ラーメンを叉焼で差別化するとはなかなか賢い
行ってみたかったラーメン屋さんが中野にある。
薬師あいロードっていう、中野駅の北側、新井薬師に向かって伸びる小さな商店街にある「福籠叉焼 」というお店。フーロンチャーシュー。
この商店街にはそばやうどんの直売をやってるお店があって、タナカくんと一緒によくきてた。たしかこの場所、たこ焼き屋さんがあったんだよなぁ…、なんて思ってお店に入る。
通りに面したところに大きなショーケース。ステンレスの大きな肉吊りフックがぶら下がってて、多分、叉焼なんかを吊り下げておくように設ているんでしょう。香港風の焼き物が自慢のお店。
日本の煮て作るチャーシューじゃなくて、窯で焼き上げた表面が紅い叉焼、あるいは焼き物がブームになるかもしれない…、ってずっと昔から言われててなのになかなかブームはやってこない。
香港だとそれをそのまま、あるいはご飯に乗せた丼として食べるのがほとんどで叉焼自体に罪があるのでなく、その食べ方が日本で認知されないからだと思っていたら、それをラーメン屋の差別化に使うだなんて考えたなぁ…、ってまず感心。
お店に入ってびっくりするのが厨房が大きいこと。しかも近代的な機材がズラッと並んでて、ピカピカに磨き上げられていることにウットリします。
客席側は香港の蘭桂坊あたりにありそうなおしゃれな食堂みたいな感じ。ピンクのネオンサインがかわいらしい。
カウンターの上には胡椒にお酢と鎮江香酢。こんなサイズの鎮江香酢の瓶をみたのははじめて。かわいらしい。
福籠セットっていうのをたのんだ。ラーメンに鉄板料理にご飯がついて1500円。鉄板の油が跳ねるのでと紙エプロンが供される。
鉄板料理は青椒肉絲、回鍋肉にエビチリ、あるいは叉焼からひとつ選べる。ここは迷わず叉焼にする。
まず鉄板焼と半ライス。
熱々の鉄板がバチバチ音をたてて登場。
叉焼が3種類。
大きな豚もも肉を使ったモモ叉焼。
皮付きの豚バラのバラ叉焼に鶏胸肉の鶏叉焼。
どれも表面、赤く焼かれて上からタレがかかってる。
すりおろしたタマネギかなぁ…、そこに中華スパイスが混ざった甘めの醤油ダレ。
モモ叉焼をまず食べてみる。薄めの叉焼。なのにざっくり歯切れがよくて、口の中で繊維がほどける軽快な味。
バラ叉焼は一転、食感むっちり。噛むと脂がじゅわっと滲み口の中を涼しくしていく。脂の甘みが口に広がり肉がゆっくりとろけてく。とはいえ脂は不思議なほどにさっぱりしていて後口スッキリ。叉焼にしたことで余分が脂が落ちておいしくなったのでしょう。
そうこうするうちにラーメン完成。塩ラーメンを選んでたのんだ。
透き通ったスープ。平打ちの麺。プルプルしていてざっくり歯切れる。
魚介系のスッキリとしたスープにネギの油がコクをつけ、麺にしっかりからみつく。
叉焼の下にはオニオンスライスが隠れてて、熱が入ってしんなりしてくる。シャキシャキ感は失わず甘みがまして叉焼と一緒に食べるとまた旨い。
バラ叉焼をラーメンの上にのせてみる。豚の油と醤油のタレがスープにとけて風味が変わる。スープを含んだ叉焼もぽってりやわらかになっていくのがたのしくてスープに沈めてやわやわにしてプルンと食べる。スープも全部飲んじゃった。
おいしい以上にたのしいラーメン。1500円という値段もラーメンに鉄板焼きまで食べられたと思えば安い。オモシロイ。