ホラーな経験
伊勢丹のキッチンステージで食事をしました。
百貨店のデパ地下にぽつんと置かれたガラスの箱のような場所。キッチンがありカウンターと一人がけのテーブル席。どこに座ってもキッチンの中を間近に見通すことができる「おいしいステージ」。
定期的にメニューが変わる。
レストランにおけるメニューはステージにおいては演目と呼ばれることになるのでしょう。舞台監督にあたるのが日本中の有名店のシェフで、今回のそれは「賛否両論」のシェフがつとめる。
キッチンに向けてカメラを構えたら「お店の撮影はお控えください」って注意されちゃう。今までそんなことなんてなかったのにね。しかもカウンターにお客さは一人もおらず、撮られて困る人などいないはずのなのに。ポリシーが変わったのかしら…、って思ってメニューを撮ることにした。
そしたら厨房の中の調理人の一人が、スゴイ形相でボクの方を見るのです。
敵対的な視線が刺すがごとし。しかも誰ひとりとしてたのしそうに料理を作っていないのですネ。にもかかわらずスタッフ同士で会話するときはニコニコしてて、仲よさげ。この「仲間内だけたのしそう」というムードはレストランとしてあってはならないコトなのに…。
おそらく誰もこのガラスの箱の中の責任をとっていないんじゃないかと思った。伊勢丹は場所を貸してサービススタッフを送り込んだだけ。貝印はお金を出してサポートしただけ。辻調が調理スタッフを派遣して、コーディネーターみたいな人が有名シェフのレシピを借りた。でも本来、支配人がすべての責任をとる立場としてお客様と働く人の間に立たなきゃいけないはずが、そういう人がどこにもいない。もったいないなぁ…、と思います。
まぐろの漬けとクリームチーズ。
くるみの豆腐に低温調理の鶏胸肉に梅味噌かけた前菜は、クックパッドにレシピが乗っていそうな料理。
重たいお店のムードを明るくさせるほどの魅力はなし。
メインの料理がくるのだけれど、手前に箸置き、奥にお茶。小さい机の真ん中にお膳を置くだけのスペースがない。
だから端っこにおいて平気なサービススタッフ。
もう何年もずっとこう。こういうことが平気な感覚がボクは嫌いで、ちょっと工夫をすればキチンとおさまるのにネと、箸置きと箸をお膳の上に移しただけで、ほうら真ん中に収まった。
サワラの焼き物、ごぼうのフライ。ひじきとパプリカ、玉ねぎの炒め煮、きのこご飯に生湯葉の汁。サワラやひじきが醤油辛くてしょうがない。日本料理を「出汁の料理」と「醤油の料理」に分けることができるとしたら、これはまさに醤油の料理。賛否両論とはこういうことか…、って思ってしまう。
JRの駅なんかでお弁当を作って売ってる店だから、弁当風の味付けが得意になったのかもしれないなぁ…、って思ったりする。これで3240円。百貨店プライスでござんしょう。しょうがないか…、と思ってお金を払いにレジに。
ちなみにここの店では千円札を縦方向に二つ折り。つまり細長い長方形の状態にしてレジに並べる。レジ箱の深さに合わせてそういう折り方にしているのでしょうけど、それが嫌いでしょうがない。
伊勢丹の他の売り場ではそんな降り方をすることはなく、おそらく誰かがそうすることにしたのでしょうけど、不思議で不思議でしょうがなく、「なんでここだけこういう折り方をするの?」と聞いたら、二枚、三枚、四枚重ねであらかじめ折っておくとお釣りがすばやく出せて便利なんです…、と。
それなら別に縦長にしなくったっていいんだよね?
なんで縦長?って改め聞くとそれには答えずお釣りを渡しながら「ありがとうございます、サカキさま」と言いやがった。
カード払いじゃない、現金払い。名前を告げた覚えもなくて、ワタシはあなたを知ってますよと最後の最後にボクの名前を武器にした。正体を知っているから面倒なことは言うんじゃないぞ…、ってことなんだろうと深読みをしたボクはいささか自意識過剰だったのかしら。そんなこんなも含めて辛口。こういう伊勢丹、カッコ悪。
怖~!! 人によって色々な価値観がありますね(+_+)
すうさんさん
最初は呆れたんです…、そして呆れが諦めに変わってところがあとからじわじわと怖さに変わった。不思議な経験でした。
いつも拝見していますが、店内撮影の際には、事前にお店の方に許可をとられていると思っていました。
伊勢丹店内は以前から基本的に写真撮影は禁止だったはずです。
お料理や接客に対する評価等は個人の基準でされていることですし、思ったことや感じたことを発信されるのはいいと思うのですが、お店で働く方にしても勝手に写真を撮られてネットにアップされるのは、不快な方もいるのではないでしょうか?
私はお客の立場でしか飲食店は利用しませんが、後ろ姿等でも、写りこんだ写真をネットにアップされるのはとても嫌です。
長々とすみませんが、店内撮影や店内の写真をネットに掲載されることについて、こういう考えもあることを知っていただければ幸いです。
ののこさん
基本的に了承を撮ります。このお店に関しても通うようになったときに了解をちょうだいしました。なのでずっと大丈夫と思っていたのですがやはりポリシーが変わってしまうことがあるのですね。
あるいは、何度か厨房の中であってはならないことを写真に撮って伊勢丹さんにお伝えしたことがあって、そういう意味で「スパイが来たぞ」と思わせてしまったのかもしれませんね。
これからは十分に注意することにしようと思いました。
客の質問をスルーして、名乗ってもいない名を
「ありがとうございます。〇〇さま」
と慇懃に…。
本当に、その一行で、背筋がゾッとしました。
客としては、個人情報を握っているぞという事で脅しをかけられたら、どうしたら良いんでしょうね?
(飲食店や店でカードを使うのも気持ち悪いです)
こちらも名前を訊くか、名札を見るかして、顔も覚え、然るべきところにあれこれするしかないですね。自分ならそうしてます。
そんな飲食店にも百貨店にも二度と行かないですね。
サカキさんは長年のロイヤルカスタマーであるだけでなく、過去色々と伊勢丹のプロモーション企画にも惜しみなく協力されてますのにね。
結果、こういう思いをされるとは心中お察しします…。
Mさん
伊勢丹でなくてもいいことがたくさんあります。
でも、どうせならば伊勢丹で…、と思ってやってくる。館に入った瞬間になにかワクワクするようなことが待ってくれているからと思って来るのだけれど、そのワクワクがどんどんしぼんでいくような感じがこの一年ほど強くなっているように思うんですネ。
伊勢丹はただの百貨店でなくあくまで伊勢丹。
そう思い続けたいのですが、もしかしたらただの百貨店…、いやいや、高級を装う間抜けな百貨店になってしまうことにならなきゃいいがとハラハラさせられる。
ドキドキワクワクと、ドキドキハラハラでは違いすぎます、悩ましいです。
何か、お店の方に大きな勘違いがあったようですね。キッチンステージというからには観られているのは料理だけでなく料理を提供する側。お客さんは観客ですよね。その観客を個人的な感情から睨みつけるだなんて、もってのほか。物事にはいろいろな反応の仕方があると思います。同じ、「写真を撮らないでください」という状況でも、何種類もの伝え方があったはず。それを結果的に、お客さんに嫌な思いを残させたまま帰してしまうなんて、もったいない、なんという浅はか、未熟さ、器の小ささ、としか言いようなないです。不快感が残っていませんように。
to22byさん
写真は撮るなといっておきながら、食べログを使ってプロモーションしようとする姿勢。
矛盾に溢れてらっしゃって、これも最近の伊勢丹らしさと思うことにしました。この場所。しばらくなかったことにしてしまおうとも思いました、触らぬ神に祟りなしです。
ののこさんのご意見に同意です。以前から結構他のお客様の顔も本ブログにアップされてるのを見て気になってました。相手の方に了承取られてるのかな、って。美味しいものを楽しんでる雰囲気とかを表すには必要なコンテンツかもしれませんが。
まぁ今は素朴な疑問でも批判と受け取ってしまう人が増えてるご時世ですし、榊さまも伊勢丹新宿でその昔はシャンパーニュのトークショーやったりと色んな意味でメンツが割れてるので、不快に感じたところはお仕事と言え距離を取った方が精神衛生上宜しいかと。
以上長文失礼致しました。
めるばさん
いつも気にしながらご覧になってらっしゃったんですね。不快な思いをさせ続けて申し訳ありませんでした。
いえいえ〜
「キッチンステージ」とは言え厨房は本来企業秘密だと自分は勝手に思ってるので撮影を控えて欲しい、というのは分からなくもないけど、紙幣の折り方は理由があってやってるんだろうから、それを説明すればいいだけで、説明しないのは業務怠慢とも取られかねないなぁ〜と読んでて思いました。
めるばさん
本当に企業秘密がそこにあるのであれば、壁を作って見せなければいいんです。オープンキッチンであるということは、厨房そのものが秘密なのでなくそこで働いている人の技術と経験こそがおいしい料理を作り出すものである。だからどうぞ、隅から隅まで観て帰ってくださいという自信の現れだとボクは思っています。
お店によっては、どうぞ厨房の中をご覧になって帰ってくださいという店も多く、しかもこの店ではレシピまでもリーフレットで詳らかにされている。
店の形と営業スタイルが発信しているものと、この店の考え方が違っているとしたら不幸な話だと思ったのです。
いろいろ気になることはありますが、そもそも「賛否両論」と味は同じような感じなのでしょうか?
ロケーション的にも、お財布的にも(笑)本家に行けない私としては、そこが一番気になりました。
監修側としても、宣伝としてそれが一番大切なはずなのですが。
ちなみに…
以前にこのお店のスタッフの手袋の扱いについてアップされてましたよね?
あの記事をエライ人が見て、めっちゃ怒られたからこんな失礼な対応をした、というのは邪推でしょうか?
行ったこともない私が勝手な想像で申し訳ないですが、厨房の緊張感もなさそうですし、この企画自体が行き詰まっているのかなあ…?
みるみるさん
行き詰まっているように感じます。
プロデュースするお店によって、魂のこもったまさにその店らしい料理を提供するときもある。
けれど、「その店っぽい」料理を提供してお茶を濁す店が増えたように感じます。
しかも連れてくるお店が有名どころばかり。しかもキッチンステージおなじみの店が増えてきている。できれば実力はあるけれどまだ有名になるきっかけに恵まれていない若い店、若い調理人に発表の場を与えるような場としてここが活用されればかっこいいのに。
結局、有名なものしか売ろうとしない普通の百貨店になってしまったのかなぁ…、と思ってしまいます。なやましいです。
仰る通り、世の中で著名な店舗を入れた方が客寄せパンダ的要素は高まるので、「キッチンステージ」のコンセプトと違う店のメニューも出さざるを得ない状況になってるのでしょうね。伊勢丹自体、閉店店舗が増えてるので守りに入ってる部分はあるのかもしれません。
あと、まさか謝罪されると思わなくてビックリしました。「ブログを見て不快になるなら見に来るな!」って言われると思ってましたので…
めるばさん
いろんなご意見をちょうだいすることができるのがブログという場所のすばらしいところだと思うのです。
こんな考えもあるんだよ。
こういう受け取り方もできるんだよという皆さんからコメントはボクにとっての宝物。これからも忌憚のないご意見、頂戴したいと思います。
飲食店とおできは大きくなると潰れる
榊さんのお祖母様の御言葉でしたよね
飲食店に限ったことではなく、最初の志しを維持して大きくなるのは、並大抵の事ではないと思います
下流に行くほど水が濁るのは自然なこと
人の魂の在り方が問われると思います
自戒も込めて
はなさん
開きすぎると倒れるし、開かないでおくと倒れてしまうと、屏風に例えて飲食店をおしえてもくれました。
何事においても続くということはすばらしいこと。
そしていつも初心を忘れず、ただただお客様のことと働いてくれる人のことを思い続ける気持ちが必要。単純だけれど、大切なことだと再認識いたしました。
以前に青いゴム手袋の件でコメントなさったのの、反撃だと思いました。ガラス張りなので、お店の外から撮ればどうだったのですかね。私も一度食べに行きました。
スタッフの方々は、お店の方じゃない気がしました。伊勢丹が用意したアルバイトではないかと。
盛り付けているだけだから、お弁当食べている感覚になって以来行っていません。
まさこさん
青手袋の指摘のあと、何度か伺っていたのですがそのときには何もなく、なのに今回の不意打ち。
未だに釈然としません。
今まではどんなことがあっても、良くなってくれればと思っていましたが、もう愛情をもってみることができなくなってしまったなぁ…、と感じました。
まあ、なんて勿体ない。
折角サカキさんが来店したのだから、笑顔で精一杯のおもてなしをしてこのチャンスをポジティブに活用すれば良かったのにと思います。
おそらくサカキさんと分かった時点で厳戒態勢になっちゃったんでしょうね。これは完全にアウトです。
写真に関しては、注意された時に以前許可を取ったことを伝えて確認した方が良かったのではないでしょうか?
こばんさん
申し開きをする気持ちの余裕もなにもかもすっ飛んじゃいました。
今、みんないかにしてSNSで拡散してもらうかに一生懸命になっていて、伊勢丹もピンタレストやインスタグラムを意識したプロモーションに一生懸命。でも結局、都合のよいことだけを拡散してもらいたい…、つまり広告の手段としてとらえているんだなぁと思いました。
しょうがないことと思いつつ、そういうところから熱狂は生まれないなとも感じた次第です。
楽しい食べものの話なのに、
許可とかそんなことはどうでも良いと思います。
なぜなら、そこで食べているのは、すでに外出しているので、その写真を撮られたからといって不快にはなりません。
サカキさん、こんなくだらないことにめげずに、これからも楽しいポストをお待ちしています。
これでも長い間拝見させていただいているのですよ。
Happy Food and happy life!!
瀧朗さん
そう言っていただけるととても気持ちが楽になります。
そして「Happy Food and happy life!」。
ステキな言葉ありがとうございます。これからもたのしく食べてゴキゲンに日記を書いていきますネ。
サカキさんのホラー体験!?お察しします。
キッチンステージ、電車に乗って出かけてここでランチして、それからお買い物をするのが好きだったんです…サカキさんもブログでアップして、楽しくお食事されてましたよね!
いつ頃からか、出店するお店のメニュー以外に、アラカルトが登場して、どうして??と感じ、私の中ではそれからあっという間にワクワク感が減ってしまったようです(悲しい)
カウンター席で、出来上がる料理を待つのが至福の時!という時間をまた楽しみたいですよ~
いつも心にひびくブログ、ステキです!
noteさん
売上が欲しいんでしょうネ…、今、三越伊勢丹グループは儲からないことは徹底してやらない。新しい試みは行わないという方針になっているようで、その流れのひとつなんでしょう。
儲けたいと思うと、途端にお客様は「損したくない」と思うようになる。ものを買うということに関して、今の百貨店ほど馬鹿らしい場所はなく、でも「経験を買いに行く」場所としてであれば、まだまだ役目は十分にある。
経験の場としてキッチンステージは素晴らしい場所だったのに、それを儲けの場にしようとしている。夢をなくした百貨店は時代遅れの場所でしかない。…、と思わされた出来事でした。