テイクアウトできるティンフック、しとやかな獣

昼、近所のティンフックでテイクアウトのランチを買った。
家で仕事をしながら食べよう。
朝ご飯を食べてないからちょっと多めにと思うも、もしもお店が空いていたら食べて帰るのもいいかなぁ…、と思って行ったらほどほどニギヤカ。それでテイクアウト用に作ってもらう。
一個600円の弁当が何種類か揃ってて、中でもオキニイリなのは春巻きそうめん。そうめんと言っても日本のそうめんではなくてブンっていうベトナムの麺。丸い断面で細いからそうめんみたいにみえてそれでベトナムそうめん。
上に葉っぱ野菜とたっぷりのっけて、揚げ春巻きをトッピング。甘酸っぱいタレをかけて食べるという趣向。ブンはちょっともそもそしてて歯ごたえがよい。スープやタレのからみがいいのでタレたっぷりでお願いします。揚げ春巻きは揚げたてで麺は冷たく、口の中で適温になるオゴチソウ。

それからゴーヤの炒め物。豚肉、玉ねぎと一緒にジャジャっと炒めたところにといた卵を流してとじる。味は塩とスープでしあがり、シャキシャキとしたゴーヤの食感が奥歯においしい。おいしい苦味でお腹もおきる。
お供の料理をちゃちゃっと作る。
ひとつは冷奴。油をキレイに絞って落としたツナ缶と刻んだ大葉。ポン酢をかけて味を整えスルンと食べる。
昨日食べようかと買っておいた3枚開きのイワシを一晩、マリネしていた。それにパン粉をつけてサクッと揚げたもの。スッキリとした酸味とイワシの旨味が口に広がってパン粉はパラッ。身はふっくらと心地よいほど上等な味。よく出来た。

 

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相変わらず日本の昔の映画を観てる。
1960年代の、おそらく日本の映画界の黄金時代の作品群。
アマゾンプライムビデオの中の「シネマコレクション by KADOKAWA」ってチャンネルで大映や角川映画の名作がザクザク出てくる。
何本か選んで観てたら、どうもボクが若尾文子が好きと判断したのでしょう…、彼女の出演作品を観てはどうかとバンバン勧めてくるのであります。
そんな中の1作が「しとやかな獣」。
最高でした。

1962年の公開。
当時出来たばかりの晴海団地の一室で物語のほとんどすべてが進行していく、まるで舞台のような設定。
にもかかわらずカメラがいいんです…、見事な映像設計で飽きずずっと観続けられる。物語が重大な局面をむかえ、場面が転換されるときにまるでその団地の部屋が能舞台のように描かれ、それが不思議な緊張感を作り出す。

登場人物のほぼ全員がどうしようもないクズばかり。
嘘はつくは他人の金を平気でくすねる。
男はみんな女とねんごろになることを考えているし、女はお金が好きで好きでしょうがない。
舞台になる団地の一室に住む家族は、子どもたちにもっと金をくすねてこいとけしかける親。息子の勤め先は、インチキ外人を雇い不正経理でしこたま社長が蓄財しているような芸能プロダクション。娘は人気小説家をたらしこんでる。たらしこまれている小説家もとんでもない奴だったりして、そんな彼らは誰ひとりとして罪悪感をもたずひたすら他人を騙す。
そこに絡んでくる若尾文子が実は一番悪いやつだったりするのだけれど、彼女の可憐でうつくしいコト。しかもしたたかで、しょうがないやねぇ…、って思う。しょうがない。

ちなみにただひとりだけ、正直で責任感の強い登場人物がいるのだけれど、はてさて彼の運命は…、というピリリと苦味を帯びたブラックコメディ。「いやぁ、映画って本当にいいもんですね~」と言いたくなるような名作でした。

映画のトレーラーが探してもなく、かわりに先日開催がはじまった「若尾文子映画祭」のプロモーション動画を貼っておきます。
可憐に、艷やかに、女のすべてを演じきった女優…、まさにそんなオキニイリ。さよなら、さよなら、さよなら。

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