ナポリタンなイタリアンに〆は空也もなかのお昼
ひさしぶりに「イノダコーヒ」にやってくる。
ファンドが買って初めてのこと。暖簾の継続のために必要な資本と人材を外から調達することは決して悪くないことだけど、事業は継続できてみ暖簾の価値までは継承できないことはある。
むしろ投資した資金を回収するため、残念なことが起こってしまうことがままあって、さてここはどうかと思ってきてみた。
結果は良好。なによりサービスがすばらしくよくなりました。経営に余裕ができたのかなぁ…、って思う。悪くない。
東京駅の大丸百貨店の中にあり、しかも紳士服の売り場のフロアにあるというのもおじさんとしてはうれしいところ。入り口近くの席に座れば、店の大方を見え通せてギャルソンたちの立ち居振る舞いを心置きなくたのしめる。
マホガニーの深い赤茶に真っ赤なビロードのカーテン、同じ色した張り地の椅子と豪奢なしつらえ。イタリアンとアイスコーヒーを選んでたのむ。
蓋付きの銀器が颯爽とやってくる。お待たせしましたの声を合図に蓋がうやうやしく開いてく。
器の中にはケチャップ色したスパゲティー。イタリアンという名のナポリタン的仕上がりで玉ねぎ、ピーマン、マッシュルームと具材も素性正しきナポリタン的。
麺も太くてナポリタンとの違いを敷いてあげるなら、ソースたっぷりで炒めたというより和えて仕上げた感じがするとこ。
ソースがねっとりからみつき、口の中でのたうち回るように暴れ力強さにうっとりしちゃう。
粉チーズにタバスコが合う。タバスコをかなりバシャバシャ使っても不思議なほどに辛味をそれほど感じぬほどの強い旨味にウットリします。
アイスコーヒーに添えられた生クリームが濃厚で、ずっと浮かんでゆらゆら揺れる。こういうこだわり、贅沢がありがたくってオキニイリ。

ランチの〆にトリバコーヒー。
空也もなかを食べに来る。
イノダコーヒのラムロックで〆るのもいいかと思ったのだけど、トリバコーヒーのお店の空気が最近好きでちょっと歩いてやってきた。
おやつどきには売り切れちゃうことがある空也もなかも、お昼時ならまだ山積みです。
今日のコーヒーをお供にもらい、オキニイリのテーブルにつく。
甘いコーヒーの香りがフワッと漂って、鼻をくすぐる。今日のカップはフルーツ柄でかわいらしい。
空也もなかのサイズもかわいらしくて、でも手にするとずっしり重い。薄皮の生地の中にぎっしり餡子が詰まっているのが伝わってくる。
お皿に軽く押し付けるとしっかり立つのネ。押し付けても生地が壊れることがない。生地が完全に乾いてしまっているのじゃなくて、と言って湿ってしまっているわけじゃない。
つまり「ほよどき潤いを持った乾燥状態」というのが空也もなかの生地の独特なところ。
前歯でサクッと歯切れます。
けれど散らかるわけじゃなく、中の餡子と手に手を取って口の中へとやってくる。噛めばサクサク、軽い食感とともに壊れて餡子と一緒にとろけてたちまちなめらかになる。餡子は硬め。甘みほどよく、軽い塩気がキリッと甘みをひきしめる。その味わいを生地が邪魔せず引き立てて、焼けた生地の香ばしい香りを残して消えていく。
そしてコーヒー。酸味と苦味が甘い余韻を次のひとくちねだるゴチソウ。オキニイリ。









