ボガマリの兄弟、さかな庵澪つくし

渋谷中心の一日の〆にお魚。出来たばかりの「さかな庵・澪つくし」という店。
魚しか無いイタリアンレストランで、オキニイリレストランのひとつ、ボガマリ・クチーナ・マリナーラの支店というのでワクワクしながらやってきてみる。
場所は渋谷と青山のちょうど境目。
オフィスビルの一階というロケーションで、扉の上にのれんがかかっているだけという外観自体はとても控えめ。表通りの一本裏で、そういえばボガマリの場所も裏通り。駅からも遠くてワザワザこなくちゃいけない場所というのがよく似てる。
中に入るとカウンターがあって中に厨房。程よく大きく、程よく小さく、どこに座っても厨房の気配を感じるよき空間。おいしい予感が漂っている。

カウンターの一角に魚を並べたショーケースがある。
メニューは控えめ。
20商品ほどが用意されてはいるけれど、基本、お客様に魚を見てもらって料理の仕方を相談しながらメニューを決める。
これもボガマリと同じスタイル。
魚の陳列の仕方もよく似て、キレイで見ているだけでお腹が空いてくるようで、けれど鮮度が違って感じる。

鮮魚と言えどもイタリア料理では加熱調理をするのが前提。
けれど日本料理の場合は、刺身が花形。
料理するにしても鮮度を活かして、素材の持ち味を引き出すスタイル。だからボガマリのそれより一層、新鮮なように思えて、見える。

実際、生きたままで稚鮎が泳いでいたり才巻海老も泳いでいたりと、みているだけでワクワクしちゃう。
それぞれの魚を指差し、これはどうやって食べるの…、なんてやり取りしてると全部食べたくなっちゃう。うれしい悲鳴のたのしい仕組み。

時間をかけてジックリメニューを吟味して、着席すると小さな器に出汁が来る。これが今日の料理の基本という出汁で、まぐろ節と昆布でとった濃厚な味。酸味すくなく旨みが強く、香りが強くてコクがある。熱々の出汁を飲んでお腹を温める。
それに続いておまかせ前菜の盛り合わせ。小さな器が見目麗しくキレイに並んだ大きなお皿。真ん中には煮たバイ貝。もずく酢、キスの南蛮漬けに蒸してせせった香箱蟹。イカとイカ墨の沖漬けにイカの煮付け。
どれもそれぞれおいしくて、中でも白子を混ぜて作った茶碗蒸しの濃厚な味に体ふるえる。酒、旨し。

今日はスゴいマグロが入っていますと、見せてもらったなるほど見事なマグロの赤身。
それをメインに刺身を造ってもらって味わう。
ひんやりとしたマグロの赤身は、不思議なほどにマグロ独特の酸味やわらか。強い旨みがネットリ舌にからみつく。
ザクッと歯切れていきなりとろけるつぶ貝や、甘いエンガワ。塩と柚子で味わうマコガレイの薄造りに脂がのったアジとどれもが見事な状態。
特にアオリイカのネットリとして、とろけながらどんどん甘くなってくコトにウットリしました。日本の海の豊かなことに感謝する。

おいしい素材はなるべくそのまま味わうのがよし。例えばエビは蒸しただけ。その熱の加減のすばらしきこと。おそらく自分が加熱されてることに気づかぬほどに手早く、そして程よい温度で蒸したのでしょう。
甘い。むっちり食感豊かで頭の中の味噌までおいしいコトにニッコリ。これを10尾食べて終わりにしてもいいほど。
タコも茹でただけなんだけど、それで十分おいしくて、なにより甘い。塩辛い海の中にいてなんでこんなに甘いんだろう…、って不思議なほどに味わい深い。キスの天ぷらはふっくらと、塩で味わいキス独特の香りをたのしむ。

最初に飲んだ出汁を使って作った汁。
実は蟹肉で作った真丈。
ふっくらとして、カニの香りと旨みがギッシリ。
口の中でフワッととろける。
真丈自体もおいしいのだけど、汁が本当においしいのです。
最初にそれだけ飲んだときにはマグロの旨みを強く感じて、なのにネギやカニの旨み、風味を邪魔することなくしっかり受け止め、お椀の中のすべてをおいしくしてくれる。
力強いのにたおやかで、揺るぎないのにとても柔軟。オモシロイなぁ…、マグロのスープ。
ちなみに器も面白かった。見た目に漆器。なのにこれが陶器で出来てる。蓋付き椀の陶器なんてはじめて触った。オモシロイ。
これに限らず日本料理を作り始めると食器集めがたのしくなる。色んな形、いろんな素材がたくさんあって、しかも食器洗浄機に入らなかったり保管するのに場所をとったりと、イタリア料理をずっとやってて器に関しては楽してたなぁ…、って思ったそうな。

それにしても想像していた以上に日本料理でビックリしました。
イタリア料理が得意な人が、日本料理のお店をするとどこかにイタリア料理的なるものが残るものなんだけど、料理に関してはまごうことなき日本の料理。
それに合わせるお酒がワインであったりするけど、料理を変に創作しないところがステキ。

岩牡蠣を九条葱と一緒に焼いた料理であったり、グジの煮付けも素直においしい。
隣のテーブルで貝の炊き込みご飯を食べてて、おいしい匂いが漂ってくる。
ヒョイと見たら、なんとそれがバーミキュラのライスポッドで炊いたものだった。そういうところがちょっと普通の日本料理のお店と違ったところ。
良い工夫ですねと言ったら3台買っちゃいましたって。これで炊く白米も旨いし、鯛めしなんて最高ですよ…、ってニッコリ笑う。
ほら、また来なくちゃいけないじゃないってこちらもニッコリ。

まだ荒削りなとこもある。
けれど素材や料理に対する真摯な姿勢と、今までの経験。そしてなによりお客様の気持ちに対して素直なコトを考えるなら必ずいい店になってくれるに違いない。
落ち着いたらランチも始めるっていうのもウレシイ。また来ましょうネ…、とデザートワインを飲みつつ思う。オキニナリ。

 

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