一流の料理を食べたのにゴキゲンになれないなんて…

おいしい料理を作ることができる店が、いい店なのか?飲食店において大切なコトを思わず考えさせられてしまった今日の昼。

東京の東側でちょっと仕事があってついでに蔵前に来る。とんかつの名店があるのです。
「とんかつすぎ田」という店で、昔、とんかつの勉強をしていたときに何度か訪れたコトがあった。ひさしぶりに名前を聞くような出来事があり、それでウェブで調べてみたら二代目さんに代替わりしているという。
サイトの設計も写真も見事で、なにより行ってみる気にさせるさまざまなメッセージが丁寧に、しかも的確に表現されていていいなと感じた。それで来てみたわけであります。

開店と同時にお店に入るとたちまちお店がにぎやかになる。磨き上げられたカウンターの中に厨房。温度の異なる油の入った真鍮製の鍋はキラキラうつくしく、揚がったとんかつを木ベラを支えに立ててしばらく休ませる様。オーブンで温め芯まで熱を通したソテを豪快にフランベしながら仕上げる手際。どれもしっかり伝わってるなぁ…、と感心しました。

メニューは簡単。
とんかつにソテ、エビフライ。オムレツという品揃え。
小さな店で、しかも調理にたずさわるのは二代目ご主人ひとりでもある。
自信をもって提供できる料理はせいぜいこのくらい。
謙虚な気持ちと自信が混じり合った専門店的メニューもよろし。

エビフライをたのみました。
値段は2500円より。
豚肉と違って仕入れによって大きさが異なってくる。だから仕入れにあわせて値段が変わる。当然といえば当然のコト。
大きなエビに細かなパン粉をギッシリつける。ジックリ時間をかけて揚げ、引き上げしばらく休ませる。料理が仕上がる様子をみながら、ご飯や漬物、汁の準備が進んでいきます。
白いお皿に千切りキャベツ。溶いた芥子にタルタルソースがよそおわれ、あぁ、あそこにボクのエビフライが盛り付けられてくるんだろうなぁ…、ってウキウキしながら待ってこれ。見事に揚がったエビフライ。箸で食べやすいよう、あらかじめ包丁を入れ切り分けて、尻尾は縦に半分に切る。敢えて頭をつけぬところが粋なのでしょう。

細かなパン粉。薄いながらもしっかり中のエビの旨みを逃さぬように、しっかり壁を作ってる。
パン粉をつけて油で揚げる。
それはあたかも蒸して仕上げるような仕事で、揚げる前に見た生エビが、それほど痩せずに太いまま。
断面せり出すようで、香りが甘い。

まずはそのまま、何もつけずに一切れ食べる。
油の甘みとエビそのものにほどこした塩と胡椒で味がしっかり整っている。エビはおどろくほどにみずみずしてくてブルン、むっちり、歯ごたえも良い。

タルタルソースは酸味がほどよいなめらかさ。リーペリンソースが用意されていて、それで酸味を整えながら食べ始めると止まらぬおいしさ。感心したのがエビの尻尾で、半分に縦割りしているコトでパリパリ、尻尾までもがおいしく味わえ、その香ばしさにウットリします。

ご飯はほどよい炊き加減。とん汁というのに豚の気配がないのがちょっと寂しくなりはするけど生姜の風味と味噌そのものの旨みに野菜がたっぷりはいってほどよい感じ。
いい料理だなぁ…、って思うのだけど、この店がいい店か?と聞かれると少々悩んでしまう。空気が重たい。エビフライは軽やかなのに、店の空気がずっしり重たく、理由はご主人が漂わせている無愛想で不機嫌なムード。何度か目を合わせる機会があったのに、一度たりとも目が笑わない。なにか失礼なコトをしちゃったのかなぁ…、と客のこちらが気を使うほど。
ご主人の友達が来て、その人とのおしゃべりに忙しかったからかもしれない。
お客様の半分以上が外国からの人たちということもあったのかもしれません。愛想良すぎる調理人はそれはそれで心配で、無愛想な調理人の作る料理はおいしげに見えることもありはするけど、店の主人ともなれば別儀のコトと感じる。料理自体が一流だけに、もったいないと思うココ。

 

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コメント

  1. かにっこ

    こんにちは。ワタシも昨日とある居酒屋で仲間と楽しく飲み、おしゃべりしてました。飲み物をおかわりしたトキ、テーブルに″ドンッ″と。ビックリしているところに追加のおつまみが来ます。「コレゎ頼んでないですよ」と言うと、何も言わず下げていきまシタ。全員で顔を見合わせため息…。アルバイトの子も、店の雰囲気も合わせて楽しく食事をしたいだけなのに。ワタシも残念な夜でシタ。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      かにっこさん
      特別すばらしいサービスを期待しているわけじゃないんですよね。
      食事をしていることが気持ちよくなるような最低限の心遣いと笑顔。そしてちょっとした一言がほしいだけ。
      このお店のご主人。
      お客様と一言も言葉をかわさない人でした。ありがとうございますも、お待たせしましたもすべて女性のスタッフが声をかける。ご主人はお店の人に指示を出すだけ。調理ロボットみたいな人でした。

  2. みるみる

    料理以前に、人と人が出会うのだから、お店の方も、お客さんも、どちらも人としてのマナーは必要だろうと思います。会釈、笑顔、言葉、お互いにウェルカムの気持ちを表す方法はいくらでもありますね。

    たまたまこの日だけだったのか、いつもなのかはわかりませんが、挨拶したくないのなら顔を合わさないところで料理を作ればいいのに…と思ってしまいます。

    あまたあるお店から「その」お店が選ばれる理由、選ばれない理由。流行る理由、流行らない理由、流行ってないみたいなのに潰れない理由。こういうところにあるんだろうなあ。考えていくと面白いですね。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      みるみるさん
      いろんな偶然が重なって、この日の状態がいつもと違った最悪の状況だったんだ…、と思いたいほど、提供される料理と、お店の雰囲気にギャップがありました。
      サービスのよし悪し以前の問題。
      おっしゃるように、人と人とが付き合うにあたって最低限の礼節は保ちたいですネ。飲食店においてのみならず、生活するにあたって…。

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