上等なアジフライ。背筋がのびるカウンター

雨の銀座は空気しっとり。泣いてるように見える月曜。
そう言えば、銀座凮月堂が改築してからまだ一度も来ていなかった。
かつて風月堂ビルの一階には、銀座に集まるお洒落さんたちの待ち合わせ場所として重宝された喫茶室があった。
今、一階は高級スイス時計のお店。風月堂のお店は2階でこじんまり。和菓子と軽食をたのしめるテーブル席と、板前割烹風のカウンター席という構成。
このカウンター席がかっこいい。客席側のカウンターの高さにまな板や作業台が置かれてて、仕事の様子が手にとるようにわかるのです。しかも仕事がキレイで丁寧。ウットリします。
椅子の座面は高くて、にじり上がらなくちゃいけないのだけど、座り心地は良くて背筋が自然とのびる。一階のビルの入り口脇にお店のメニューが貼られてて、アジフライ定食の写真がいかにもおいしげだった。それに誘われやってきて、それを頼んでのんびり待った。

アジフライ定食をランチタイムの売り物にするお店が増えた。
京橋の有名店が連日行列を作ったというのがおそらくきっかけ。長い下積み時代を経た名脇役がいきなり主役に抜擢されたって感じかなぁ…。
そう言えば銀座でアジフライと言えば割烹「きく」の小アジのフライが有名で、夕刻行くと裕福なおじさんとキレイなおねぇさんが仲良くつまんでいらっしゃった。おいしかったなぁ…、タナカくんも好きだった。
サラダがまずくる。冷たくパリパリ、クリスピーな葉っぱ野菜に少量の油と柑橘類の搾り汁。過剰に味をつけることなく野菜自体の持ち味を引き立てお腹を目覚ます。洋風おひたしって感じさえするオゴチソウ。

そしてメインのアジフライ。
圧倒的なうつくしさ。
まず大きい。そして分厚く、細かなパン粉が黄金色に輝いている。
パン粉のひとつひとつが立ち上がるようにカラッと揚げられおいしい香りが漂ってくる。
箸を当てるとカサッと乾いた音と一緒にサクッと壊れ、ふっくらとした身が顔を覗かす。湯気がボワッと噴き出す様もゴチソウ。

千切りキャベツにトマト、そして硬く練り上げられた芥子がお供。
ウスターソースにチョコッと浸して口に運ぶと、アジのおいしい香りが鼻から抜ける。
分厚いところはふっかりとしてやわらかで、尻尾に向かって筋肉質になっていく。どちらもそれぞれおいしくて力強くて優雅な味わい。ウットリします。

ご飯の上にちりめん山椒。しっとりとしたちりめんに、ときおり山椒の実がパチッとはぜて硬めのご飯の甘みがひきたつ。
茄子と胡瓜の漬物に、汁はおすまし。分厚いお揚げに菜っ葉だけというシンプルなのに出汁がおいしいからでしょう…、味わい深くて染み入るおいしさ。塩の塩梅も見事でウットリ。日本人に生まれたシアワセをしみじみ感じるオゴチソウ。
食後の甘味がついてくる。作りたてのわらび餅。ねっとり舌にからみつくようできなこの香りもこうばしい。お茶をゴクリと飲んで〆。大人になった感じがしました。オキニイリ。ビルの入り口を入ったところにカステラの無人販売コーナーがある。まるで美術館の展示品のような凛々しさに、不正を許さぬ力を感じる。こういう銀座はオキニイリ。

 

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