プルコギにケジャンにうどんがありさえすれば…。

今日は5月29日、肉の日ですゆえ、夜は肉。
ひさしぶりに巨牛荘にやってくる。
かつて墨田区の両国近く、石原という街にこの店ありと言われた名店。
焼肉の店ではあるけれどいわゆる日本式の焼肉じゃなく、プルコギを専門にしていたお店で、ワザワザそれを食べに来る人が連日行列をなすので有名。
その有名にあやかりたいと、六本木に本拠地をもつ帰国子女系の会社がライセンスを買いに来た。お役にたつのであればということで、レシピや商売の仕方を売って、それでお店が次々出来た。
出来はしたけど、これが本業ではない会社。結局、広げた事業も縮小につぐ縮小で、今や本店を含めて3軒だけという状況。なんでそんなコトになったのかという理由が実は、お客様をお迎えするテーブルの上にあるのです。

コンロの上に網が置かれているのです。プルコギ屋だったら網じゃなくて鉄板の鍋が置かれてしかるべき。なのにいつしか、まず牛たんやカルビ、ハラミを網で焼きそれからプルコギを作りはじめる…、というコーススタイルをとっちゃった。
プルコギの市場は小さい。だから店を増やそうとしたらより大きな市場の焼肉のお客様もとらなきゃいけないと思ったのでしょう。結果、客単価も高くできるから一挙両得と思った結果、焼肉の部分があまりに貧弱で評価を下げた。だって焼肉の市場は死にものぐるいの人たちが集まる市場。大きいけれど簡単じゃない市場だから、そこを売りにするとやけどする。

ボクまでやけどやけどしたくないから(笑)、焼肉類は注文せずにプルコギメインの夕食とする。

丸い鍋がジンギスカンの鍋のような鍋がきて、周りに水を注いでカチンと火をつける。
水が沸騰してきます。
温度が上がるにしたがって油を塗った鍋からすでにおいしい匂いがやってくる。
そこに肉。薄切りにして熟成させた脂の多めの牛肉。甘めのタレに漬け込んで、繊維ボロボロになってしまったものを乗っけてジュジュっと焼いていく。
焼くのは私共におまかせください…、と。ひっくり返し、場所を変え、脂がこんがり焦げるようにして焼き上げる。

プルコギのお供に必ずとるのがケジャン。
醤油風味のタレを吸い込み、透き通ったカニの肉。手づかみしながら頬張ってチュウチュウ吸って味わい、食べる。カニの旨みが口いっぱいに広がって、甘エビみたいななめらかでハリのある食感おいしくお腹が笑う。

鉄板の上でジリジリ肉が焼けていく。
脂はこんがり、自分で揚がったように焼けてカリカリ、乾いて仕上がっていく。
なおもケジャンをプチュプチュ食べて、キムチにカクテキ、ナムルを食べて焼き上がりを待つ。
サイドの料理がしっかりしていて、メインの味に期待が膨らむ。肉汁にタレ、脂が一緒になって滴り、鍋の縁に注いだ水に溶けだしていく。

肉は縮んで焦げ色ついたところで完成。
どうぞと言われて、葉っぱにくるんでキムチと一緒にパクリと食べる。
余分な脂がにじみ出た後の、肉は意外なほどにさっぱりしていて、歯ざわりが良い。
味はすきやき味をさっぱりさせたような甘口。
葉っぱ野菜のモサモサ感と肉の脂が混じり合い、いくらだって食べられちゃいそうなたのしい味わい、そして食感。

あっという間に肉はお腹の中に収まり、さてうどん。
実はココで一番おいしい料理が〆うどん。
太めのうどん。
それをプルコギを焼いた鍋で焼いていく。
お店の人がつきっきりで焼いてくれるのだけど、それが手早く入念。

まずはうどんを鍋の上におき、肉の脂を麺でこそげるようにする。
麺の表面がツヤツヤ、脂でテカりはじめた頃合いで、縁に作られた溝に押し込む。そこにはタレと脂が混じった煮汁が溜まって、そこでクツクツ煮込んでく。
煮込んでる…、と思った次の瞬間、再び鍋の真ん中にうどんを戻して炒めつけ、再び溝に押し込んで煮込んでいくを何度も何度も繰り返す。

徐々に麺がテリをもち、タレが染み込み色が茶色に染まってく。
溝にたまったタレにうどんの小麦がとけて、徐々にトロリと粘度がでてくる。そこにザザッとケジャンのつけダレを注ぎ込む。肉の旨みにカニの風味が混じってタレはどんどん濃厚になっていき、最後に醤油をタラリとほどこし風味を整え出来上がり。

脂でツヤツヤ輝きながら、ネットリ鍋に張り付くうどん。一味をかけてズルンと食べる。口に広がる肉の旨みにカニの味わい。うどんはやわらか、トロトロで、歯を使わずともとろけるおいしさ。
タレが甘くて脂が甘く、しかもカニの甘みもくわわり甘いのだけど箸が止まらぬ深い味わい。途中でキムチをのっけて混ぜる。予熱でキムチがあったまり、甘みに酸味がくわわり味が引きしまる。ネットリとろけるうどんにシャキッと焼けたキムチが食感くわえ、互いが互いをひきたておいしくなっている。
プルコギにケジャンにうどんにキムチがあれば、それ以外はなにもいらないはずのこの店。一軒一軒丁寧に作り続けてファンを増やせば今頃もっと店が沢山あったはず。店の軒数は結果であって、その軒数を目標にする…、なんとおろかで危ういことかと思ったりした。肉の日の夜。

 

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