ミルクランドにキッチンステージの鈴なりの午後

代々木と新宿の間…、どちらかといえば新宿よりにニューステートメナーという建物がある。
基本、マンションとして生まれたんでしょう。
通りに面した低層棟は商業施設や集会場、サービス施設がテナントとして入ってる。
その低層棟を貫くトンネルをくぐると先には中庭がありそれを囲むように高層棟。
今では周りに超高層ビルやマンションが次々できてしまったけどボクが学生時代にはこの界隈でひときわ大きく背の高いビル。留学支援のオフィスがあってそれをきっかけに何度も訪ねた。
社会人になって稼げるようになったとき、住むならここがいいなぁ…、ってぼんやり思ったこともある。マンションビルではあったけど当時からもう半分くらいはオフィス使いをされていて、どこか怪しげなムードがあるのも心惹かれた要素のひとつ。
それからもうひとつ、商業棟の一階に「ミルクランド」っていう個性的な食堂があって、ここの住めばそこで毎日食事ができる。それがとても大きな魅力で本当に真剣に考えた。ただ、若造くんにはいささか家賃が高くてそれで当時はあきらめ今に至る…、という感じ。

ひさしぶりにやってきました。
今でも雑多で、建物の中になにか得体のしれぬエネルギーを感じさせるところは同じ。
ミルクランドという名前の通り、もともと牛乳屋さんだった店。
今でもノンホモ牛乳の販売もやっててお店の入口部分にコールドショーケース。
中にはガラスの瓶に入ったミルクやヨーグルト。あるいは野菜や醤油とどれも自家製。野菜は全部、農薬、肥料を使わず作った自然な野菜。お店の人たちが自ら育てているんだという。
メニューは毎日一種類だけ。しかも素材は野菜だけ。
ご飯は釜炊きの白米、玄米を選んでたのめる。玄米選んでサイズは「小」。自家製納豆を追加でつけて1000円ちょうど。ありがたいかな…、やさしい値段。おなじみさんが次々お店にやってきて、そのほとんどが納豆追加。白米、玄米を選んでニコニコしながら料理を待ってる。

野菜の料理が5種類。汁にご飯に漬物、納豆。
お膳の上はとてもにぎやか。そしてもどれもがタップリ、おいしい。
茹でた冬瓜をゆかりであえた和え物は、スベスベしていて噛むとクチュっと歯切れる食感がまずたのしい。
しかもジュワリと冬瓜が含んだ出汁がにじみだす。
ゆかりの香りが鮮やかで、一口ごとに体の熱がとれていくよう。
大根と厚揚げをただ出汁で炊いただけの料理は甘い。
夏大根の辛味が熱を通すと甘みにかわっていくのでしょう…、厚揚げの油もしみて食べごたえがある。
ズッキーニとモロヘイヤのあんかけ料理は食べると口の中でとろける。枝豆ととうもろこしを大根と一緒にあえたサラダのような味のひと皿。サクサク、コロコロ、口の中がニギヤカになる夏のゴチソウ。小松菜のおひたし、青菜の漬物とどれも素材の持ち味がおいしくウットリ。

野菜だけなのに不思議なほどに満足感と豊かな気持ちになれるというのに、感心します。味噌汁の味噌も自家製納豆も普通にいつも食べてるものとなんでこんなに違うんだろう…、特に納豆の嫌な匂いがないコトにビックリしました。ホツホツ炊けた玄米ご飯も噛めば噛むほど旨味が広がる。ボクは小、おじさんたちは中サイズ。なのに女性は大盛りもりもり食べているのをさすがと思う。次にきたらば大盛りだなぁ…、って思ったりする。
自信のあるものだけでもてなして、用意した分が売れたらおしまい。これは商売というより生き方だなぁ…、って思ったりもする。オキニイリ。

 

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野菜ばかりのお昼のおかげで、お腹が軽い。
おやつ代わりに気になっていたキッチンステージに行ってみようと伊勢丹の地下。
「鈴なり」という家の近所のお店のポップアップをやっている。
前菜の膳とメインに食事の膳の二部構成。
前菜3品。茹でて冷やした小芋といんげんを胡麻とクリームチーズで和えたモノ。クリームチーズと胡麻をあわせると濃厚な味噌のような味になるというのにちょっとビックリ。小芋のとろけを引き立ておいしい。
スモークサーモンは刻んだピータンと出汁をあわせたジュレでたのしむ。とうもろこしのすりながしを玉子と一緒に茶碗蒸しにしたのにトリュフ塩の風味をくわえたあんかけ。ピンクペパーがカリッと砕けて明るい香りが鼻から抜ける。洋食のアクセントをくわえながらも和食であること。すばらしい。

メインの料理はトロトロに似た茄子を薄切り牛肉でまき、甘辛味に炒りつけたもの。そこにたっぷり塩と出汁で風味をととのえ仕上げたきんぴら。極細のごぼうとニンジンがシャキシャキしながらとろける茄子や牛肉の食感、味わいひきたてる。
サイドに添えられたもみじおろしのような大根おろしにすりおろしたトマトを加えたトマトおろし。酸味がおいしく口の中がさっぱりしてくる。今度自分でも作ってみようと思う逸品。
鰻の蒲焼を刻んでタレと一緒に混ぜたご飯。なめらかにすりおろした山芋には出汁をたっぷりの山椒かける。とろろだけを食べると山椒がピリピリよきアクセント。鰻ご飯にかけると鰻の蒲焼の風味付けにもぴったりという、よく考えられた献立に感心しました。
いばらず、きどらず、遊び心と食材に対する真摯な気持ちを感じる料理。今度は近所のお店に是非に伺いましょう…、と思う午後。

 

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