ミュシャのスラブ叙事詩を観る!

ミュシャ展に行ってきた。
アルフォンス・ミュシャ。
19世紀後半から20世紀前半というヨーロッパ世界が大きく動いた時代を生きた芸術家。
最も成功したグラフィックデザイナーの魁と言われることの多い人。
美少女漫画のごとき挿絵やポスターであまりに有名。
アールヌーボー的に美人を描こうとすると、必ずミュシャ的になってしまう…、ほどに独特で、今なお強烈なみずみずしさを発揮している人出もあって、だから美術展をすると大抵、そういう作品がメインとなる。

ところが今回。
それらグラフィックデザイナーとして彼の作品とはまるで違った、画家的世界がメインの展示。
「スラブ叙事詩」という、スラブ民族の神話的世界からずっとつらなる民族の歴史を描いた20点からなる作品群。日本でみることができるなんて夢のようです。
なにしろ小さなモノでも幅5メートル、高さ4メートルという大きさです。
壁に絵が飾られているという感覚でなく、絵に四方を囲まれているという圧倒的な迫力にまずうなります。
ミュシャ独特の耽美的なフォルムやイメージ、色使いはかいまみえます。
けれど、誇り高い民族が他の民族から貶められ、激しい闘争の末に誇りを取り返すという、重たい主題故の暗く、重たい作品揃い。息が詰まるような緊張感に熱いものがこみ上げてっくるよう。
力作揃いの中で、ボクが一番好きだったのが「ズリンスキー総督によるトルコに対するシゲット防衛」という作品。キリスト教世界をイスラム世界から守る戦いを描いたもので、火にあぶられる砦の真ん中に真っ黒な柱のようなものがかかれてる。煙なのか闇なのか。見ていて切なく、狂おしくなりしばらく前から動けずずっと見てました。

20点の大作が3つの展示室に分けて展示されていて、そのひと部屋が撮影可能な展示室。
入ってくるとほとんどの人が写真を撮る。
それもデジカメじゃなくて携帯電話やスマフォで撮ってる…、というのが今風。
画像を撮って一体、どうする。
待ち受け画面にするのか、それともただただ行ってきたよと友人に自慢するのか…、どうなんだろう。
多分、後先考えず、せっかく撮れるのに撮らなきゃ損損…、って感じなんでしょう。
みんな写真を撮るのに一生懸命で、絵を見る人が少ないようにみえて笑った。せっかくだから、写真を撮ってる人を撮ってみる私(笑)。
スラブ叙事詩以外の、いわゆるミュシャらしいアールヌーボ的なる作品も充実しててあっという間に1時間半。堪能しました。オキニイリ。

ちなみに展示過程を撮影、編集した動画があります。あらためてその大きさにビックリ。スバラシイ。

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