ソーセージが甘やかされるホットドッグ

東京に戻ってきたんだと実感したくてベルクで朝。
松山生まれ育って、家族そろって関東に出て、東京に落ち着いたのが30年以上も前のコトだからもうすっかり東京の生活の方が長くなった。時間的なコトだけでなく、大人になってからはずっとこの街にいるわけだからボクにとってのふるさとはすっかり東京。
ゴミゴミしていてどこに行っても人だらけで、無関心と好奇心の分量がおそらく日本で一番多い厄介な街。でも世界で一番好きで、この街で一生を終えるんだろうなぁと覚悟するに値する場所。なによりベルクがあるもの。
そこに誰がいてもおかしくない小さな空間。朝に1日を終える人。朝から飲み人、腹ごしらえをする人、コーヒーを片手に愛を語らう人たちと、カオスのごときなんでもありが心地よい。ビッグドッグのクワトロチーズかけを作ってもらう。

大きなソーセージを茹でるのに5分ほどかかるからとビーパーをもらってカウンター前に陣取る。
首をちょっと伸ばすと厨房の中の様子がよく見える。じっくり茹でたソーセージがドッグブレッドの上に収まり、溶かしたチーズをスプーンでかけまわす様子を見届けて、ビーパーに呼ばれる前に立ち上がる。
ドッグブレッドに収まらないサイズのソーセージ。今日はいつも以上に反っくり返り勇ましい様。拝みたくなる。
まずパキッとソーセージの先っぽを折り、とろけたチーズをぬぐってつけてパクっと食べる。肉から生まれて肉よりおいしいんじゃないかと、惚れ惚れするほどの肉汁、味わい。最初はクニュクニュ、腸膜の食感がたのしめて、それがふっくらとしたひき肉のなめらかに置きかわる。

ずっと噛んでいたいのに、そのおいしさを喉の奥へと引きわたさなきゃいけなくなるのが切ないほどのオゴチソウ。
さっくり歯切れて乾いた食感のドッグブレッドと一緒に食べるとそのなめらかが一層強調されていく。
しかもほどよくトーストされて熱々のパン。収まっているソーセージが寒さを感じずずっとおいしくいてくれる。

食材をいじめておいしくする料理がある。例えばせっかくお湯の中でぬくぬくしていたうどんを冷たい水の中で冷やして鍛える讃岐うどんのような料理はスパルタ料理。でもこのホットドッグのソーセージはぬくぬくのドッグブレッドに寝かせてもらい、上から熱々のチーズの毛布までかけてもらえる甘やかされ具合。うらやましくってしょうがない。

とろけたチーズがからむとソーセージのなめらかさに拍車がかかる。すべすべトロトロがふっくらフワフワに混じって口いっぱいにとろけが広がる。
チーズという食材を調味料と考えれば別だけれど、このホットドッグには調味料が使われない。パンの香ばしさ、ソーセージの旨味に塩味。チーズのコクや軽い渋みに風味で味がすべて整う。余計なものは一切ない…、という潔さが魅力の一品。
もぐもぐもぐもぐ、あっという間にお腹の中にすべておさまり、朝のカフェオレでお腹を潤す。ミルク多めでぬるい仕上がりのカフェオレまでが、ボクのお腹を甘やかす朝。これからちょっと移動です。

 

関連ランキング:カフェ | 新宿駅新宿西口駅新宿三丁目駅

コメント

  1. 食欲

    わかります!お肉でできてるのにお肉よりおいしくて、飲み込むのがもったいなく感じるの!私はコンビにやサービスエリアなんかで売ってる、串にさしてあるジャンボフランクみたいなのが大好き。
    おそらくあやしげな原材料だろうと思われるのに、なんなんだろうか、あのおいしさ!パリッとした上質のソーセージにはない独特のおいしさ。ああ、今食べたい。。。

    • サカキシンイチロウ

      食欲さん
      焼肉屋さんでも最近、ソーセージを焼くのがたのしくて。しかも食べ放題のお店でもソーセージを見つけると焼いちゃう。肉を食べればいいのに…、って言われても、肉とは違うごちそう感には抵抗できない。
      よく焼けば焼くほどおいしく感じますよね。パキッと歯切れて肉汁ジュワッというのは肉にないおいしさ。食べたくなっちゃいました。

サカキシンイチロウ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。