チャイナムーンで腸粉たべる点心の夜

cm無性に香港風の点心を食べたくなって、場所は新宿。
ひさしぶりに「チャイナムーン」にやってくる。
中国語の店名は「霞月樓」。
なにやら優雅でうつくしい。

昔、友人がこの店の支配人をしていたということもあり、よぉく通った。
特に昼どき。
お茶を飲みつつゆったりとした気持ちで2時間。
お茶を飲んでは点心つまみ、おしゃべりしてはお茶を飲みとぼんやり時間を過ごしてお腹を満たす贅沢がうれしくて、よく来たものです。
ひさしぶり。

何年目ぐらいでしょう…、おそらく5年は来てない。お店のスタッフはすっかり変わってしまったようで、けれどメニューを開いてみると昔の料理がズラリと並ぶ。お店の中を満たす香りも昔のままで、思わずニッコリ。

cm tensin早速点心をいくつかたのむ。
まずは蒸し物。
季節の点心の3点盛りというのがあって、試してみます。
金魚の形をしたのがエビチリ餃子。
たしかにプリプリしたエビをチリソースでまとめたものがタップリ入って、噛むとムチュンと歯切れて口の中はエビチリ。
餃子を食べたはずなのに、エビチリ味というのがたのしくこの意外性が点心の醍醐味なんでしょう。
緑色をしたのはほうれん草の餃子で、生地だけじゃなくて中にもたっぷり茹でほうれん草が入ってて、口の中が野菜まみれになるオモシロさ。
もう一種類のシュウマイは、枝豆とオクラを使った肉焼売と季節を感じる鮮やかな味。
ニラとエビの餃子は儚いほどの薄皮で、中のニラの緑とエビのピンクがすけてみえるほど。口に入れると、皮がツルンとほどけてムチュンとエビのすり身が歯切れて消える。ニラの香りも鮮やかで、エビの香りを引き立てる。

点心を食べに来ると必ず食べる大根餅も、分厚くズッシリ。
しかも裏側の表面がガリッと焦げてて、ザクザク歯切れる。カリッとおいしく風味豊かでなかなか旨い。
豆板醤と黒酢があらかじめテーブルサイドに置かれているのもオキニイリ。

cm chofunココで必ず食べるのが「腸粉」。
米で作ったなめらかな生地で、いろんなものをくるんで蒸し上げ、甘辛のタレと一緒に食べる広東料理。
豚の腸に形が似てるから、それで腸粉というのだけれど、さすがにメジャーじゃないからでしょう…、香港クレープって名前がついてた。

エビを具材に選びます。
ネットリなめらかな米粉の生地。エビはムチュンと力強く弾けて歯切れる。その食感の違いが互いを引き立ておいしくしていくステキ。

生地そのものには味がない分、タレは濃い味。
中国醤油の甘みに砂糖。
お菓子を食べてるみたいな甘さがおいしかったりするのであります。この腸粉を気軽に食べることができるお店は少なくて、だからかなりひさしぶり。
ひさしぶりにきて料理が変わっていないというのがウレシクて、来てよかったなぁ…、ってしみじみ思う。オゴチソウ。

cm c1cm c2cm c3

小籠包の大きなサイズの「中籠包」っていうのがここの名物の一つ。
お碗一杯のサイズで、無したときにでる蒸気が少々、お椀にたまってやってくる。小籠包ほどのさすがに薄くはないけれど、十分、薄く感じる生地を箸で破ると、中から肉汁がトロンと出てくる。
豚ひき肉のおいしいジュース。黒酢に浸した生姜をのっけてレンゲですくってフルっと食べると、ゼラチン質が口でとろける。唇同士がくっついちゃうような濃厚スープにウットリします。しかも生地とあんの間にタップリ、ウニが入っててそのプチプチと深い旨みが肉の旨みを複雑にする。カニ味噌の代わりにウニ…、ってかなり贅沢。オモシロイ。

cm pakocm siho豆豉と一緒に蒸し上げた骨付き豚バラ肉の、とろけるような仕上がり具合にもびっくりします。
骨と一緒に口に含むと、スルンと骨から肉がほどけてとれていく。
プルプル。
ネットリ。
肉は崩れて脂がとろける。
骨から旨みがにじみだし、肉をおいしくするのでしょうネ。
指までしゃぶって食べつくす。

野菜の料理も食べなくちゃネ…、って「四宝菜」。
ココに昔からある料理。
レタスと白菜、ブロッコリー。ホタテの柱を盛りつけた皿にオイスターソースをかけて蒸気で蒸し上げる。野菜からでた水分で、オイスターソースがほどよき濃度になってすべてに染みこんでいく。シャキシャキとした食感に、ソースの旨みが染みこんでお腹の中がみずみずしくなるオゴチソウ。
長い間ほったらかしてごめんなさい…、って、いいたくなった。また来よう。

 

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コメント

  1. Diana

    腸粉を初めて食べたのはLAでした。
    日本では東京大飯店の飲茶。
    香港にいるのでは? と思うようなグランドフロアがステキでした。
    新橋の翠園酒家もなくなり,日比谷の名店も。

    あんなに長く続いた中華の名店が閉店することがあるんだ,と驚いたのも昔になってしまいました。

    続けることの難しさを感じます。

    • サカキシンイチロウ

      Dianaさん
      東京大飯店の飲茶ワゴンが優雅に回るあのフロアーは素晴らしかったですよね。
      なくなってしまった時には、あぁ、香港が遠くにいっちゃったってさみしくなったのを思い出します。
      翠園酒家の豆腐の蜜かけのおいしさったらなかったですよね。
      思い出せばだすほど、日本ってどんどん貧しくなっているのかしら…、って哀しくなっちゃう。少なくとも今あるオキニイリのお店が長く続いてくれますように…、って思います。

  2. Diana

    サカキさん,店名が思い出せないので,日比谷の名店でごまかしちゃって失礼いたしました。
    母に確認したところ,『山水楼』さんでした。
    戦前は,東京宝塚劇場の前。戦後は国際ビルの2階。今は長野に移られたようです。

    そうそう,翠園酒家の豆腐花。石灰で固めたお豆腐をすくう真鍮?の道具がいかにも香港でした。
    ニラ餃子も大根餅もワゴンで焼いてくれるのも楽しかった。

    仲秋月餅を買いに行きがてら,中華街で飲茶したいな~。

    • サカキシンイチロウ

      Dianaさん
      山翠楼さん…!
      残念ながらボクは行く機会がなく、でもおいしいモノやお店を沢山教えてくれた人が、必ず行っておくべきお店だよ…、って言っていたのを思い出しました。
      翠園酒家の大根餅が、ボクを大根餅ラバーにさせた張本人でした。なつかしい。

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