パンと生ハムとルッコラだけでこんなにおいしい…。
空は高くて明るくて、空気も軽い。
お散歩日和。
今日はたくさん歩きたくって、千駄ヶ谷の方に向かった。
家をでちょっと歩くと新宿御苑。
その東側にそってテクリとのんびり歩く。
ずっと右手は公園で、緑の空気が流れ出してくるのを感じる。
もしも公園と道路を仕切る壁がなければどれほど気持ちがいいだろう…。
公園の中を散歩できたらいいのになぁ…。
東京って世界の大都市の中でも緑の割合が多い街。
でも緑を自由に使いこなせているかというと、そうじゃないのがもったいない。
のんびり歩いて15分ほども経つと新宿御苑の緑が終わって、国立競技場周りの街路樹の緑がはじまる。国威をかけたイベントがこの界隈を緑の街に変えた。そのイベントがあろうがなかろうがこの環境は残ると思えば、それもよし。
鳩森八幡神社の前の「バードアンドルビー」にやってくる。
小さなお店。
ほぼキッチンでエスプレッソマシンを積んだキッチンカーがそのまま店になったような感じがたのしい。
カウンターに埋め込まれるように作られたショーケースの中にパニーニ。玉子とフォカッチャのサンドイッチや、バゲットとローストチキンのバインセオと、種類豊富でみてると全部食べてみたくなるのだけれど、ここにくれば食べなきゃいけない。
タナカくんが好きだったプロシュートルッコラのパニーニたのむ。
これを好きな人がいてね、原付でたまに買いに来てたんです…、っていうと「体の大きな人ですよね、いくつか買って必ず一個、口に咥えて颯爽と帰ってました」って。なるほどやっぱり家に帰る前に一個、お腹に収めていたんだなぁって思って笑う。
波型グリドルで挟んでこんがり焼きあげる。
表面パリッ。
焦げたところはザクッと砕ける感じが心地よく、生地はむっちり。
挟んでいるのはオリーブオイルであえたルッコラ。
脂ののったプロシュート。
焼かれたパンの間で、脂にじんわり熱が入って透き通ってくる。温度があがるとラードの香りと甘みがひときわ強くなり、塩の輪郭もくっきりしてくる。
パンの大きさ、厚さに比べて挟んだ具材の量は少ない。けれど食べた時の存在感は圧倒的で、例えば食感。
バッサリとしたルッコラの繊維にとろける生ハム。味も香りも力強くて今、口の中に生ハムやルッコラがいるんだ…、って実感できる。
とはいえやっぱりパンがいいから挟んだ具材の実力がいかんなく発揮されているんだろうなぁ…。噛みしめるたのしさ。噛めば噛むほど味が滲んで、口の中を香りが満たす。お供にもらったマキアートのぽってりなめらかな喉ごしに、ミルクの甘みが引き立つおいしさ。
味わいながらカウンターをぼんやり見るとクラフトコーラをはじめたという。コーラシロップを作ってみたんですヨ…、っていうので試してみたくなっちゃった。
ハーブの香にカラメルっぽいコクと苦味がおいしくてフレッシュミントの香りも爽やか。体のすみずみが生き返ります…、オキニイリ。
田中さんのエピソードとっても可愛らしいですね。街のいろんなところで(美味しいものと一緒に)田中さんの思い出が宝石のようにキラキラ瞬いているんだなーとうるっとしてしまいました。
美味しそうなパニーニ、食べにいきます!
こばやしさん
かわいらしい人でした。気持ちがとげとげしていてもタナカくんを見ると棘が一本一本抜けていくみたいなやさしさとあたたかさに助けられていました。ありがたかったです。