マダムひとりでモーニングアンドナイト

雨が降ったりやんだりの水曜。高円寺界隈を歩いてみようと丸ノ内線にのり新高円寺の駅で下車。
高円寺に向かって北上。この界隈はよく歩く。荻窪、阿佐ヶ谷、高円寺はタナカくんともよくきた思い出エリア。
散歩していて気になったお店に今日は行ってみようとテクテク歩いて「itoma morning & night」にやってくる。
「朝と夜」という名前の通り、朝食営業とディナー営業しかしないお店。
この界隈を歩くのは早めの午後の時間が多くて、当然いつもやってない。
朝食と昼。昼と夜。あるいは通しと飲食店の営業時間はたいていそういうものでなのに「朝と夜」。
ランチ営業はしない不思議が気になっていた。
お店は小さい。カウンターに２席。大きめのテーブルひとつに６席あるだけ。マダムひとりでやってらっしゃる。
朝の献立はスープとパン。コーンポタージュとカッテージチーズのトーストのセットか、枝豆スープにバジルクリームのパンのセット。
どちらもおいしげ。ちょっと悩んでコーンポタージュのセットをたのむ。

１０種類ほどの飲み物から２種類選んで８００円。
炭酸水とチャイを選んだ。
「２つ選べる」っていうのがとてもたのしくて、いい工夫だなぁ…、って思う。
カウンターに座ると料理ができる一部始終をたのしめる。
手鍋でスープがじっくり炊かれ、スキレットの上でパンが焼かれておいしい匂いが漂ってくる。
仕事はとても丁寧で、しかも確実。
お待たせしましたと運ばれてくる料理の姿にウットリします。
スープの上には焼いたとうもろこしにココナツオイル。スープの中のとうもろこしは粒感をのこしてて、ホツホツ、口の中で暴れる。焼いたとうもろこしはコツコツ奥歯を叩いて壊れ、甘くておいしい。
ココナツオイルの香りが夏の予感をさせるご馳走。
ちょうど他のお客さまが帰られてお店の中にはマダムとボクだけ。料理の話で盛り上がる。季節を感じさせる料理はおいしい。だから今日のコーンポタージュにはココナツオイルをアクセントにしたんだという。ステキな工夫。

トーストに添えられていたカッテージチーズは自家製でとてもなめらか。おろしたばかりのライムの皮がほどこされていて、青くてさわやかな香りが夏を呼ぶ。
トーストにはシナモンが風味をつけていて、香りは甘い。なのに味は塩と酸味とうま味でととのう。とても複雑。オモシロイ。
お昼の間は家に帰って昼寝するんです…、コロナ前にはランチも営業していたけれど今はのんびり。あくせくしてもしょうがないから…、って。
無理せず生きていけることはとても贅沢。無理せぬ仕事の仕方が作る肩の力が抜けたご馳走はまた格別って思ってニッコリ。
２週間ごとにメニューが変わる。また来なくちゃ…、って思ってお店を出て歩く。お髭にココナツオイルの香りがこもって、しばらくボクに南の夏がついてきた。

 

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