ポケットマネーで両親をもてなせる贅沢

昼、キッチンステージにやってくる。伊勢丹のデパ地下フロアの一角にあるオープンキッチンを眺める、たしかにステージみたいな造りのお店。

定期的にメニューが変わり、それらメニューが話題の名店のシェフプロデュースのモノというのが特徴の店。最近、あまり気にならなくってひさしぶりの今日であります。「賛否両論」という日本料理のお店のメニュー。好きなお店がどんな料理を提案するのか…、ってワクワクしながらテーブルにつく。
メニューを兼ねたリーフレットが用意されてて、スポンサーの貝印さんの広告がかなり目立つようになった。金を出してるんだから広告させろ…、って感じにみえて、あぁ、世知辛いってちょっと思った(笑)。しょうがない。

ちなみにリーフレットに書かれた店主からメッセージ。
サラリーマンがポケットマネーで両親をもてなすことができるお店を目指してる!
いいな…、と思う。

世の中には、あぶく銭を浪費するためのお店があったり、会社の金で自分たちをもてなす店があったりもする。
そういうお店の料理があたかも、今の時代の先端を行ってるみたいに勘違いする向きがあって、だからこういう健全な考え方のお店はステキ。勉強になる。

前菜、メインの二部構成。
前菜は料理三品で出来上がっていて、一つはタコの酒煎り。ミズダコの足を日本酒で軽く煎り生のザーサイ、塩昆布の力を借りて味わう料理。
ネットリとした足の食感、コリコリとした吸盤の砕け感と食感たのしい。そこにカリカリ、ザーサイの歯ざわり混じって口の中がニギヤカになる。
トマトのすり流しを屑でまとめた豆腐を出汁に浮かべた料理。
じゅんさいと共にスプーンですくって食べると、鰹節の出汁がまるでトマトスープのように振る舞う、冷たいもてなし。気が利いている。カモのローストには焼き茄子と玉ねぎを刻んでペースト状にしたのと合わせて味わう。ネットリとした焼き茄子が、ザラリ崩れる鴨肉をなめらかにするオゴチソウ。

取り立てて変わった食材を使っているわけじゃないのです。
特別、変わった調理法をとってるわけでもなくて、だから、家で作ってみようかなぁと思わせる。でも手間がかかるからやっぱりこういうところで食べた方がいいのかと主焦る、リアリティのある料理の数々。これもまたいい。

高級な食材を使っておいしい料理を作るのは金さえあれば誰にだってできること。
希少食材や特別な調理器具がなくてはできない料理に頼るということも、同じ意味で粋じゃない。
メインの料理も、もしかしたら作れるかも…、って思わせるもの。

分厚いイサキの切り身を酒と醤油と味醂を割った漬け汁に漬け込み、それを塗りつつ焼いた幽庵焼き。
脂の強い魚がふっくら。余分な脂を落としつつ、ギュッと旨みを閉じ込め焼ける。
柚子の香りをまとわせて、大根おろしと刻んだオクラを合わせて作ったムースのような料理と一緒に味わう趣向。ブリブリとした魚の切り身を包み込む、ネットリとしたネバネバ料理が夏の滋養を感じさせるのがまたオモシロイ。

焼いた魚の向こう側にあるのが天ぷらにした梅干しで、中にクリームチーズを詰めてあげてる。バリッと衣が崩れてネットリ。シャキッと背中が伸びるような酸っぱい梅干しがやってきて、それに続いてクリームチーズの香りと旨み。オモシロイなぁ…、すごくたのしい。
しかもご飯をねだる味わい。ちなみにご飯は千切りにした新生姜と油揚げを土鍋で炊いた炊き込みごはん。シャキシャキとした食感に醤油と出汁の旨みがおいしい味わい深さ。
汁は冬瓜と玉ねぎ、そこにホタテの出汁を加えて炊いたすり流し。ぽってりとしてまるでポタージュ。万願寺唐辛子の香りと辛味がたのしいちりめんをあてにして、お腹が満ちる。知恵と工夫と技術と創意。勉強しました。オキニイリ。

 

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