないかなぁ。新宿中村屋がやっている店。
場所はかつて新宿中村屋の本店ビルが建ってた場所で、数年前に新築ビルに建て替わったのを期に、名前を変えてビルの地下の2階にできた。それがマンナという次第。
そもそも新宿のランドマークと言えば伊勢丹、タカノフルーツパーラーに中村屋だったはずなのに、その中村屋のビルを建て替えたのが三井不動産。一番目立つ一階にはコーチが入って元の大家さんはテナントとして地下でしんみり商売してる。飲食店の体力ではビル一本も建て替えることが出来なかったの?って、しんみりしちゃう寂しい現実。

かつての店はテーブルクロスがかかってて、蝶ネクタイのおじさんたちに女給姿のウェイトレスがキビキビ、にこやかに働いていた。
そんな優雅も今はなし。
勿体無いことになっちゃった。
それでもメニューは限りなく昔ながらで、それはしみじみありがたい。

インドカリーが有名な店。
けれど洋食メニューや中華料理も特徴的でおいしいメニューが結構あって、元祖ファミレスみたいなたのしく使い勝手のいいメニュー。何人かで一緒にいっても、必ずみんな食べたいメニューが見つかるようになっている。
たのみたいのをたのんでサラダのセットにします。フレンチドレッシングをたっぷりかけた野菜サラダで、このドレッシングのクラシックにして酸っぱくそっけない味に、なんだかしみじみなつかしさすら感じるステキ。

選べるセットドリンクが、コーヒー、紅茶、それぞれ熱いの冷たいの。
それにマンゴージュースも選択肢にあるというのが、カレーがおいしいお店な感じ。
オモシロイ。

さて目当てのメニューがやってくる。
「ナポリターノ」という料理。
トマトスープでクツクツ煮込んで仕上げたパスタ。
スープパスタと言えばどこにもでもあるモノなんだけど、なんとここのは土鍋に入ってやってくる。
到着直後はフツフツ、小さく沸騰してて湯気がでるほど熱々で、甘酸っぱいトマトの香りに喉が咳き込む。麺は平打パスタでイタリア料理であるんだろうけど、目はこれをイタリア料理とはみようとしない。

実はここには昔、伊府麺の土鍋煮込みがメニューにあって、おそらくその料理のなぞりでイタリア料理っぽい味の煮込み麺を作ったのがはじまりだったのでありましょう。
今ボクたちが普通に食べているナポリタンの誕生よりももしかしたら先に生まれたかもしれず、この作り方が一般的になっていたら、ナポリタンはうどん屋だとか中国料理店で食べるべきものだったのかもね…、って思うとなんだか笑ってしまう。

フォークとスプーンで召し上がれ…、というのがやっぱりこれはイタリア料理寄りの料理なんだと感じ、でもペロペロザクザク、歯切れる麺を食べるとトマトスープ味の伊府麺のように感じる。
鶏ガラスープとトマト風味のスープは最近流行りの、トマトラーメンのようでもあって、食べはじめるとますますこれは何料理だかわからなくなるオモシロサ。缶詰のマッシュルームにフレッシュトマト。胡椒がピリリときいていて粉チーズをたっぷりかけると味はイタリア側に向かっていくのにホっとする。
たまに無性に食べたくなって、ココで食べると変わらぬ魅力にまた来なくちゃって思う味。また来なくちゃって今日も思った。満たされる。

 

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コメント

  1. M

    子供の頃から、新宿に行けば伊勢丹帰りに中村屋のカレーはお馴染みでしたが、マンナ、っていまだに覚えません。
    何故、本店の店名から「中村屋」を外してしまったのでしょうか…。
    「中村屋にカレー食べに行こう」とは言いましたが「マンナに行こう」は一生言わない気がします。

    食でもファッションでも老舗に革新は必要で、変わった方が良いこともありますが、どこを変えてどこを守るべきか。

    少し前に、「富澤商店」が突然、TOMIZ(トミーズ)という名前に変わっていた時もショックでした。
    何だか、商品への信頼度も下がってしまうようなネーミング。
    今からでも名前を取り戻して欲しいです…。

    • サカキシンイチロウ

      Mさん
      老舗というのはお客様の記憶の中にも生きているものなのだろうと思います。
      だから軽々に変わるというコトをしてはならない。
      特に名前は大切にしなくちゃいけないんだ…、と思います。
      今の状態を見れば、中村屋という看板を掲げることが恥ずかしくて、それでマンナなんていうわけのわからない店名にした。だから昔の中村屋を期待しないで…、って行ってるんじゃないかと思ってしまうほど。
      昔とあまりに違いすぎて、嫌だなぁ…、と思いながらも、それでもちょっと間があくと行きたくなってしょうがなくなる。これも老舗の力かなぁ…、と思ってなやましくなっちゃいます。

  2. oyaji5555

    55年前、祖父、祖母が仙台から出てきて、父親が江ノ島、鎌倉を案内し、小田急で新宿に戻り中村屋で食事をしました。其の時にナポリターノを頂きました(12歳)。まだメニューにあるんですね。食べたい、食べたいです。

    • サカキシンイチロウ

      oyaji5555さん
      江ノ島、鎌倉、そして新宿中村屋。
      55年たった今でも魅力のあせぬコースですね。昔からレシピは一切かわっていないということなので、当時と同じ味をたのしむことができる。老舗ならではのありがたさですね。

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